概要 |
非対称で特異な実行列$ A $を係数行列とする連立一次方程式$ A \bx = \bb $
または最小二乗問題$ {\displaystyle \min_{\bx \in \rn} \| \bb - A \bx \|_2 }
$に対して,
クリロフ部分空間法に属する反復解法である共役残差法(Conjugate Residual
method: CR法)を適用することを考える.
このとき, $ R(A)^\perp = \ker A $の場合は, CR法を$ R(A) $と$ \ker A $の成
分に
分離できることを示し, その場合にCR法が任意の$ \bb $と初期近似解$ \bx_0 $に対
して
破綻なく収束するための必要十分条件は, $ A $の対称部$ M(A) $が半定値,
かつ$ \rank \, M(A) = \rank A $であることを示し, そのとき最小二乗解が得られ
ることを示す.
さらに, $ \bx_0 \in R(A) $のときは近似解はノルム最小の最小二乗解(擬逆解)に収
束する.
次に, $ R(A) \oplus \ker A = \rn, $かつ$ \bb \in R(A) $のときに,
CR法が任意の初期近似解に対して最小二乗解に破綻することなく収束するための
必要十分条件を導く.
最後に, 上記の二つの場合に相当する常微分方程式の二点境界値問題の差分近似の
例を取り上げる.
|