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量子情報学生チャプター

関東学生チャプター

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第17回Student Chapter
開催日 2013年3月15日(金)
場所 東京大学 本郷キャンパス
世話人 吉川 純一(東京大学 古澤研究室)

講演者

吉川 純一 先生(東京大学 古澤研究室)

「連続量量子テレポーテーション」

【講演要旨】

古澤研究室では、光パラメトリック下方変換による光子対生成を用いて、様々な量子光学実験を行っている。最近では、連続量の量子テレポーテーションによって、光子に乗せた量子ビットの情報を転送するという実験に成功している。本講演は、量子光学の基礎的な説明から、なるべく実験系と関連付けて話し、最終的に連続量の量子テレポーテーションを理解してもらうことを目標とする。また、古澤研究室の最近の研究内容について解説する。そのうちのいくつかは、広義で量子テレポーテーションの応用になっている。

藤田 高史・米田 淳 先生(東京大学 樽茶・大岩研究室)

「量子状態操作の高速化と光子-電子スピン変換実現に向けた半導体量子ドットの物理と応用の研究」

【講演要旨】

半導体量子ドット電子スピン系はその長いコヒーレンス時間と高い制御性から、固体系量子情報処理の実現に向けた応用が期待されている。この系では、限られたコヒーレンス時間内に高い忠実度で量子計算を行うために、スピン操作時間を短縮する技術が求められている。一方で、大域的な量子ネットワークの構築のためには、量子ビットを一旦外界との相互作用の少ない光子の形で伝送することが望ましく、単一量子レベルで動作する光子-電子スピン変換素子が必要とされている。量子情報処理実現に向けたこれらの取り組みについて、半導体横型量子ドット中の電子スピン系の基礎からはじめて現在の実験状況までをご紹介する。

実験室見学会

古澤研究室および樽茶・大岩研究室のご厚意により実験室を見学させていただけることになりました。
ただし参加人数が制限される場合があります。

ポスターセッション

発表者募集中!

第16回Student Chapter
開催日 2012年10月12日(金)
場所 NTT物性科学基礎研究所
世話人 松田 信幸(NTT物性科学基礎研究所)

講演者

清水 薫 先生(NTT物性科学基礎研究所)

「NTTにおける量子光情報処理の研究の紹介と展望」

【講演要旨】

量子光制御研究グループでは、光と物質の量子力学的な性質を制御し、近未来の情報通信処理のための新しい手法を開拓すべく、光と物質の相互作用に関する物理から光の量子性を活用した通信応用に至るまで広い範囲の研究を行っています。今回はその活動の一端を簡単に紹介したいと思います。

齋藤 志郎 先生(NTT物性科学基礎研究所)

「超伝導回路を用いた量子情報処理」

【講演要旨】

超伝導量子ビットは、人工原子であるが故の制御性の良さ、および超伝導回路の設計自由度の広さによる拡張性が注目されている。これまでに、複数量子ビットを用いた量子演算や量子状態制御が実現されている。一方、最近では、量子ビットの特性向上あるいは新たな機能追加を目指し、異なる物理系との複合化が盛んに研究されている。本講演では、NTT物性研で取り組んでいる、電子スピン集団との複合化による量子メモリの開発と、非線形共振器との複合化による量子非破壊測定の研究を紹介する。

ポスターセッション

松田 信幸(NTT物性科学基礎研究所) 「モノリシック集積された偏光もつれ光子対源」
不破 麻里亜(東京大学 古澤研究室) 「単一量子ビットの決定論的テレポーテーション」
佐藤 貴彦(東京大学 今井研究室) 「Scalable generation of a cluster state using nearest neighbor probabilistic parity projection」
秋笛 清石(東京大学 村尾研究室) 「Distributed quantum computation over networks」
吉田 雅一(中央大学 今井秀樹研究室) 「量子LDPC CSS符号を用いた量子もつれ共有プロトコルの性能評価」
田島 裕康(東京大学 羽田野研究室) 「4qubit純粋状態のSchmidt分解」
稲葉 弘一(早稲田大学 湯浅研究室) 「リング干渉計を用いて2量子ビット間に任意の初期状態から確率1でエンタングルメントを生成する方法」
田中 咲(慶應義塾大学 山本研究室) 「Adaptive Zeno measurement for qubit state preparation」
松田 孟留(東京大学 数理第五研究室) 「位置と運動量の同時測定における縮小推定」
松岡 耕司(早稲田大学 湯浅研究室) 「スクイーズド状態を用いた散乱ポテンシャル強度の推定」
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第15回Student Chapter
開催日 2012年5月30日(水)
場所 日本大学 駿河台キャンパス
世話人 行方 直人(日本大学 量子光学研究室 助手)

講演者

行方 直人 先生(日本大学 量子光学研究室 助手)

「光子検出技術と量子情報分野への応用」

【講演要旨】

概要:光子検出器は光量子情報分野において最も重要な技術である。ここ10年余りで単一光子検出技術は劇的な進歩を遂げ、その性能は都市圏サイズの量子鍵配送システムへの応用が可能なレベルまで到達している。また、近年においては、光子数識別能を有する高効率光子検出器も開発され、多光子を扱う実験へ応用されはじめている。本講演では、光子検出技術に関して概観し、その量子情報、量子光学実験への応用展開に関して紹介する。

東 浩司 先生(NTT物性科学基礎研究所)

「コヒーレント状態量子もつれに対する最適変換」

【講演要旨】

概要:量子通信を行うためには、遠く離れた二者間で量子もつれを共有する、あるいは共有する能力を担保することが基本である。通常、これらの「量子もつれ共有」は光パルス伝送によって行われ、中でもコヒーレント状態にある光伝送に基づく量子通信は古くから知られた基本的な量子もつれ共有の一つである。本発表では、このような量子通信の基本的考え方から始め、最終的にコヒーレント状態伝送によって生成される量子もつれの「価値」を明らかにする。具体的には、コヒーレント状態伝送によって共有された量子もつれを、リスクを負って、より強い量子もつれに変換するあらゆる操作に対する理論限界を与え、さらにはその理論限界を達成する一つの方式を提示する。

ポスターセッション

土屋 翔吾(東京理科大学 高柳研究室) 「dc-SQUIDによるSr2RuO4中の局所磁場観測」
佐久間 大輔(東京理科大学 高柳研究室) 「dc-SQUIDによる自己形成InAs量子ドット中の光励起電子スピン検出に向けた研究」
松尾 康弘(東京大学 山本研究室) 「ストリークカメラによる励起子ポラリトン凝縮体の二次コヒーレンス関数の測定」
Talukder Md Javed Rouf(国立情報学研究所 山本研究室) 「注入同期による面発光半導体レーザーの偏光制御」
加地 史弥, 木村 純, 後藤 僚之, 増山 雄太, 石川 豊史, 山崎 歴周, 中村 泰信(東京大学 中村研究室) 「Quantum Information Physic and Engineering with Super-Conducting Qubits」
寺澤 翔一郎(早稲田大学 湯浅研究室) 「環境の影響下での2量子ビット間エンタングルメント生成」
佐藤 貴彦(東京大学 今井研究室) 「Quantum-Network Coding for Quantum Repeaters」
田中 咲(慶應義塾大学 山本研究室) 「適応ゼノ測定による量子2状態系の状態生成」
熊谷 亘(東北大学 須川研究室 / 名古屋大学 林研究室) 「純粋状態に対するエンタングルメント抽出の非可逆性」
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第14回Student Chapter
開催日 2012年3月7日(水)
場所 東京理科大学 神楽坂キャンパス
世話人 佐久間 大輔(東京理科大学 高柳研究室)

講演者

中ノ 勇人 先生(NTT物性科学基礎研究所)

「『量子ビットの状態を検出器で測定する』過程の量子ダイナミクス」

【講演要旨】

量子ビットの状態測定は単純な射影量子測定の実例である。多くの場合,検出器を量子ビットと相互作用させて検出器の状態を測定し、その結果から量子ビットが射影された状態を「推測」するのが現実の測定である。我々は、実際に行なっている、超伝導量子ビットをSQUIDを検出器として測定する実験について、量子ビットと検出器の合成系の時間発展を計算し、測定過程において何か起こっているのかを解析した。その際に、量子ビットと検出器の間の量子相互情報量あるいは古典相互情報量がどのように成長していくかも定量的に議論する。

石黒 亮輔 先生(東京理科大学 高柳研究室 助教)

「超伝導接合系における物理とその可能性(高柳研究室研究紹介)」

【講演要旨】

高柳研究室では微細加工により様々な超伝導接合を作製し、その応用可能性を探りながら研究を行っている。現在、超伝導半導体接合、超伝導量子ドット接合、超伝導グラフェン接合、S波超伝導カイラルP波超伝導接合やこれらを用いたSQUIDなどが主な研究対象になっており、それぞれについて量子情報への展開可能性を交えながら紹介する。

ポスターセッション

佐久間 大輔(東京理科大学 高柳研究室) 「dc-SQUIDによる自己形成InAs量子ドット中の光励起電子スピン検出に向けた研究」
牧野 兼三(東京大学 古澤研究室) 「伝令付き単一光子状態に対する時間遅延付与の研究」
森田 裕也(東京理科大学 高柳研究室) 「マイクロは照射下における超伝導デバイス負性抵抗確認とMW power依存性」
長谷川 浩史(大阪大学 井元研究室) 「集団位相雑音下で保護された量子状態配送を用いたエンタングルメントスワッピング実証実験」
増山 雄太(学習院大学 平野研究室) 「Coutersuperflow of atomic Bose-Einstein condensates」
村山 和裕(学習院大学 平野研究室) 「都市圏通信に向けた連続量単一光路量子鍵配送」
桝本 尚之(東京大学 山本研究室) 「カゴメ格子状の微小共振器内エキシトン・ポラリトン」
稲葉 弘一(早稲田大学 湯浅研究室) 「マッハ・ツェンダー干渉計を用いて2量子ビット間に任意の初期状態から確率1でエンタングルメントを生成する方法」
松岡 耕司(早稲田大学 湯浅研究室) 「同種粒子性を利用する量子計測と識別不可能性」
秋笛 清石(東京大学 村尾研究室) 「バタフライネットワーク上でのSU(4)の実装」
池田 康(大阪大学 井元研究室) 「Entanglement and Topology」
佐藤 貴彦(東京大学 今井研究室) 「量子ネットワークコーディング」
田中 咲(慶應義塾大学 理論研究室) 「Drag Model of Adaptive Measurement」
若桑 江友里(東京大学 村尾研究室) 「拡張されたランダムアクセス符号に基づく情報因果律の解析」
熊谷 亘(東北大学 林研究室) 「純粋状態に対するエンタングルメント抽出の非可逆性」
吉田 雅一(中央大学 今井秀樹研究室) 「Mean King問題を応用した量子鍵配送の安全性に関する考察」
伊與田 英輝(東京大学 加藤岳生研究室) 「固体発光素子から生成される単一光子の純粋度:位相緩和の効果」
熊谷 英敏(大阪大学 基礎工学研究科物質創成専攻) 「On the robustness of quantum communication based on decoherence-free subspace using counter propagating weak laser light」
作道 直幸(京都大学 凝縮系理論グループ) 「ペロン・フロベニウスの定理を用いたフェルミ気体の相転移の解析」
Hajdusek Michal(東京大学) 「Entanglment in pure graph states」
松崎 雄一郎(NTT物性科学基礎研究所) 「Enhanced energy relaxation process of quantum memory coupled with a superconducting qubit」
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第13回Student Chapter
開催日 2011年11月10日(木)
場所 国立情報学研究所 ミーティングルーム
世話人 高口 大樹(総合研究大学院大学 根本研究室)

講演者

根本 香絵 先生(国立情報学研究所 教授)

「スケーラブルな量子情報素子の実現化」

【講演要旨】

実験室ではさまざまな物理系を用いて量子的な制御が可能になり、数量子ビットでのゲート操作が可能になってきました。この9月にはイオントラップで6つの量子ビットを100ゲートまで動作するという画期的なレポートがありました。将来の量子情報素子はこの延長上にあるのでしょうか。理論的な視点から、将来性のある拡張性の高い量子素子の構成方法と、その量子情報システムのあり方について、最新の研究成果をご紹介します。

木村 元 先生(芝浦工業大学 助教)

「量子力学の物理原理を求めて」

【講演要旨】

本講義では、量子力学の未解決問題の一つである「物理探究」について解説する。周知のとおり、量子力学は物理的にも数学的にも完成された学問である。その一方で、量子力学ほど直感的に理解した気になれない学問も珍しい。その一つの理由は、量子力学の理論体系が、それ自体物理的(あるいは操作的)意味を持たない数学(例えば、Hilbert空間と線形作用素論)によって表現されていることが挙げられる。量子力学が、抽象的な数学ではなく(実験で確認可能な)物理原理から説明できたとすると、より量子的現象を把握する直感が働くことが期待される。この問題は、量子力学の生誕以来古くから幾度となく問われてきたが、昨今の量子情報科学の発展に呼応して、再び世界的に注目を集めている。本講義では、量子力学を操作的な確率モデルの一種だと捉え、その物理原理を探求する試みを紹介する。

ポスターセッション

田中 亨(早稲田大学 中里・阿部研究室) 「トモグラフィーを用いない量子系の純粋度の測定」
寺澤 翔一郎(早稲田大学 湯浅研究室) 「観測とランダム操作の繰り返しによる2量子ビットエンタングルメント生成」
水田 貴裕(東京大学 古澤研究室) 「光子除去操作における量子モードフィルタリング」
宮田 一徳(東京大学 古澤研究室) 「光子検出とへに操作を用いた鉱指数状態の重ね合わせの生成」
奥出 淳也(早稲田大学 湯浅研究室) 「複数の同種粒子の散乱によるポテンシャル強度の推定」
佐藤 貴彦(東京大学 今井研究室) 「量子中継器ネットワークコーディング」
関口 峻史(早稲田大学 中里・阿部研究室) 「3量子ビット系におけるSvetlichny-type不等式を用いた非局所性の解析」
田中 咲(慶應義塾大学 理論研究室) 「弱測定を用いた増幅」
吉田 雅一(中央大学 今井秀樹研究室) 「Mean King問題と量子誤り訂正符号」
藤井 剛(日本大学 量子光学研究室) 「超伝導転移端センサを用いた光子数識別器の開発」
坂下 達哉(電気通信大学 長岡・小川研究室 / 東京大学 数理第4研究室) 「量子i.i.d.状態の仮説検定問題における数値シミュレーション」
町田 拓也(明治大学 先端数理科学インスティテュート) 「2次元格子上の離散時間量子ウォークの極限定理」
松崎 雄一郎(NTT物性科学基礎研究所) 「Magnetic field sensing beyond the standard quantum limit under the effect of decoherence」
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第12回Student Chapter
開催日 2011年2月27日(日)~28日(月)
場所 東北大学 電気通信研究所
世話人 稲垣 卓弘(東北大学 枝松・小坂研究室)
金田 文寛(東北大学 枝松・小坂研究室)

講演者

鹿野 豊(東京工業大学 宇宙物理学理論研究室)

「Theory of Weak Valueの歴史と現状、そして未来へ」

【概要】

Yakir Aharonovとその仲間らによって考え出されたWeak Valueという概念は歴史的な名前の由来はWeak Measurementという概念からつけられた。何故、このような変な量を導入しようと考えたのかという歴史的経緯をお話し、現状、Weak Valueを使うと何が分かるのか?ということを紹介する。そして、Weak Valueと呼ばれる量を独立で扱い、量子力学の再公理化しようとする将来の試みをお話したいと思う。

清水 亮介(電気通信大学 先端領域研究センター)

「周波数量子もつれ状態の生成と制御」

【概要】

超短パルス光を用いた従来の光計測技術では光の古典的波動としての性質をほぼ完全に制御し、計測を行うことが出来つつある。しかし、光の量子性に起因した自由度の制御はほとんどなされていない。そこで、光の非古典的性質の一つである「量子もつれ」を量子情報処理技術だけでなく、光計測技術へ応用することを目指し、制御された周波数量子もつれ光源の開発を行ってきた。講演では擬似位相整合素子を用いた周波数量子もつれ状態の制御方法と作製した周波数量子もつれ光源の特徴について議論する。

田島 裕康(東京大学 羽田野研究室)

「3-qubit純粋状態のLOCC変換」

【概要】

3-qubit 純粋状態|ø〉から|&phi'〉への成功確率1のLOCC変換が可能であるための必要十分条件を与える[1]。これはNielsenが1999年に2者に対して行った研究[2]の拡張になっている。私の条件は2者間のもつれ量jAB, jAC, jBCと3者間のもつれ量jABC, J5, そして今回新たに定義されたJcの6つのエンタングルメント指標の変換式として与えられる。これによって、3-qubit純粋状態のもつれ量の移動と散逸が成功確率1のLOCC変換によってどのように起こるかを完全に解明した。jAB, jAC, jBC, JABC, J5の5つは連続量だが、Jcは-1,0,1の3種類のとびとびの値をとる。さらにJcは成功確率1のLOCC変換に対して不変であり、複素共役変換で正負が反転する。こうした性質から、Jcは「エンタングルメントの電荷」と解釈する事ができる。さらに、3-qubit純粋状態においては、成功確率1のLOCC変換は、それがもし可能であるならば、観測結果を局所ユニタリ変換で一意にできるような一般測定を3回、任意の順番でqubit A, B, Cに施すことで再現できる事も示された。これはHorodeckiらが1998年に2者に対して行った研究[3]の拡張になっている。

  • [1] H.Tajima, arXiv:1012.1676
  • [2] M. A. Nielsen, Phys. Rev. Lett. 83, 436 (1999)
  • [3] M. Horodecki, P. Horodecki, and R. Horodecki, Phys. Rev. Lett. 80, 5239 (1998).

松田 信幸(NTT物性科学基礎研究所)

「結合共振器光導波路における非線形光学」

【概要】

TBA

吉田 雅一(中央大学 今井秀樹研究室 D1)

「Mean King Problemと量子誤り訂正符号」

【概要】

本研究では、量子推定問題の一つであるMean King Problemを、量子誤り訂正符号の観点から捉え、その一般的解法を示す。Mean King Problemは、その名前が示唆するように、意地悪な王様による物語形式で説明されることが多い。登場人物の一人であるAliceは、(任意に)量子状態の準備を行うことができるが、King はその量子系に特別な測定を行う。続いて、Aliceはその量子系に対する操作を一度だけ許されるが、Kingが測定種類を明かした後に直ちに測定結果を当てなくてはならない。本研究では,King の測定を量子状態に加わる 「誤り」とみなすこと、Aliceの準備する量子状態がその誤りに対する量子誤り訂正符号となることを示した。具体例として、Kingの測定を射影測定X およびZとしたとき、それらに対する二次元以上の量子誤り訂正符号をGHZ状態より構成可能となる。また、対応する符号状態を用いることにより、Mean King Problemの解法を示すことができる。その結果、Aliceは状態準備に携わる必要がなく、任意の符号状態をスタートにしても測定結果を正しく推定することが可能となり、MeanKing Problemが一般化される。

ポスターセッション

作道 直幸(京都大学 凝縮系理論グループ) 「二成分冷却フェルミ気体の超流動転移点の決定」
生田 力三 (大阪大学 井元研究室) 「可視域から通信波長域への非古典光の周波数下方変換」
熊谷 亘(東北大学 小谷研究室) 「量子ガウス状態族に対する量子仮説検定」
仲山 将順(東京大学 村尾研究室) 「Quantum circuit model of dissipative qubit dynamics leading canonical distribution」
佐々木 寿彦(東京大学 筒井研究室) 「同種粒子系の量子もつれについて」
足立 頼俊(大阪大学 井元・小芦研究室) 「Analysis of QKD schemes with additional detectors」
渡辺 優(東京大学 上田研究室) 「量子推定理論による測定誤差についての不確定性関係の定式化」
松浦 心平(東北大学 枝松・小坂研究室) 「四光波混合を用いたCuCl微小共振器中の励起子分子の観測」
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第11回Student Chapter
開催日 2010年12月2日(木)
場所 慶應義塾大学 矢上キャンパス
世話人 平野 梨伊(慶應義塾大学 伊藤研究室)
有川 格(慶應義塾大学 伊藤研究室)

講演者

山本 直樹(慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科)

「量子フィードバック制御理論の基礎」

【概要】

量子系を制御する方策として、系を時間連続的に測定し、測定結果に基づいた操作を行う「フィードバック制御」によるものが容易に思いつく。しかし、古典系の場合と異なり、量子系については例えば非可換物理量を同時に測定することができないなど、測定に本質的な制限が課せられる。また、制御を考慮するにあたって、測定のバックアクションも見逃せない問題となる。本講演では、このような問題をクリアし新しい量子情報操作プロトコルを提供する「量子フィードバック制御理論」の基礎を説明する。とくに、この理論の実際的恩恵として、エンタングルの確定的生成法などについて説明する。

伊藤 公平(慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科)

「シリコン量子コンピューティング」

【概要】

慶應におけるシリコンを用いた量子コンピューティングに関する研究を紹介する。シリコン中の量子ビットの候補としては、シリコン核スピン、リンドナー核スピン、リンドナー電子スピンに着目している。これらのスピン物性研究の概要を紹介する。

ポスターセッション
篠原 肇(慶應義塾大学 伊藤研究室) 「中性粒子ビームエッチングによるGaAs微細構造のフォトルミネッセンス評価」
馬場 達也(東京理科大学 高柳研究室) 「超伝導磁束量子ビットのJBAによる測定」
有川 格(慶應義塾大学大学院 伊藤研究室) 「核スピンを排除したSi/SiGeヘテロ構造の作製と評価」
飯田 早苗(慶応義塾大学 山本研究室) 「Experimental demonstration of coherent feedback for squeezing optical field」
太田 竜一(東京大学 岩本研究室) 「Demonstration of the strong coupling in a quantum dot-nanobeam cavity system」
川上 恵里加(慶應義塾大学 伊藤研究室) 「Si中のリンドナー電子のデコヒーレンス過程:リンドナー電子間の相互作用による影響」
桝本 尚之(東京大学 山本研究室) 「エキシトン・ポラリトンBECを用いた一次元物理と量子リング構造の研究」
関口 武治(慶應義塾大学 伊藤研究室) 「特別研究准教授 Optically detected NMR of 31P donor in 28Si」
安藤 慧(早稲田大学 湯浅研究室) 「状態の初期化,多数回試行の重ね焼きを必要としない2量子ビット間イジング相互作用定数の推定」
奥出 淳也(早稲田大学 湯浅研究室) 「観測とフィードバックの繰り返しによるベル状態の生成と操作エラーの影響」
杉山 綱祐(慶應義塾大学 山本研究室) 「量子フィルタリングにおける不確かさの限界」
田島 裕康(東京大学 羽田野研究室) 「3-qubit純粋状態のLOCC変換の必要十分条件」
多治見 剛(慶應義塾大学 山本研究室) 「連続変数システムにおける動的量子誤り訂正」
金城 慶之(東京大学 村尾研究室) 「バタフライネットワーク上での量子計算」
立本 貴大(大阪大学 井元研究室) 「二者間量子ゲームにおける成功確率の非古典的振る舞い」
田中 冬彦(科学技術振興機構さきがけ) 「複合対立仮説の下での完全混合状態の仮説検定」
町田 拓也(明治大学) 「時間的に非一様な量子ウォークの局在化モデル」
石崎 佳織(慶應義塾大学 環境情報学部) 「物理的量子ビット群への効率的な量子変数配置方法の構築」
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第10回Student Chapter
開催日 2010年9月3日(金)
場所 日本電気(株) 筑波研究所
世話人 白根 昌之(NECグリーンイノベーション研究所)
講演者

萬 伸一(日本電気(株))

「NECの研究開発」

中村 泰信(日本電気(株))

「超伝導量子ビット -- 電気回路に現れる量子力学」

【概要】

マクロなスケールの電気回路上にいかにコヒーレントな量子状態を実現し、どのようにしてそれを制御・観測するか、巨視的量子コヒーレンスの探究に始まり量子演算回路の実現を目指して進展をつづける超伝導量子ビットに関する研究を紹介する。

ポスターセッション
作道 直幸(京都大学 凝縮系理論グループ) 「二成分冷却フェルミ気体の超流動転移点の決定」
杉山 太香典(東京大学 村尾研究室) 「量子トモグラフィにおける測定器系の性能評価ー大偏差的視点から」
田嶌 俊之(大阪大学 井元研究室) 「光子系W状態拡張実験」
中田 芳史(東京大学 村尾研究室) 「一次元横磁場中のXY模型における基底状態多体エンタングルメントの熱耐性の解析」
奥山 倫(慶応大学 江藤研究室) 「Aharonov-Bohm Effect on Wigner Molecule in Type-II Semiconductor Quantum Dot 」
佐々木 寿彦(東京大学 筒井研究室) 「クラスター状態を用いた一方向量子計算における量子もつれの測定結果非依存性」
延広 篤志(大阪府立大学 石原研究室)   「集光アンテナと光学禁制励起の結合による高効率エネルギー凝集」
白根 昌之(NECグリーンイノベーション研究所) 「量子ドット中の荷電励起子分子からのカスケード発光」
田中 冬彦(科学技術振興機構さきがけ数学領域) 「フィデリティ損失に基づいた純粋状態モデルのベイズ予測と情報幾何」
作道 直幸(東京大学 上田研究室) 「量子クラスター展開法による冷却原子気体の研究」
伊與田 英輝(東京大学 加藤(岳)研究室) 「有限温度のショットノイズを用いた分数量子ホール系の統計因子の決定」
稲垣 卓弘(東北大学 枝松・小坂研究室) 「光子・電子スピンの量子メディア変換におけるプロセストモグラフィ測定」
金田 文寛(東北大学 枝松研究室) 「疑似位相整合による決定的周波数ビンエンタングル光子対の生成」
沙川 貴大(東京大学 上田研究室) 「フィードバック制御による「情報-エネルギー変換」の実験的実現」
知崎 陽一(産業技術総合研究所) 「結合ジョセフソン接合における協力的な巨視的量子トンネル現象」
熊谷 英敏(大阪大学 井元研究室) 「ツリークラスターを用いたロストレラントな量子計算の解析」
赤松 大輔(産業技術総合研究所) 「産総研におけるSr光格子時計の開発の現状」
吉原 文樹(理化学研究所 ) 「磁束量子ビットのラビ振動の緩和率測定による磁束ノイズの評価」
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第9回Student Chapter
開催日 2010年6月10日(木)
場所 東京大学本郷キャンパス工学部6号館
世話人 橋口 幸治(東京大学 香取研究室 D1)
牛島 一朗(東京大学 香取研究室 M2)
鵜飼 竜志(東京大学 古澤研究室 D1)
参加人数 91名
講演者

山本 倫久(東京大学 工学系研究科 物理工学専攻 樽茶・大岩研究室 助教)

「半導体低次元電子系におけるコヒーレント状態の制御」

【講演要旨】

量子サイバネティクスは、コヒーレント状態の制御、検出の研究を基に、それを量子計算などの新規量子情報操作技術へと活用することを目標として平成21年度に発足した。この量子サイバネティクスの活動の一環として、我々は、半導体ナノ集積構造における量子状態制御、観測、伝送に関する研究を行っている。本講演では、半導体中の電子の量子力学的な振る舞いを紹介し、そのコヒーレントな状態制御に基づいた量子情報素子の設計について述べる。

高野 哲至(東京大学 工学系研究科 物理工学専攻 香取研究室 博士研究員)

「レーザー冷却と光格子時計」

【講演要旨】

本研究室では、従来のマイクロ波時計の性能を超える時計として「光格子時計」を提案し、その有効性の実証実験を行ってきた。光格子時計では、魔法波長と呼ばれる特殊な波長で格子状ポテンシャルを形成することにより、余分な摂動を与えずに多数個の原子を捕獲し、遷移周波数の観測を行う。今回の見学では、既に稼働している3台の光格子時計などを紹介するので、講演ではその基礎知識となる、光格子時計・レーザー冷却の原理や装置の概要などについて述べる。

米澤 英宏 (東京大学 工学系研究科 物理工学専攻 古澤・米澤研究室 グローバルCOE特任講師)

「光の量子状態の生成と操作」

【講演要旨】

古澤研究室の最も基本的なテーマはスクイ―ズド光を用いた量子テレポーテーション実験である。近年はその拡張として様々な光の量子状態の生成・操作に関する実験を行っている。例えば、スクイ―ズド光を用いてクラスター状態と呼ばれる量子エンタングルメントを生成し、それを用いた簡単な量子状態操作を実現している。また、スクイ―ズド光が偶数光子状態からなることを利用し、光子を引き去って(検出して)単一光子状態を生成する実験なども行っている。本講演では、これら最近の実験などについて説明する。

ポスターセッション
武田 俊太郎
(東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻 古澤研究室)
「非ガウス型状態の量子テレポーテーション」
中根 大輔
(東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻 古澤研究室)
「アダプティブホモダイン測定による位相スクイーズド光の位相推定の研究」
野口 篤史
(東京工業大学 大学院理工学研究科 物性物理学専攻 上妻研究室)
「Quantum State Engineering using Single Nuclear Spin Qubit of Optically Manipulated Ytterbium Atom」
金井 康
(東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻 樽茶研究室)
「Electrical control of spin-orbit interaction in self-assembled InAs quantum dots」
橋口 幸治
(東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻 香取研究室)
「Sr原子の中赤外領域の遷移を用いた研究」
今井 弘光
(東京理科大学 大学院理工学研究科 物理学専攻)
「Ramsey interferometry and geometric operation with a sodium Bose-Einstein condensate using two-photon stimulated Raman transitions」
滝口 雅人
(東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 久我研究室)
「SATURATED ABSORPTION SPECTROSCOPY OF ACETYLENE MOLECULES WITH AN OPTICAL NANO-FIBER」
安藤 慧
(早稲田大学 大学院理工学部先進研究科 物理学及応用物理学専攻 湯浅研究室)
「光学格子から解放されたボース凝縮体列の干渉とその揺らぎ」
池田 康
(大阪大学 基礎工学研究科 井元・小芦研究室)
「Entanglement and Topology」
奥出 淳也
(早稲田大学 大学院先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 湯浅研究室)
「補助系に対する観測とフィードバックの繰り返しによる2量子ビット間エンタングルメント生成」
高口 大樹
(総合研究大学院大学 根本研究室)
「Robustness of perfect entanglers」
奥山 倫
(慶応義塾大学 大学院理工学研究科 基礎理工学専攻 江藤研究室)
「Aharonov-Bohm effect on trion and biexciton in type-II semiconductor quantum dot」
生田 力三
(大阪大学 大学院基礎工学研究科 物質創成専攻 井元研究室)
「Optimal local expansion of W states using linear optics and Fock states」
沙川 貴大
(東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻 上田研究室)
「Information Thermodynamics」
添田 彬仁
(東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻 村尾研究室)
「分散型量子情報処理におけるエンタングルメント消費量:制御ユニタリ操作のときの下限」
田中 芳治
(東京理科大学 大学院理工学研究科 情報科学専攻 大矢研究室)
「A Generalized Model of m-level Quantum Teleportation」
足立 頼俊
(大阪大学 大学院基礎工学研究科 物質創成専攻 井元・小芦研究室)
「Boosting up quantum key distribution by learning statistics of practical single-photon sources」
報告概要

量子情報関東 Student Chapter は2008年4月に発足し、今年の6月で9回目をむかえました。量子情報関東 Student Chapter は、関東周辺の量子情報を中心とした量子物理に携わる学生・ポスドクなど若手研究者が主体となって、研究者同士の連携を築くことができるような情報交換の場を提供することを目指しています。発足当初から量子光学や冷却原子,半導体,NMR,超電導など様々な物性物理を専門とした方、情報理論,通信理論,計算理論,暗号などを専門とした方、など多くの分野から若手研究者が参加し、活発な議論が行われています。発足当初はポスター発表会のみを開催していましたが、第5回には実験室見学会を初めて実施し、今回第9回ではさらに3名の講師をお招きした講演会も開催致しました。以下では簡単に第9回 Student Chapter の報告を行います。
第9回 Student Chapter は6月10日に東京大学の本郷キャンパスで開催されました。今回は講演会、実験室見学会(香取研究室および古澤・米澤研究室)、ポスター発表の三企画を実施しました。今回初めての試みとなった講演会では、樽茶・大岩研究室の山本助教、香取研究室の高野研究員、古澤・米澤研究室の米澤講師をお招きして、専門の異なる学生にもわかるよう各講演とも基礎からお話をして頂きました。また、高野様と米澤様には実験室見学会で見せて頂く実験設備の概要についても説明をして頂きました。これは、第8回以前の参加者からの要望を取り入れたものです。実験室見学会は、実際に実験を行っている学生から直接説明を聞きながら見学を行える、ということで参加希望者が極めて多く、時間と空間的な制約のためwebからの参加登録を途中で締め切らなければならないほどでした。実験室見学の後は学生・ポスドクによるポスター発表を行いました。理論9名、実験7名の合計16名の方に発表して頂きました。分野も量子光学、冷却原子、半導体量子ドット、エンタングルメント理論、量子暗号など多岐にわたり、2時間の発表時間では足りないほどの盛況ぶりでした。今回は最先端研究開発支援プログラム「量子情報処理プロジェクト」および新学術領域「量子サイバネティクス」からご支援をいただいたことにより、遠方からの参加者への援助が行えることになりました。それにより、これまで地理的・金銭的な理由から参加できなかった多くの方が参加しやすくなり、これまでより大幅に増えた合計91名の方に参加していただきました。参加者へのアンケートでも、広い分野の若手研究者と交流し議論できる本研究会への肯定的な意見を多数いただきました。今後も多くの分野、多くの研究室の方に参加していただき、若手研究者間の連携を深めていければと考えています。
次回は9月3日(金)にNEC筑波研究所にて、超電導量子ビットについての講演と実験室見学会、ポスター発表を行う予定です。詳細については量子情報関東 Student Chapter のwebページをご覧ください。
量子情報関東 Student Chapter http://quangaroo.web.fc2.com/

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