Mar. 2017No.75

サイバーセキュリティ人材を育てる脅威から学術ネットワークを守るために

Article

研究者とともにサービスを運用 NIIの事務ミッションとは - NIIの人々 vol.4

酒井清彦

Kiyohiko Sakai

学術基盤推進部 次長
大学では歴史を学ぶ。卒業後、図書館勤務。NIIの前身の学術情報センターで業務に従事する機会があり、それをきっかけにNIIに。その後、管理職として埼玉大学、東京大学、山口大学、名古屋大学で図書館勤務を経験。大学図書館の事情に詳しい。平成27(2015)年より現職。

亀井耕治

Kouji Kamei

学術基盤推進部 学術基盤課長
大学では社会科学を学ぶ。千葉大学に採用後、文部科学省に転任。同省関連機関等での勤務経験を経て、平成28(2016)年より現職。山口大学では、酒井次長との勤務経験もある。

池澤あやか

聞き手Ayaka Ikezawa

タレント/エンジニア。「Rubyの女神」と呼ばれ、特に IT分野で活躍。著書に『アイディアを実現させる最高のツール プログラミングをはじめよう』(大和書房)。第6回「東宝シンデレラ」審査員特別賞。

 ─"事務のお仕事" って何をするのでしょうか?(池澤)

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酒井 「普通、研究所の事務というと研究者のサポートをしますが、NII には大学共同利用機関として事業を推進する役割があり、ネットワークやクラウド、セキュリティのほか、CiNii(NII 論文情報ナビゲータ)やKAKEN(科学研究費補助金データベース)など各種学術コンテンツサービスを全国の大学などに向けて提供しています。こうしたサービスを推進しているのが、私たち学術基盤推進部です。部は業務内容で学術基盤課と学術コンテンツ課の二つに分かれていますが、どちらもサービスを提供するためのハード・ソフトの整備や、運用予算の獲得を行っています。幅広い業務を、27 人の常勤とほぼ同数のサポートスタッフで分担しており、私は事務方のトップとして業務全体が滞りなく進んでいるかを見ています」

─大学時代、論文検索にCiNii を使っていました!
亀井 「そうですか。NII が行っているサービスに関わる機械のメンテナンスや更新も、私たちがやっています。昨年の熊本地震では、国道にかかる橋が崩落し熊本-大分間の通信ケーブルが切れてしまいましたが、迂回経路を自動的に確保して通信の切断はありませんでした」
酒井 「最近は、ネットワークに対するサイバー攻撃が激しくなっており、それにどう対応していくかがNII 全体の大きな課題です。セキュリティに関する実際の業務は専門部署がやりますので、そのサポートをします」

─お仕事の魅力は何でしょうか?
酒井 「実は、NII の事務には生え抜きのスタッフはごくわずかです。私も以前は図書館に勤めていましたし、他の多くの職員が大学の図書館や情報センターとの人事交流でNII に勤務しています。いろいろな職場を経験して、NII の仕事には研究者と協力しながら" 新しいことをやるワクワク感" があると感じます」
亀井 「研究者がやりたいと思うことを、実現するようにサポートするのが、私たち事務のミッションだと思います。またNII には、大学共同利用機関として『全国の大学の教育環境の充実と向上を支援する』という大きなミッションがあり、自分としてもやりがいを感じています」

─お忙しいと思いますが、何か息抜きをしていますか?
酒井 「何かあった場合には、すぐに連絡が取れるようにしていますが、休日は趣味でドラムをたたいています。ボケ防止にと始めたのですが、いずれ仲間とセッションをやりたいですね」
亀井 「普段は仕事で忙しくしていますが、古いものを集めるのが好きで、休日にはNII に近い神保町の古本屋街をのぞくこともあります。とは言え、これまで地方勤務で長年自宅を空けていて、今回の異動で東京勤務となったので、できるだけ家族のために時間を遣うよう心がけています」

NIIの人々に会って

NII の事務の方にインタビュー!? いったい何をしている人たちなの? と思っていましたが、NII の提供するサービスを強力に支えている方たちでした。お二人とも地方経験が豊富なことに驚きましたが、そこでNII のサービスに求められる広い知識と感覚を身につけてこられたようでした。

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