国立民族学博物館における学術情報センターシステムの利用

国立民族学博物館情報管理施設情報サービス課

文献図書係長  河野 富行

1.はじめに

 国立民族学博物館は,民族学に関する調査・研究を行うと同時に,民族資料の収集,保管,展示公開そして共同研究などの活動を行い,これらを通して世界の諸民族の社会と文化に関する情報を人々に提供し,諸民族についての認識と理解を深めることを目的としている。大学共同利用機関として,1977年に大阪万国博覧会の跡地の万博公園の中に設立され,昨年度は開館20周年の記念行事としてさまざまな催しを行った。

 本館は管理部,研究部,情報管理施設から成り,情報管理施設は標本資料の収集と展示を行う情報企画課,館全体のコンピュータシステムの管理を行う情報システム課,映像・音響資料と文献図書資料の収集と管理を行う情報サービス課の3つに分かれている。

2.データベースの作成と利用

 開館以来,収集した資料の管理と有効利用のため,ホストコンピュータを使用して種々のデータベースを作成し,現在は標本資料,図書,雑誌,映像音響資料,服装関連雑誌記事などの各データベースを所有している。これらのデータは,昨年MMIR(マルチメディア情報検索システム)にも移行し,文字検索によって標本やフィールドワークの写真・スライドの静止画像を見たり,民話や昔話などの声も聞くことができる。

3.学術情報センターシステムの利用

 図書館管理システムは開館当初から本館独自に開発したシステムを使用しており,学術情報センターに接続したのは平成4年10月で,他の国立大学の図書館などと比較すると遅い方である。したがって現在登録している図書の冊数はセンター接続後のものだけで,約3万冊と所蔵冊数(約37万冊)に比べて極めて少ない。しかし,平成5年からインターネットでの検索サービスを開始し,館外からも中国語,韓国語の図書を除いた全ての蔵書を検索することができるようになっている。

4.今後の課題

 現在の目録作成システムは学術情報センターが規定するEXC文字を表示することもダウンロードすることも出来ない。したがって本館が多数所蔵するアラビア語,サンスクリット語,ベトナム語など各種言語の文献はNACSIS-CATに登録できず,ローカルでの目録作成のみに留まり,このことが登録冊数の少ない一因ともなっている。また中国語の文献は市販の中国語ソフトを使用してパソコンでデータを作成しているが,まだ公開するに至っていない。平成11年度に図書館管理システムを更新する予定であり,その際には新CATに対応でき,これらの問題もクリア出来れば,と考えている。


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