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量子情報学生チャプター

関西学生チャプター

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第15回関西若手量子情報セミナー
運営委員(団体) 量子情報関西Student Chapter
幹事名 中田 陽介(京都大学工学研究科電子工学専攻 北野研究室)
報告者名 中田 陽介(京都大学工学研究科電子工学専攻 北野研究室)
日時 2013年11月28日(木)
場所 京都大学桂キャンパス A1棟
地下講義室(A1-001)
参加人数 59名
報告概要

2013年11月28日に第15回関西若手量子情報セミナーを京都大学桂キャンパスにて開催いたしました。今回は、大阪大学の野口篤史氏、および、理化学研究所の玉手修平氏による講演の後、実験室見学会とポスター発表会を並行して行いました。参加者は、59名(学部生12名 博士前期課程23名 博士後期課程 13名 PD 4名 助教 5名 准教 1名 教授 1名)となりました。今回の開催でも、最先端研究開発支援プログラム「量子情報処理プロジェクト」および新学術領域「量子サイバネティクス」からご支援をいただいたことにより、遠方からの参加者2名に対して、宿泊費を含めた旅費の補助を行わせていただくことができました。
野口篤史氏(大阪大学)には「イオントラップ中の量子トンネル回転子と量子トンネル効果」の題目で講演を行って頂きました。イオントラップ中にトラップされた複数個のイオンはトラップポテンシャルに応じて様々な配置を取ります。本公演では、特に2つの回転状態に着目しその間のトンネル現象を観測するという野心的実験について講演していただきました。さらに、トンネルの途中の状態に着目し、トンネル中でもアハラフ・ボーム効果が起こるという実験データも示して頂きました。玉手修平氏(理化学研究所)は「量子光学のABCD - 幾何光学から量子計算まで -」というタイトルの講演をされました。幾何光学で光線の伝搬はABCD行列で記述されます。一方で波動光学では、光は波として扱われます。波動光学においても、ハイゼンベルグ描像を用いるとABCD行列によって伝搬が記述されます。特にガウス分布に状態を限ると、スタビライザーフォーマリズムを用いて、ガウス分布を特徴付けるパラメータの発展がABCD則と呼ばれる簡単なルールとして定式化できます。ガウス状態のような状態は、時間発展後もガウス状態にあることが議論のポイントです。この理論構成と全く同様に、量子計算の分野でも、古典で効率的にシミュレーションできる閉じたクラスがあり、それに加えて、測定を加えることで量子計算機特有の性質が発揮できるという話を紹介していただきました。それぞれの講演において活発に質疑応答がなされました。
実験室見学では北野研究室で研究を行っているイオントラップ、量子光学、メタマテリアルに関する実験系を紹介させて頂きました。時間的制約のため説明は少なくならざるを得ない状況の中、ぎりぎりまで実験室の系を参加者の方に見ていただき、議論を行うことができました。ポスター発表会では11名の方に発表を行っていただきました。量子情報理論、量子光学やトラップ、光格子系、メタマテリアルなど多彩な話題を提供していただきました。特に、今回は、量子計算に関する話題が豊富で人気を集めていました。量子計算に関して理論側からも十分に議論を詰めていこうとする若手の学生が増えていることに頼もしさが感じられました。
量子情報関西 Student Chapter http://yagura.scphys.kyoto-u.ac.jp/wakate/

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第14回関西若手量子情報セミナー
運営委員(団体) 量子情報関西Student Chapter
幹事名 逵本 吉朗(大阪大学 井元研究室)
報告者名 逵本 吉朗(大阪大学 井元研究室)
日時 2013年3月8日(金)
場所 大阪大学 豊中キャンパス
基礎工学部 B棟 3F 大講義室
参加人数 51名
報告概要

第14回関西若手量子情報セミナーを大阪大学豊中キャンパスにて開催しましたので、ご報告します。セミナー前半に講演会、後半に実験室見学を行いました。51名(学部生7名、博士前期課程21名、博士後期課程12名、PD7名、助教4名)もの方々にご参加いただき、大変盛況となりました。以下に内容について詳細を述べます。
岡野真之氏(北大電子研)には「量子光断層撮影~もつれ光子対の応用に向けて~」という題目で、光断層撮影における古典と量子の違いについてその原理から最新の研究成果まで、図をたくさん用い専門外の人や学部生にもわかりやすく説明していただきました。具体的には、マイケルソン干渉計を用いた原理説明、より高い分解能で物体のより深い場所をイメージングするという目標と古典光断層撮影における群速度による分解能と深さのトレードオフの説明、そして量子光断層撮影では二光子干渉の特性により群速度分散の影響を受けず、より深くより高分解能なイメージングができることを説明していただき、最後に最新の原理検証実験の実験結果を説明していただきました。
熊谷英敏氏(阪大井元研)には「デコヒーレンスフリー部分空間を用いた量子通信における雑音耐性および高効率化」という題目で、量子状態がその伝送過程で受けるデコヒーレンスを回避して、二者間で量子状態を共有する方法について説明していただきました。具体的には、これまで提案されている方法として成功確率が光ファイバーの透過率の二乗に比例し任意の雑音に対して耐性がある方法と、成功確率は光ファイバーの透過率に比例するが位相雑音のみに耐性がある方法があることの説明と、先に挙げた2つの方法の利点を組み合わせた成功確率が光ファイバーの透過率に比例し任意の雑音に耐性がある方法の提案、そしてどのような場合にこの方法が適用できるかを説明していただきました。それぞれの講演において、活発な質疑応答がなされました。
講演会後、33名の方に当研究室の量子光学の実験室と占部研究室の量子エレクトロニクスの実験室を見学いただきました。具体的には、両研究室の研究内容について大まかな説明をした後、実験室に移動して実際に実験装置を見学していただきました。実験装置や測定システムについて様々な質問をいただき非常に有意義なものになりました。見学時間は2時間程度でしたが、活発な議論がなされ時間が足りないほど盛況な研究会となりました。
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第13回関西若手量子情報セミナー
開催日 2012年11月8日(木曜日)
場所 京都大学化学研究所
共同研究棟 大セミナー室(CL-110)
世話人 知田 健作
(京都大学化学研究所 小野研究室)
参加人数 64名
報告概要

第13回関西若手量子情報セミナーを京都大学宇治キャンパスにて開催しましたので、ご報告します。セミナー前半に講演会、後半に実験室見学会を行いました。64名(学部生9名、博士前期課程29名、博士後期課程19名、PD5名、助教2名)もの方々にご参加いただき、大変盛況となりました。今回の開催では、最先端研究開発支援プログラム「量子情報処理プロジェクト」および新学術領域「量子サイバネティクス」からご支援をいただいたことにより、遠方からの参加者に対して、宿泊費を含めた旅費の補助を行うことができ、その結果関東からの参加者は3名でした。以下に内容について詳細を述べます。
井上遼太郎氏(京大高橋研)には「冷却原子集団と量子情報」という題目で、量子フィードバックついての最新の結果を報告していただきました。具体的には、冷却原子を用いた二準位系に関する基本的な概念について丁寧に説明していただき、それを元に、原子と光の相互作用の制御に関して解説していただきました。
田渕豊氏(阪大北川研)には「マイクロ波量子光学とスピン」という題目で、超伝導パラメトリック増幅器に関する実験の最近の進展についてお話し頂きました。具体的には、電磁波領域における測定に関する基本的な考え方を直感的に解説して頂き、電磁波領域における精密測定の実現への進捗状況や意外な発見についてお話し頂きました。それぞれの講演において活発に質疑応答がなされました。
講演会後、47名の方に実験室を見学頂きました。具体的には、当研究室の極低温測定環境や微細加工装置などを見学頂きました。更に、現在我々の研究室の取り組んでいる研究テーマである磁壁電流駆動やスピン起電力、磁性の電界制御などについて説明させて頂きました。様々なご質問を頂き、非常に有意義なものとなりました。見学時間は2時間弱でしたが、まだまだ議論し足りないほどの盛況ぶりでした。異分野間での交流の場が持てたこと、非常に感謝しております。
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第12回関西若手量子情報セミナー
場所 京都大学 理学研究科 セミナーハウス
日時 2012年4月19日(木曜日) 13:20~
世話人 山本 隆太(京都大学 高橋研究室)
プログラム
  • 1.講演 (13:45-16:00)
    講演者 藤井啓祐氏
    「フォールトトレラント量子計算の基礎--量子計算機はどうあるべきか?--」
    「トポロジカルフォールトトレラント量子計算入門」
  • 2.ポスターセッション
    懇親会;京都四条河原町周辺にて(18:40-)
参加人数 52名
報告概要

第12回関西若手量子情報セミナーを京都大学吉田キャンパスにて開催しましたので、ご報告します。今回のセミナーでは前半に講演会、後半にポスターセッションを行いました。また、今回のセミナーの参加者募集期間が約1週間と非常に短かったにもかかわらず、52名(学部生6名、博士前期課程20名、博士後期課程15名、PD4名、教員5名、研究員2名)もの方に参加していただくことができました。以下に内容の詳細を述べます。
今回の講演会では、藤井啓祐氏(阪大井元研)に前後半の2回に分けて講演していただきました。講演会の前半では「フォールトトレラント量子計算の基礎--量子計算機はどうあるべきか?--」という題目で、量子コンピュータの成り立ちからフォールトトレラント量子計算について、さらに最近の研究の概観について講演していただきました。具体的な内容として、量子コンピュータの必要性、測定などによるノイズを考慮に入れた量子計算(フォールトトレラント量子計算)についてわかりやすく説明してくださいました。最近の研究の概観では、理論研究によるフォールトトレラント量子計算のしきい値の変遷について、またイオントラップ、NVセンター(ダイヤモンド内の窒素・空孔複合体)や超伝導q-ビットを用いた分散型量子計算の実験状況について紹介してくださいました。後半では、「トポロジカルフォールトトレラント量子計算入門」という題目で講演していただきました。内容として、トポロジカル量子計算とはどのようなものか、また近年トポロジカル量子計算がなぜ注目されているのかを非常にわかりやすく講演していただきました。さらにq-ビットを用いてSurface Code を構成してトポロジカル量子計算を行う方法(Kitaevの理論)について具体的にかつわかりやすく講演していただきました。加えて、このトポロジカル量子計算で多q-ビット化する方法、CNOTゲートの実現方法につて直感的にわかりやすく説明していただきました。いずれの講演会においても予定していた質疑応答を含めた各1時間の講演時間では時間が足りないほどに盛んに質疑応答がなされました。
講演会後にはポスターセッションを行いました。このポスターセッションでは、12名の方に発表していただきました。内容については量子光学、冷却原子、イオントラップ、量子計算の理論など、多くの分野に及びました。ポスターセッションの発表時間は2時間でしたが、この2時間では議論しつくすことができないほどの盛況ぶりでした。
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第10回量子情報関西Student Chapter
開催日 2011年4月4日(月)
場所 京都大学 吉田キャンパス
世話人 川久保 亮(京都大学 山本研究室)
講演者

宇都宮 聖子(国立情報学研究所)

「励起子ポラリトンと超流動性」

【概要】

励起子ポラリトンは、マイクロキャビティと量子井戸構造を有する半導体の二次元構造内に生成される疑似粒子で、その状態はキャビティ外に放出される光子の分光によって測定される。これらの粒子群の空間位相分布や干渉効果の測定結果をもとに、その超流動性と二次元空間での凝縮に関する相転移について、最近の研究動向を交えて議論する。

渡辺 優(東京大学 上田研究室)

「量子推定理論における不確定性関係について」

【概要】

量子推定理論を用いることで、有限次元Hilbert空間に対して、量子測定の測定誤差についての不確定性関係の最も強いboundを求めた。量子系からその状態についての情報を得るためには、系に対して測定を行い、さらに測定結果から推定を行わなければならない。我々は、測定誤差を測定によって得られる情報量を用いて定義し、その誤差に対する不確定性関係を求めた。さらに、我々は全ての状態,物理量について不確定性関係の等号を達成する測定を構成した。

  • [1] YW, Takahiro Sagawa, Masahito Ueda, arXiv:1010.3571 (2010).
ポスターセッション
田中 陽(北大電子研・阪大産研・阪大基礎工) 「モノサイクルもつれ光子対の実現に向けた超広帯域光子対光源の開発」
根来 誠(阪大基礎工) 「スケーラブルなスピン増幅」
鹿野 豊(東工大院理工) 「Time Travel in Quantum Mechanics?」
土師 慎祐(阪大基礎工) 「Towards quantum simulation of Ising spin models with cold trapped 40Ca
井上 遼太郎(京大理・JST-CREST) 「Unconditional spin squeezing via quantum measurement and control」
佐藤 貴彦(東大情報理工) 「Path selection in heterogeneous quantum networks」
武村 尚友(東大理) 「Laser-phase transition analogy and photon statistics」
石崎 佳織(慶応大環境情報) 「物理的量子ビット群への効率的な量子変数配置方法の構築」
山本 悟(大阪市立大理) 「周期系量子ビットを目指したDNAビラジカルスピンラベル系の量子化学計算」
並木 亮(京大理) 「Quantum limit of the phase-insensitive linear amplification in a practical framework」
山崎 歴舟(京大理) 「Optical Control of Interatomic Interaction in the Cold Atom Quantum Simulator」
加藤 真也(京大理) 「High-resolution spectroscopy of an atomic Mott insulator」
素川 靖司(京大理) 「Strongly-Correlated Atomic Quantum Mixtures in an Optical Lattice」
原 秀明(京大理) 「Realization of quantum degenerate mixture of Li-Yb atoms」
田家 慎太郎(京大) 「Ultracold Atomic Fermi Gases with Enlarged Spin Symmetries」
村上 亮(京大理) 「冷却イッテルビウム原子気体の準安定状態における非弾性衝突レートの磁場特性」
山本 隆太(京大理) 「Towards constructing a 2D atom system with single-site addressability」
Ben Li(京大理) 「Theory of a thermal atomic beam and an ultracold bose gas interacting with a coherent light field」
中島 秀太(京大理) 「Efimov Physics in Ultracold Li6 atoms with tunable interactions」
藤井 啓祐(阪大) 「Performance comparison of surface (topological) codes」
楠戸 健一郎(国立情報学研究所) 「Meta-stable condensates in high orbital states」
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第9回関西若手量子情報セミナー
開催日 2010年10月22日(金)
場所 大阪大学 吹田キャンパス
産業科学研究所
世話人 谷田 真人
(北海道/大阪大学 竹内研究室)
報告者名 田中陽、谷田真人
(北海道/大阪大学 竹内研究室)
参加人数 70名(講演)・58名(実験室見学)
計72名
講演者

生田 力三(大阪大学 井元研究室)

「DFSを用いたエンタングルメント配送の高効率化」

【概要】

偏光に量子情報を載せた光子を光ファイバによって配送する際、位相雑音によって変更状態が乱されるため、配送される量子状態は容易に壊れてしまう。この問題の解決策として、送信する光子の偏光状態を2光子のDecoherence-Free Subspace(DFS)に符号化する方法が提案され、実証実験が行われた。この方法によって、時間変化がそれほど速くない位相雑音から量子状態を守る事ができる。しかし、DFSを利用した従来の方式では、量子状態の配送効率が光ファイバの透過率の2乗に比例するため、長距離通信において配送効率が著しく低下するという問題があった。この問題を解決するため、本研究では、DFSを利用したエンタングル状態の配送効率が光ファイバの透過率の1乗に比例する方法を提案し、実証実験を行った。今回の講演では、本方式の仕組みから実験結果までの詳細な解説を行う。

山崎 歴舟(京都大学 高橋研究室)

「Interaction of Cold Atoms (for Dummies!!) & Optical Feshbach Resonances」

【概要】

冷却中性原子は近年の量子縮退気体の技術の向上に伴い様々な応用に用いられています。高橋研究室では原子を電子、光格子を固体格子に見立て、ハバードモデルなど固体物性モデルの様々な振る舞いを明らかにする量子シミュレーションの研究を進めています。量子シミュレーションの中でも大切なものの一つに原子間の相互作用(Interaction)のコントロールがあります。講演ではこの冷却原子における相互作用について話したいと思います。前半は基礎的な概念や、他分野の人には特に不慣れな用語や概念の説明。後半は最近私達の研究室で行われた光を用いた原子間相互作用のコントロールについての話をしたいと思います (Phys.Rev.Lett.105,050405(2010))。光を用いたコントロールに特有の利得やそれを用いた将来的な応用などについても話すつもりです。

報告概要

第9回関西若手量子情報セミナーを開催しましたので報告いたします。セミナー前半に講演会,後半に竹内研究室の実験室見学を行いました。過去最多となる72名(学部生10名,博士前期課程32名,博士後期課程18名,PD6名,助教6名)に参加いただきました。以下に詳細を述べます。
生田力三氏(阪大井元研)には「DFSを用いたエンタングルメント配送の高効率化」と言う題目で,量子情報処理において重要な役割を果たすもつれ光子対をDecoherence Free Subspace(DFS)に符号化することでファイバ伝送する際に生じる位相雑音から保護できることを説明していただきました。また,従来の方法では,配送効率がファイバの透過率の2乗に比例し伝送距離が制限されていたのに対し,透過率の1乗に比例する新スキームの提案,及び,実証実験の結果と最新の報告をしていただきました。
山崎歴舟氏(京大高橋研)には「Interaction of Cold Atoms (for Dummies!!) & Optical Feshbach Resonances」と言う題目で,異なる分野に移った際のおすすめの書籍(for Dummies),及び,冷却原子系について直感的な例を用いた説明をしていただきました。また,2原子分子状態への遷移に対応するレーザー光を原子集団に照射し,その周波数を変化させることで,原子間相互作用を引力から斥力まで制御可能なこと(光Feshbach共鳴)を説明していただきました。また,光定在波パルスを用いたサブミクロン領域での原子間相互作用制御と言う最新の実験報告をしていただきました。それぞれの講演において,様々な質疑応答がなされました。
講演会後,バックグラウンドの異なる研究者にも見学前に背景を知ってもらえるように,新たな試みとして,竹内研究室が行っている光子を用いた量子情報処理の研究について田中陽氏から概要説明を行いました。
その後,実験室見学を行いました。内容としては,①線形光学素子を用いた量子情報処理(LOQC)において,光子の発生量が少ないことが課題となっています。その解決手法としての擬似位相整合(QPM)素子と高繰り返しパルスレーザーを用いた高効率もつれ光子対の開発.②従来のもつれ光子対光源では帯域制限により同時刻性が制限されていたのに対し,線形チャープQPM素子からなる超広帯域もつれ光子対光源は究極的な(光1周期分に相当する)時間相関を有します。この光源を用いることで,高解像量子光断層撮影など量子メトロロジーへの応用や巨大2光子吸収など量子非線形光学への発展が期待されます。それらの進展,及び,時間相関測定に必要な超伝導単一光子検出器の開発.③LOQCでは個々の量子ゲートの成功確率を引き上げることが困難であるため,光子-原子間非線形相互作用を用いた高成功確率な固体量子位相シフト実現を目指しています。そのテストベッドとしてのテーパファイバ-微小球共振器系の最適化,ダイアモンド内の窒素欠陥中心の自在制御,及び,極低温下におけるテーパファイバ-微小球共振器系の位相シフト量測定.④NOON状態(N光子が光路でもつれ合った状態)を用いた位相超敏感測定のポスター発表.の大きく分けて4つの研究紹介をしました。それぞれの研究紹介で活発な議論が行われ,全体を通して非常に盛況なセミナーとなりました。
量子情報関西 Student Chapter http://yagura.scphys.kyoto-u.ac.jp/wakate/

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第8回関西若手量子情報セミナー
開催日 2010年6月8日
場所 大阪市立大学(杉本キャンパス)
世話人 吉野 共広(大阪市立大学 佐藤研究室)
参加人数 50人
講演者

根来 誠(大阪大学 北野研究室)

「分子の核スピンを使った量子情報処理実験」

田家 慎太郎(京都大学 高橋研究室)

「光格子中の多成分フェミル原子による量子シミュレーション」

報告概要

第8回関西若手量子情報セミナーを大阪市立大学杉本キャンパスにて行いましたので、報告します。参加人数は50名(内訳は、教員4名、PD7名、DC20名、MC14名、学部4回生5名)であり、非常に雰囲気の良いセミナーとなりました。セミナーの前半は、本大学の理学研究科の物理化学の実験室見学を、後半は、根来誠さん(大阪大学北川研)と田家慎太郎さん(京都大学高橋研)による講演を行いました。
まず、化学の実験室見学を始める前に、本大学の工位先生に化学者の立場から、有機分子磁性体開発の底流となる高スピン化学から分子スピン量子ビットにいたるまでの研究室の歴史的背景についてお話いただきました。続いて佐藤グループ(分子スピン/量子コンピュータ)と八ッ橋グループ(レーザー化学)の実験室見学を行いました。佐藤グループは、パルスESR法(電子スピン共鳴法)を開殻系分子に適応させた量子情報処理を目指しています。分子の電子スピン-電子スピン系の量子状態制御を目指したパルス電子多重共鳴法による位相制御実験のみならず、物質開発のためのCW(定常波)法や、パルスESR法を用いたスピン多重度を調べる実験などの測定・原理・研究の具体例などを紹介しました。また、八ッ橋グループは、“多光子過程により化学反応の開かずの扉を開く”ことで新規化学反応の開拓を目指しています。30fs(テラワット)レーザーや飛行時間型質量分析計の測定・原理・具体的な測定を紹介していただきました。
後半、根来さんには「分子の核スピンを使った量子情報処理」という題目で講演をしていただきました。NMR量子計算の原理と歴史の丁寧な説明から、現在ご自身が行っているDNP(動的核偏極)を用いた分子核スピン系の研究を中心に、さらには現在構成中の研究についても、お聞きすることができました。このように、関西 Student Chapter では進行・構成中の研究についても、気軽に相談できるのが持ち味の一つだと思いました。
さらに、田家さんには「光格子中の多成分フェルミ原子による量子シミュレーション」
という題目で、光格子中の冷却Yb原子を用いたご自身の研究を中心に、超流動・モット絶縁体量子相転移の丁寧な説明から、「量子シミュレーション」の対象として期待されている重要な物理現象の話など、とてもたくさんの興味深いトピックについて、じっくりとお聞きすることができました。持ち時間は質問込みえ各1時間の予定だったのですが、多くの質問がでて、時間が足りないほど盛況な会となりました。

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