研究シーズ2017情報環境科学

⼤学の管理運営に資するIR分析枠組みの研究

船守 美穂情報社会相関研究系 准教授

研究分野⾼等教育政策/⼤学マネジメント/データサイエンス

研究背景・目的

大学を取り巻く環境が厳しさを増す中、国の政策により、大学の意思決定をデータ分析等を通じて支援するIR(Institutional Research)担当やIR室を設置する大学が急増しています。一方、日本の大学の管理運営に資する分析の観点や手法が確立していないため、IRが十分に機能していないことが問題となっています。このような国内におけるIRの閉塞状況を打破すべく、日本の大学が共通して用いることのできるIRの枠組みと分析手法について研究し、そのモデル開発を行います。更にこれを具現化するプロトタイプシステムを構築・公開し、全国の大学にIRの分析手法が効果的に普及することを狙います。

研究内容

大学マネジメントに資する「IR分析枠組み」を開発するためにまず、(1)各種データセットから抽出すべき「IR分析の観点」を明確にし、(2)それがどのように表現されれば、大学マネジメントで最も生かされやすいかを検討し、(3)「大学の特徴抽出」の方法を研究します。また、(4)世界的に進行している新たな大学評価手法に対応する「次世代大学IR」についても研究を進めます。この枠組みが独善的なものとならないように、(5)大学マネジメントの現場にいる全国のIR担当者と共に、利用の可能性について検証を行います。並行して、(6)利用しやすさの検証を行いながら、システムにおける具現化を進め、これを公開することにより、全国の大学で現在必要とされている共通的「IR分析枠組み」の効果的な普及を狙います。 大学の多様な発展を期待し、ここでは、ランキングのような順位付けではなく、各大学ならではの特徴を引き出すことを主眼とする分析手法を開発します。

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産業応用の可能性

本研究は、高等教育セクターを対象としているため、直接、産業に応用できるわけではありませんが、機関らしい特徴を抽出する技術は、企業等の営利団体にも応用できます。さまざまなデータが入手でき、多角的な評価が可能になった現在では、一般的な企業分析指標による評価ではなく、当該企業が持つ特徴を見つけ出すことが意味を持つようになります。同時に、全国版の大学IRシステムを開発するにあたっては、産業界との連携も視野に入れています。

研究者の発明

  • 特許化はされていませんが、大学の基本人員構成からクラスター分析を介して、大学のプロファイリングを行う手法を開発しています。
連絡先

船守 美穂[情報社会相関研究系 准教授]
funamori[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

関連リンク

船守 美穂 - 情報社会相関研究系 - 研究者紹介

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