研究シーズ2021知能システム科学

人流ビッグデータを解析し
感染リスクと経済活動を指数化

水野 貴之情報社会相関研究系 准教授

研究分野計算社会科学/複雑ネットワーク科学/ビッグデータ応用

コロナ禍において、地域ごとの住民の外出自粛率を"Stay Home指数"として定量化する技術を開発しました。感染率との対比で外出自粛率が低い地域を見つけることが可能で、自治体による地域の実状に合わせた自粛要請をサポートできます。

研究背景・目的

2021年1月現在、新型コロナウイルスの感染拡大をくい止めるために、政府は不要不急の外出を控えるように呼びかけています。テレビでは日々、繁華街での人出の増減が報じられていますが、どの地域の住民が繁華街を訪れているか、外出を自粛していないのかが不明なままです。その結果、自粛要請は積極的な自粛を実行している地域の住民にとっては過剰な要請になる一方、自粛の足りていない地域の住民に対しては過小な要請となっています。過剰な要請は経済を萎縮させ、過小な要請は感染拡大を招きます。自粛が十分なのかどうかを知ることができなければ、各住民の自粛のインセンティブは弱まります。この問題を解決するために、地域ごとに住民の外出の自粛率を"Stay Home指数"として定量化する技術を開発しました。

研究内容

匿名化された携帯電話の位置情報から推定されたリアルタイムの人口分布を利用して、住宅地からの「外出者数=昼間人口-夜間人口」を見積もり、各地域の住民の「外出の自粛率=1-(ある日の"外出者数×平均外出時間")/(平常時の"外出者数×平均外出時間")」を"Stay Home指数"として定量化します。これは、地域住民がどの程度、コロナ以前の平常時に比べて外出を控えているかを測っています。例えば、Stay Home指数が0.6なら、これまで外出していた100人のうちで60人が外出せずにウチ(自宅のある500m四方)で過ごしていることを意味します。

産業応用の可能性

図は札幌市中央区の住民のStay Home指数です。2020年2月中旬から札幌では本州に先駆けて新型コロナウイルスの流行が始まり、それにともなって指数が上昇しています。同様に2020年11月の第3波の到来とともに上昇しています。ここでは、市区町村レベルでのStay Home指数を示していますが、最小500m四方で算出可能です。感染率との対比で外出の自粛率が低い地域を見つけることが可能であり、自治体による地域の実状に合わせた自粛要請をサポートできます。また、感染拡大につながる、地域のコミュニティをまたいだ外出を推定することも可能です。自身と同じ地域の住民が活動する地域を知ることは、地産地消のように地域内で閉じて経済活動を行う際に役立ちますので、この研究はそうした活動のサポートにも応用できます。

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図)札幌市中央区の住民のStay Home指数
(注)図の作成においては、NTTドコモの携帯電話約8000万台の基地局情報から推定された国内人口分布統計(リアルタイム版)モバイル空間統計®を利用しています。

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