研究シーズ2016情報環境科学

高等教育のあり方に革新をもたらす新技術の開発

学習データ解析:ラーニングアナリティクス

山地 一禎コンテンツ科学研究系 准教授

研究分野教育/学習ログ解析/機械学習

研究背景・目的

近年脚光を浴びているMOOC(Massive Open Online Course)のプラットフォームや、各大学で運用されている学習管理・コース管理などの教育支援システムには、学習者からの様々なデータが蓄積されています。この学習履歴を活用し、学習活動や教育活動に役立てる先端技術に、ラーニングアナリティクスと呼ばれるものがあります。ラーニングアナリティクスを適用することで、学習の進捗や理解度を把握し、個々の学習者にとって適切な学習経験を提供することが可能となります。

現在、日本の国立大学の約9割、私立大学の約6割において、教育支援システムが導入されていますが、そこに蓄積される学習履歴の多くが整理、構造化されていない状況にあります。その結果、教育活動の高度化に学習履歴が有効活用されるには至ってはおらず、ラーニングアナリティクスに関する欧米の積極的な展開と比べて、大きく遅れをとっていると言っても過言ではありません。

こうした状況を打破し、世界最高レベルの高等教育環境を実現するために、本研究では、複数のシステムに分散管理される学習記録を蓄積する環境の構築や、解析手法、解析結果の可視化手法に関する研究開発を進めています。

研究内容

学習履歴を蓄積するための国際標準は既に存在しますが、履歴のスナップショットを単に記録するだけでは、学習行動の本質であるダイナミクスを捉えることはできません。学習者の学習コンテキストを解析対象とするためには、適切な粒度で履歴を残すと同時に、多角的にデータの相互関係を記述しておく必要があります。Learning Record Storeに関する研究では、国際標準に準拠しつつ、学習コンテキストを履歴として表現するためのガイドライン化を目指した研究開発を進めています。また、単一の機関から得られる学習履歴だけでは、分析するデータ密度として不十分な場合があります。現在開発を進めている、学習履歴を組織間で共有するためのシステムは、教育・学習分野におけるビッグデータ解析を目的としたフレームワークです。

ラーニングアナリティクスに関する研究では、大学等と共同研究を進めながら、実データに対する解析手法の確立を進めています。統計解析に加えて機械学習なども活用し、適用学習に向けた基礎的モデリングを進めています。学習履歴を分析した結果を教師や学生に提示するダッシュボードの開発にも着手し、データの取得から学習者へのフィードバックを経て、その効果を学習履歴から評価するという一連のサイクルを確立する統合環境の実現を目指しています。

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産業応用の可能性

連絡先

山地 一禎[コンテンツ科学研究系 准教授]
yamaji[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

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