国立科学博物館の学術情報センターシステムの利用

国立科学博物館図書室

平野 淳子

1.はじめに

 まず国立科学博物館について簡単に紹介してみよう。

 国立で唯一の科学博物館である当館は,平成9年で120年を迎えた。歴史的にはかなり古く,今日に至るまでに場所,規模などいろいろ変遷があったが,現在は上野地区に庶務部,普及部,教育部,新宿地区に4研究部(動物,地学,人類,理工学の各研究部),筑波地区に植物研究部と筑波研究資料センター(昭和記念館と実験植物園),目黒地区(港区白金台)に自然教育園と4ヵ所に分散している。図書室(職員は4名:図書専門員1名,非常勤3名)は新宿地区にあり(正式名称は「国立科学博物館普及部普及課広報図書係」の一部),図書資料の収集,管理,閲覧やレファレンスなどで普及教育活動,研究活動を支援している。

 当博物館は,自然史科学,理工学関係の研究および科学教育の普及活動,展示などが活動の中心であるため,図書資料もこの分野のものがほとんどで,文科系の資料や一般教養的な図書などはほとんど所蔵していないのが特徴といえる。

 利用者は当博物館の研究者(研究官,客員研究員,大学院生など)はもちろん一般にも公開されているので,大学生(含む中学・高校生),他機関の研究者,アマチュア研究者など多くの人たちに利用されている。

平成8年度 平成9年度 平成8年度 平成9年度
蔵書数 80,706 81,750 文献複写受付 1,098 1,280
雑誌タイトル 8,362 8,469 依頼 168 173

2.学術情報センターシステムの利用

 国立科学博物館が全館ネットワーク化を行ったのは平成7年度で,図書室もこの機会に図書システムを導入,学術情報センターとは平成8年3月末に接続,以前は雑誌のみの参加であったが,これで単行本の入力も可能になり,雑誌・単行本ともに平成8年5月よりNACSIS-CATを利用して入力を開始した。現在我々は雑誌について,学術情報センターへの未登録資料を登録し,登録済資料はデータ更新をしながら当館のデータベース化作業を優先して行っている。これは当館の研究者はじめ,館外からの利用者の大部分が,国内外の学会,研究所,大学そして博歯ィ館などの発行する学術研究雑誌の利用者であるためである。また文献複写依頼・受付作業を正確に行うために上記件数以上の検索作業があり,学術情報センターのデータを大いに利用させてもらっている。当館のこれらのデータは当館ホームページ(URL http://www.kahaku.go.jp/)の図書室から検索できる。

 徐々にデータが増えていくのは嬉しいことではある。また,当館所蔵図書資料の遡及入力,NACSIS-ILL,学術雑誌目次速報データベースなど抱える問題が沢山あるのも現実であるが,いつも「利用者へのサービス」を念頭に仕事をしていきたいと考えている。


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