第4回 SPARC Japan セミナー2015 「研究振興の文脈における大学図書館の機能」
平成28年3月9日(水曜日)13:00-17:15
ベルサール神保町アネックス ホールA
イベントは終了しました。 多数のご参加ありがとうございました。
更新記録 ・ドキュメントを掲載しました。(2016/06/08) ・開催報告・ビデオ映像を公開しました。(2016/04/11) ・ニュースレターを公開しました。(2016/03/17) ・発表資料を公開しました。(2016/03/17) ・講師紹介・講演要旨を公開しました。(2016/02/19) ・プログラムを公開しました。(2016/02/08) ・ウェブページを公開しました。(2016/02/08)
概要 プログラム 参加申込 講師紹介 講演要旨 発表資料
【概要】
日本における大学図書館を中心としたオープンアクセス運動は,2005年の「次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業」の開始当初における意味付け以降,実は本質的に変化することなく今日にまで至っている。当初のオープンアクセス運動は,研究機関においてとくに研究者にその意義をはっきり提示できなかったことに起因して,機関リポジトリそのものの運用すら受け入れられない状況があった。この10年の間に,図書館員および関連する研究者がオープンアクセスとは何か,機関リポジトリとは何かという問いに答えていく自発的活動を通して,徐々に機関リポジトリの存在が機関の構成員に受け入れられるようになってきている。 オープンアクセス運動の展開は,欧米では,そのオープンアクセスの理念と密接に関連して,研究データの共有を主眼に置いたオープンサイエンスという新たな研究環境の構築を目指す活動へと進化していった。一方の日本では,国際的な動向を踏まえた形で2015年に内閣府の報告書が公表されたが,オープンサイエンスという概念についての議論に,内的な動機付けが追いついていないのが実情である。今日の日本の研究機関において,とくに図書館を取り巻く研究支援の新たな方向性は,機関リポジトリの推進において標語としたオープンアクセスの理念と,研究データ共有を方策の中心に添えたオープンサイエンスとが同時並行的に進められるという複雑な様相を呈することとなった。 更に,先進国で日本だけが研究力を低下させていることを示唆しうる計量文献学的定量指標が存在していることがよく取り沙汰される中,これまで培ってきた日本の研究力を活性化させより強固なものとしていくことがいっそう求められている。我々大学図書館は,オープンアクセスやオープンサイエンスを単なる外来の概念として咀嚼,整理するということではなく,本セミナーでの話題提供を通して,日本における研究振興という文脈のなかで,次代の日本の研究支援の方策を具体的に構想しながら考えてみたい。
【参加対象者】 研究者,図書館員,学術出版職にある方々
【留意事項】 都合により掲載していない資料もございます。あらかじめご了承ください。
時間
内容
講師
発表資料
ビデオ映像
ドキュメント
13:00-13:05
開会挨拶
安達 淳 (国立情報学研究所)
(4:09)
13:05-13:10
概要説明
星子 奈美 (九州大学附属図書館)
(4:37)
13:10-13:50
オープンアクセス推進と研究支援~大学図書館の新たなチャレンジ~ [講演要旨]
尾城 孝一 (東京大学附属図書館)
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。
(40:09)
13:50-14:30
研究支援としてオープンアクセスポリシー策定の意味するところ [講演要旨]
引原 隆士 (京都大学図書館機構長)
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。
(42:39)
14:30-14:40
休憩
14:40-15:20
オープンサイエンスの推進について [講演要旨]
真子 博 (内閣府)
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。
(33:17)
15:20-16:00
我が国の研究活動の振興に資する大学図書館の機能 [講演要旨]
有川 節夫 (前九州大学総長)
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。
16:00-16:10
16:10-17:10
パネルディスカッション:どうすれば大学図書館が日本の研究力向上に寄与できるかを問う
【モデレーター】 市古 みどり (慶應義塾大学日吉メディアセンター) 【パネリスト】 尾城 孝一 (東京大学附属図書館) 引原 隆士 (京都大学図書館機構長) 真子 博 (内閣府) 有川 節夫 (前九州大学総長)
17:10-17:15
閉会挨拶
喜連川 優 (国立情報学研究所)
(4:02)
受付は終了いたしました。多数のお申込み誠にありがとうございました。 申込期限: 平成28年3月7日(月)
お問い合わせ先: 国立情報学研究所 学術基盤推進部学術コンテンツ課支援チーム SPARC担当 E-mail co_sparc_all@nii.ac.jp FAX 03-4212-2375
◇尾城 孝一 (東京大学附属図書館)
東京大学附属図書館事務部長。1983年1月,名古屋大学附属図書館に採用され図書館職員としてのキャリアを開始。その後,東京工業大学附属図書館,国立国会図書館,千葉大学附属図書館,国立情報学研究所,東京大学附属図書館,大学図書館コンソーシアム連合事務局を歴任。2015年4月より,現職。
◇引原 隆士 (京都大学図書館機構長)
1987年京都大学大学院工学研究科電気工学専攻博士後期課程修了。京都大学工学博士。関西大学を経て,1997年京都大学大学院工学研究科電気工学専攻助教授。2001年同教授,2012年より京都大学図書館機構機構長((兼)附属図書館長)。非線形力学およびその工学的応用,パワーエレクトロニクスに関する研究に従事。現在JST, SIPの研究プロジェクトのリーダーを勤める。電子情報通信学会フェロー。電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティ会長等を歴任。
◇真子 博 (内閣府)
内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官補佐(国際総括)。1986年文部省。体育局スポーツ課,高等教育局医学教育課主任,政策研究大学院大学創設準備室,文部省高等教育局大学課大学院係長等を経て,2001年東京医科歯科大学経理部主計課長,2004年文部科学省高等教育局国立大学法人支援課課長補佐,2006年独立行政法人国立大学財務・経営センター総務部経営支援課長。2008年より東京工業大学研究情報部次長・部長,研究推進部長を経て,2012年内閣府,2013年から現職。 国際総括として,国際業務全般,特にオープンサイエンス,科学技術基本計画,G7科学技術大臣会合,国際会議,二国間等科学技術協力,OECD等国際機関連携等を担当。
◇有川 節夫 (前九州大学総長)
1985年より九州大学教授,1998年から中断を含めて約10年間附属図書館長,2002年より九州大学副学長,2004年より九州大学理事・副学長,2008年から2014年まで九州大学総長,2014年より九州大学名誉教授,2015年12月富士通研究所フェロー(有川ディスカバリーサイエンスセンター長)に就任,現在に至る。この間,文部科学省の研究環境基盤部会長,先端研究基盤部会長,研究費部会長,情報科学技術委員会委員長,学術情報基盤作業部会長,国立国会図書館の科学技術情報整備審議会委員長,内閣府のオープンサイエンスに関する検討会座長などを歴任。専門は,情報学,特に,情報検索,機械学習,発見科学,パターン照合アルゴリズム,人工知能における論理と推論など。
◇市古 みどり (慶應義塾大学日吉メディアセンター)
日吉メディアセンター事務長。信濃町(医学)および理工学メディアセンター事務長を経て現職。塾長室(企画担当),学術研究支援部兼務。JUSTICE運営委員。
◇星子 奈美 (九州大学附属図書館)
九州大学附属図書館eリソースサービス室リポジトリ係長。平成27年度 SPARC Japanセミナー企画ワーキンググループメンバー。2006年9月より6か月間,実務研修のためQueensland University of Technology(オーストラリア)において機関リポジトリ業務に携わる。2007年から2010年,および,2013年から現在まで,九州大学の機関リポジトリ業務を担当。
◆オープンアクセス推進と研究支援~大学図書館の新たなチャレンジ~
(尾城 孝一)
近年の学術情報のデジタル化とオープン化を背景として,大学図書館による研究支援の在り方も大きな変革を迫られている。これまでの研究支援は,いわば「読み手」としての研究者のサポートが主たる業務であったが,これからは「書き手」としての研究者の支援にその比重をシフトさせていく必要がある。本発表では,まず,読者としての研究者の支援の事例として,電子ジャーナル等の導入事例を取り上げ,コンソーシアムが果たしてきた役割を振り返る。合わせて,購読誌からOA誌への転換を図るためモデルを取り上げる。続いて,著者としての研究者のサポートとして,機関リポジトリを通じた教育研究成果の発信支援活動を紹介し,その成果と課題を指摘する。さらに,オープンサイエンスの進展の中で,大学図書館が担うべき役割について考える。最後に,大学を取り巻く情勢の変化の中で,今後の大学図書館が取り組むべき新たな研究支援活動について提案したい。
◆研究支援としてオープンアクセスポリシー策定の意味するところ
(引原 隆士)
京都大学が2015年4月に策定したオープンアクセスポリシーは,図書館関係者,研究者に留まらず,マスコミ,政府の委員会等においても注目され,賛否を含めた多くの議論を促してきた。一方で,オープンデータ,オープンサイエンスの議論が,オープンアクセスの本質的な構築を経ないままに,既に中心的課題となりつつあり,システム構築が進む前に複雑な状況を呈している。同様のポリシーが複数の大学で策定・公表されるに至っている今,我が国の大学に先駆けて策定を進めた背景について概観すると同時に,策定後に何を目指すべきかという本来の目的の方向性について,研究者,図書館関係者等の立場から意見を述べたい。
◆オープンサイエンスの推進について
(真子 博)
我が国のオープンサイエンスの推進に向けて,内閣府が昨年3月に発表した「国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会」報告書概要,オープンサイエンスの推進に関する取組のフォローアップ状況等を紹介する。
◆我が国の研究活動の振興に資する大学図書館の機能
(有川 節夫)
大学図書館,特に,西欧諸国における大学図書館は,紙媒体の書籍を中心にした図書の収集,整理,管理,閲覧,貸出業務等を通じて,大学における研究活動を支援し,その振興に寄与してきた。最近では,インターネットやICTの発達・普及・定着,電子ジャーナルに見られるように学術情報の電子化等に伴うアクセスの仕方の変化によって,そうした研究活動の支援・振興への寄与の仕方が大きく変わり,より直接的な貢献を含めて新たな機能が期待されている。この講演では,そうした変化や期待について,九州大学における取組みや各種の委員会での審議の経緯等も含めてお話ししたい。
※ご意見は,公開の同意をいただいたものです。
最終更新日:2016年6月8日