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長野県立屋代高等学校 2年生理数科

「量子力学を使った未来の暗号技術とテレポーテーション」

平成23年7月15日(金)

授業時間
13:20-14:25 65分×1コマ
14:35-15:35 60分×1コマ

出張授業担当者:

  • 山本 喜久(スタンフォード大学/国立情報学研究所)
  • 宇都宮 聖子(国立情報学研究所)

授業担当者の感想

SSHでの出張授業と今後の課題

昨年12月3日に大阪市立大学の工位武治先生が出張講義をされ大好評でした。そのため、今年も同校より出張講義の依頼があり、NII山本と宇都宮が出張し、量子暗号に関して2時間ほど講義をしました。

まず、暗号の簡単な歴史を紹介しました。スパルタのスキュタレー、ローマのシーザー暗号、ドイツ軍のエニグマ、これを解読するために開発されたコロッサスなどについて話しました。特にエニグマの解読に成功したコロッサスの存在については、第2次世界大戦中はもちろんのこと、戦後も極秘扱いとされ、世界がこの事実を知ったのは、1970年代後半であったこと、開発グループのメンバーに現代コンピューターの祖とされるアーラン・チューリングがいたことなどを述べました。その事実から2つの結論を導き出しました。

  • 1.暗号通信にとって本当に脅威なのは暗号が解読されることではなく、その事実がずっと秘密にされることであること。ある日、遂に量子コンピューターの開発に誰かが成功したとしたら、その朝に世界中の秘話通信は一部の人々や政府によって解読され、その状態が永遠に続いていくことであること。
  • 2.コンピューターと暗号はお互いに相手に勝ることを目指して進化を遂げ、これまで進歩してきたが、絶対安全性を約束する量子暗号の登場により、このサイクルには終止符が打たれること。

それだけの前置きをした後、レーザー光をつかったBB84量子鍵配送の実験を4つのグループに分かれた生徒達にやってもらいました。その後、量子暗号の安全性が不確定性原理に基づいていることを説明し、これを実験で確かめるためヤングのダブルスリット干渉計に偏光板で経路情報を入れたり、部分的に経路情報を消したりする実験デモを行い、2つのスリットを通過する光の光子数差と位相差は同時に測定できないことを実験を通して理解してもらいました。
2時間の講義が終了した後、担当の清水久樹先生から「生徒達はまだ光の偏光を勉強していないので……」と教えられ、今回の講義はスタート点を間違えたことを悟りました。事前に担当の先生と打合せを十分して、生徒の知識レベルを正確に把握しておくという基礎の大切さを知った一日となりました。

[国立情報学研究所/スタンフォード大学 山本喜久]

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授業風景

スライド

フィードバック総回答数:40名

1) 授業の理解
  • a. よく理解できた〔4〕
  • b. 普通〔26〕
  • c. わかりにくかった〔10〕
2) 授業の感想
  • a. おもしろかった〔35〕
  • b. 普通〔5〕
  • c. つまらなかった〔0〕
3) 印象に残ったところは何ですか?※順不同
  • ・ 暗号の実験で、相手の文字がわかってしまうのがとても驚いた。
  • ・ 実際に暗号があうか実験したことが印象に残りました。
  • ・ 量子暗号の実験をやったこと。(のべ6人)
  • ・ 暗号を送信したり受信して解読したこと。
  • ・ 現代の暗号の原理。その歴史の成り立ちについて
  • ・ 暗号が紀元前4世紀から現代まで高性能に進化したこと
  • ・ 実験をしたこと(のべ5人)
  • ・ 実験による解説
  • ・ 実験できれいなしま模様ができたこと。
  • ・ 干渉じま
  • ・ 干渉じまが復活したところ
  • ・ 単一光子の干渉実験(長時間行うと干渉じまが見える)どちらかしか測定できない。(猫のオス・メスと柄でのたとえ)
  • ・ タンイツ光子を畜産していくと、干渉縞ができるということ。
  • ・ 光子を1つ1つ飛ばしても干渉じまが現れたところ
  • ・ 光子を波ととらえるか、粒子ととらえるかによって得られる情報やその存在が変わってしまうこと。
  • ・ すべてのものは波であり、粒子である。(のべ2人)
  • ・ 量子力学は実験の仕方によって波にも粒子にもなること。
  • ・ 光は粒子であると同時に波であるので、同時にスリットの2つの穴を通れるということ。(のべ2人)
  • ・ 量子を波と考えると分身すること
  • ・ 量子力学の難しさ、実験
  • ・ 量子力学の特殊性(古典力学に適応しない)
  • ・ 相手の信号を偏光板を使って読み取る実験
  • ・ ボブとアリスの実験(のべ2人)
  • ・ ハイゼンベルグの不確定性原理
  • ・ ヤングの干渉実験(のべ2人)
  • ・ 測定する方法によって実態が変わっていくことを学んだ。ヤングの干渉実験
4) 授業で気になったこと、もっと勉強してみたいことはありますか?※順不同
  • ・ 光が波であり、粒子であることをもっと詳しく知りたい。
  • ・ 光(光子)についてもっと学びたい。
  • ・ 今回おこなった実験をもっと詳しくやってみたいと思った。
  • ・ 粒子や波など難しかったので、もっと知りたい。
  • ・ 波であり、粒子であるというのは図とかではどんなふうに示されるかなど、もっと詳しく知りたい。
  • ・ 干渉じまについて難しかったけど、詳しく知りたいと思いまいた。
  • ・ 干渉じまが作られたこと。(ビデオで見た実験)
  • ・ とりあえず「量子」次に「重量子」そして「重量子反応」からの「重量子反応砲」
  • ・ 量子について(のべ2人)
  • ・ 量子力学(のべ2人)
  • ・ 量子の世界は今までは考えられない世界でおもしろかった。
  • ・ 量子の観察者のとらえ方
  • ・ 量子コンピューターについて(のべ2人)
  • ・ 量子では実在がないというのが、不思議だった。
  • ・ 量子は2つの性質を持っていること(波、粒)
  • ・ 光の粒子の大きさはどれくらいなのか
  • ・ 量子の世界は今までは考えられない世界でおもしろかった。
  • ・ 暗号が完成したら実際にはどのように使われるのか
  • ・ 量子暗号の欠点
  • ・ 量子暗号の実験方法
  • ・ 現代暗号のしくみをもっと勉強したい。(のべ3人)
  • ・ 暗号の伝達はもっと複雑な事をやっていると思うから、それが気になる。
  • ・ もっと違う暗号ができるかどうか。
  • ・ 量子暗号は波or粒子で作るということを詳しく知りたい。
  • ・ 量子の将来性について
  • ・ 光がスリットを通過してしまができるのが不思議
  • ・ テレポートについて
  • ・ クロード・シャノンのした証明
  • ・ たくさんの情報を正確に読み取るにはどうすればよいか?(のべ2人)
  • ・ 赤外線を用いた通信に興味がわいた。
  • ・ 実用化したら、例えばどんなことに使えるのか
  • ・ 話が全体的に難しかったので、基本からやりたい。
  • ・ 今回の授業で、わからない事が多かったので、もう一度よく理解したい。(全体的に)
  • ・ とくになし
5) この授業を受けて、科学・物理に対するイメージはどのように変わりましたか?※順不同
  • ・ 量子は未来のもので、今までの常識をくつがえさせるものだと思った。
  • ・ 日常生活に絶対使われないと思っていたけど、以外に役に立っていてすごいと思った。
  • ・ 暗号が物理にとても関係が深くてびっくりした。とても難しかった。
  • ・ 内容が難しかったが、暗号とかは面白かった。暗号が科学に関しているとは思わなかった。
  • ・ 今まではただ難しいイメージしかなかったけど、おもしろいと思いました。(のべ2人)
  • ・ おもしろい。(のべ3人)
  • ・ 物理っておもしろいと思えるようになった。
  • ・ 前と変わらず、とても面白い分野だと思う。
  • ・ 難しいけれども、奥深いと感じた。
  • ・ 興味はより深くなった(特にミクロ)
  • ・ 奥が深いものだと感じた。(のべ2人)
  • ・ さらに難しく、興味を持った。
  • ・ もっとかたいイメージがあったけど、今回の講演を聞いて、なんだか興味深いものだと思った。もっと詳しく学んでみたいと思った。
  • ・ 量子は実在するもののように考えられないとお聞きして、遠い存在のような気がしていたけど、暗号のように実際使えるようなところまで来ていると知って、イメージが変わった。
  • ・ 意外と身近な物のような気がしたものでも、全くわからない原理があってもっと詳しく科学はどんなものなのか知りたくなった。
  • ・ 物理や量子力学のイメージがやわらかくなった。
  • ・ 堅苦しいイメージしかなかったけど、魅力のある学問だという良いイメージを持つことができる。
  • ・ 物理は広いものだし、色々なことが物理とつながっているんだと思った。
  • ・ 難しくなった
  • ・ やはりこのような世界は難しい
  • ・ 量子学は複雑だと思った。
  • ・ 科学や物理はとても興味深く、どこまでも発展できるものだと今回感じた。
  • ・ 目で見えない世界にも物理学が入っているのはすごいと思った。
  • ・ 今回は数学と深くかかわっていたと思うが、やはり様々な分野が関係しているのだと分かった。
  • ・ 何でも計算で出せるわけではなさそうだと思った。
  • ・ 1つのことを極めようとすると難しいと思った。
  • ・ 量子力学は物理の極みと言ってもいいような分野だと思いました。なので、これから大学などで学びたいと思いました。
  • ・ 量子力学を学んで、自分の科学に対する世界を広げることができた。
  • ・ 特に変わっていないが改めて、日常生活の目に見えるところから見えないミクロの世界まで、解き明かすものだと思った。
  • ・ 科学に終わりはない
  • ・ 特に変わっていません。
6) 講演者の話を聞いて、研究者としての将来像はイメージできましたか?また、その授業を受ける前と受けた後とでは、研究職のイメージはどのように変わりましたか?※順不同
  • ・ 研究職は知識がたくさんなければ務まらなく、大変だが楽しそう。
  • ・ とても難しいけど、おもしろいことをやっていると思った。
  • ・ 研究職には、あまり興味はなかったが、自分で見つけ出すという点は面白そうだと思った。
  • ・ できた。
  • ・ 受ける前から研究職はカッコ良いと思っていましたが、やはり研究職はカかっこよいと思いました。(のべ2人)
  • ・ 安全な暗号などがもう少しで作れるなんてすごいと思った。とても難しい分野だなと思った。
  • ・ 研究職についてはあまり考えたことはなかったけど、おもしろそうだと思いました。(のべ3人)
  • ・ 自分のイメージよりもとても面白そう。
  • ・ 研究職もなかなかおもしろそうだと思った。
  • ・ 難しそうなことをやっているんだけど、とてもおもしろそうで、自分もこんな風なおもしろい研究ができたらいいなと思う。
  • ・ 1つの事を追求していくのもすごく良いと思った。
  • ・ すでにやりたいことは決まっているので、それに向かって頑張りたいです。
  • ・ 研究して何かを突き止めることは楽しそうだと思った。
  • ・ 将来のことについて物理も考えてみようと思った。
  • ・ すごい、いい人がいるんだな。
  • ・ 「暗号」を考える上で、日本や世界の情報の扱い方を引っ張っているのだと思いました。
  • ・ 「知ってみると面白い」という分野がまだまだ多く存在していて、これから広く学べば学ぶほど、興味の対象が増えていくと思う。その中で1つ選んで研究をするというのは素晴らしいと感じた。
  • ・ 研究職というのも、自分で新しいことを探求していくので良いと思った。
  • ・ 難しいことを知っている人。
  • ・ 科学の研究の面白さ、達成感を知ることができ、自分もあのようになりたいと思いました。
  • ・ このような奥深い世界を極める研究者はやっぱり面白いと思う。
  • ・ 研究者は科学の限界をどんどん広げていっていてすごいと思った。
  • ・ まだイメージは出来なかったけれど、とにかく量子力学を学びたい!!
  • ・ 改めて、とても難しそうだなと言うイメージを持った。
  • ・ やはり難しいと思うし、大変そう。
  • ・ 自分は研究者になりたいとずっと思っているので、実際に研究者の方の姿を拝見することができて良かった。研究者になる決意が一層固まった。
  • ・ 第2の夢として研究者というものもありかと思った。
  • ・ 特にイメージはうかばなかった。(のべ3人)
7) この授業を通じて、大学でもっと理科の勉強をしてみたいという興味が湧きましたか?
  • a. はい〔35〕
  • b. いいえ〔0〕
  • c. 分からない〔5〕
8) また機会があれば、このような授業を受けたいと思いますか?
  • a. 是非受けたい〔38〕
  • b. あまり受けたくない〔1〕
  • c. 別の内容なら受けたい〔0〕
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