【概要】
2003年,ブダペストオープンアクセスイニシャチブ(BOAI)はオープンアクセス実現のためのふたつの方策を提案しました。ひとつは,研究者が執筆論文をみずからインターネット公開する「セルフ・アーカイビング」です。 大学・研究機関が設置する機関リポジトリや,PubMed Central 等の政府系アーカイブなどの形で発展してきています。もうひとつは,無料で利用できる電子ジャーナルを創刊し,そこに論文発表を行うというものです。そうした電子ジャーナルは「オープンアクセスジャーナル」と呼ばれ,現在世界で約8,000誌を数えます(スウェーデン・ルンド大学調べ)。
オープンアクセスジャーナルの出版には,商業出版社も参入し,近年では「オープンアクセスメガジャーナル」と呼ばれる従来の学術雑誌とは異質のメディアも生まれてきています。こうした電子学術情報流通環境の急速な展開の下で,今後,学術コミュニケーションの姿はどう変わっていくのでしょうか。
今回の SPARC Japan セミナーでは,今冬に創刊される eLife 誌 Managing Executive Editor の Mark Patterson 氏をお招きします。eLife は,世界有数の研究助成機関である,英国:ウェルカム・トラスト,米国:ハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI),ドイツ:マックス・プランク協会の3団体が合同で刊行する生命科学分野のオープンアクセスジャーナルで,論文出版加工料(Article Processing Charge(APC))は当面の間無料とされています。本セミナーでは,研究助成団体による学術出版にフォーカスし,オープンアクセス出版の現在と未来について議論を深めます。多くのみなさまのご来場をお待ちします。(当日は通訳がつきます) |