研究シーズ2016知能システム科学

経済物理学の視点から、バブルの法則を解明

水野 貴之情報社会相関研究系 准教授

研究分野経済物理学/ファイナンス/経済ネットワーク/ネット市場/バブルやブーム

研究背景・目的

コンピューターネットワークの普及によって、人々の行動が次々とクラウドに記録されるようになりました。この人間行動のビッグデータを利活用して、経済・社会現象を自然科学と同じように実証に基づいて解き明かそうというのが経済物理学とよばれる新しい学問です。私は経済物理学の立場から、ブームやバブルに潜む法則を解き明かしたいと考えています。そうなれば、市場のルール作りや経済政策の面でも役立てられるのではないかと思います。将来的には、時々刻々と流れるデータから、ブームの終焉やバブル崩壊のリスクを監視し、経済の熱気を科学的に制御できる社会が実現できるはずです。

研究内容と産業応用

  1. 不動産バブルの察知
    • mizuno_1.pngリクルート社提供のデータ
      場所:関東全域
      期間:1986〜現在の28年間
      物件数:72万物件(全取引の95%以上をカバー)
    • 同一属性を持つ物件間の価格の格差に注目することにより各物件のバブル度を抽出。
      mizuno_2.jpg

      [Ohnishi, Mizuno, et al., IJMP, 2012]

  2. ニュースによる金融バブルの検出
    • NYSE, S&P, Thomson Reuters社等提供のデータ
      金融取引:250テラバイト
      ニュース:30テラバイト
    • 株価の銘柄間格差から投機マネーの集中によるバブルの検出が可能
    • 報道されるニュース数から価格の予測が可能
    • 同一内容のニュースに対する【新規性】【話題性】の抽出により、予測精度が向上
      9-2_mizuno_4.jpg
  3. 経済ネットワークによるお金・物・情報の波及予測
    • Burearu Van Dajk, FactSet, Sansan, DowJones提供のデータ
      企業数1億社、企業関係者1億人、要注意人物150万人、企業間関係400万ペア、名刺交換6500万件
    • 紛争にお金・物を流さないサプライチェーンの健全化
    • 経済ネットワークを介したグローバル金融危機の予測
    • 人脈という無形資産の見える化
      mizuno_4.jpg

その他、移動ログを使った商業地の地価分析、POSを使った企業業績・株価の予測、ネット市場の値崩れ対策など

研究者の発明

  • 特開 2003-216883:インフレーション分析処理装置、インフレーション分析処理方法、並びにコンピュータ・プログラム(出願人:ソニー株式会社)
連絡先

水野 貴之[情報社会相関研究系 准教授]
http://research.nii.ac.jp/~mizuno/

関連リンク

水野 貴之 - 情報社会相関研究系 - 研究者紹介

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