アジア情報調査(平成9年度活動報告)

 学術情報センターでは,平成7年度下期以来,国際交流基金アジアセンターから研究助成を得て「アジア・スーパーハイウェイ上のアジア情報」(研究代表者:小野欽司)と題する調査研究を行っている。これは,継続中の科学研究費国際共同研究「海外における日本情報の需要と供沂汲ノ関する研究」(研究代表者:井上如)と,昨年度完了した「学術情報の国際交換に関する実証研究」(研究代表者:小野欽司)およびその後開始された「学術情報の国際的共有に関する実証研究」(研究代表者:小野欽司)のタイ・プロジェクトと連携する活動である。

 アジアセンター助成研究は,センター内では「アジア情報調査」と略称している。第一段階の相手国としてタイ国を選び,タイ国における日本情報および日本におけるタイ情報に関する需要を調査し,情報流通に関する問題点の把握と解決を試みてきた。その成果については年次毎に報告書として刊行し,一部をWWWでも公開している。

 第3年次である平成9年度は,第1年次,第2年次に実施した事業の更なる推進と,範囲の拡大を念頭におき,以下の内容を実施した。

(1)アジアにおける日本研究者の情報需要に関する調査

(2)タイにおける日本研究者および図書館職員に対する研修

(3)NACSIS-IRおよび文献複写利用に関するモニターの実施

(4)タイにおける日本語資料総合目録の構築に関わる調査

(5)ネットワーク上でのタイ語関連情報に関わる調査

 以上のうち(2)の研修では,97年9月にタイからの招へい研修を実施し,情報入手のためのインストラクター養成を行った(センターニュースNo.42参照)。さらに97年12月にバンコックのチュラロンコーン大学,タマサート大学およびカセサート大学において研修を開催した(同No.43参照)。

 また,(3)NACSIS-IRおよび文献複写利用に関するモニターは,96年度より利用実験を行っており,国内の大学図書館の協力を得,タイの研究者に日本の研究情報を提供している。(4)タイにおける日本語資料総合目録の構築は,バンコック日本文化センターで構築が進められている。そして(5)タイ語関連情報調査の成果である情報提供サーバ(http://thaigate.rd.nacsis.ac.jp/)については,タイ,日本の他米国,オーストラリアなど各国から利用されている。

 本調査研究は,日本とタイとの間の双方の情報流通促進のための方法確立について,大きな成果を挙げている。特に,タイ国内の日本研究者にとって,日本関連情報の入手・利用のための環境が整備されたことと,日本国内のタイ研究者にとってタイ関連情報の入手・利用のための環境が整備されたことは,前進であった。

 国際交流基金をはじめ,関係方面の厚いご支援を賜ったことを記して感謝申し上げる。

(国際事業係)


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