研究シーズ2018情報環境科学

ブロックチェーンの応用による経済共同体の可視化

岡田 仁志情報社会相関研究系 准教授

研究分野ブロックチェーン/仮想通貨/スマートエコノミー

研究背景・目的

ブロックチェーンは分散型仮想通貨の基盤技術として発明されました。仮想通貨とブロックチェーンは二層関係にあります。上位のレイヤーにおいて、シェアリング・エコノミーの「鍵」や「アセット」が送信されます。下位のレイヤーでは、経済行為とは反対の側に向けて、金銭的価値が流通します。すなわち、下位レイヤーの「金流」は、上位レイヤーの「商流」と不可分一体の関係にあります。経済活動はかつてないイノベーションを経て、新しい二層構造に再統合される途上にあります。ブロックチェーンを契機とした経済共同体の再編成における経済と社会の諸問題について、学際的な視点に基づいて探究しています。

研究内容

ブロックチェーンの応用可能性として注目されるのが、シェアリング・エコノミーに代表される自律分散型の経済プラットフォームです。中国のような消費大国においては、あらゆる資源よりも人間のニーズが上回る傾向にあり、シェアリング・エコノミーの進展なくして持続的経済の維持はありません。国境を越えて民泊予約や車両予約などのサービスが展開される時代には、特定のサービス主体を信頼する従来の構造から、信頼できる第三者の存在を必要としないブロックチェーン社会への構造転換が不可欠です。迫りくるスマートエコノミー時代の基盤としてのブロックチェーンの可能性について、国内外の共同研究者の協力を得て学際的に研究しています。

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上海交通大学で開催された国際会議「Global Cities Forum」にDistinguished Guest(来賓)として登壇し、ブロックチェーンを応用したスマート・キーの概念について実演をまじえて講演した。写真は、ラポルトゥール(記録係)による公式報告の様子。NIIの研究者を招待したことなどが紹介された。

産業応用の可能性

これまでの経済活動では、産業ごとのプレーヤーが情報の結節点となって、情報の非対称性をコントロールしていました。ブロックチェーンの時代が到来すると、情報の非対称性は解消され、経済共同体の活動はP2P(Peer to Peer)ネットワークを支えるノード(結節点)によって共有されます。このような変革の時代にあって、経済共同体における意思決定の主導権を掌握するのは、かつて非対称性の中心に位置した企業ではなく、経済活動のプラットフォームとなるブロックチェーンを提供することに成功した企業です。ブロックチェーンを契機とした経済共同体の再編成の方向性について、海外の研究者と連携して多角的に研究しています。

連絡先

岡田 仁志[情報社会相関研究系 准教授]
okada[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

関連リンク

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