イベント情報
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2008年(平成20年度)
第1回 SPARC Japan セミナー2008
「研究成果発表の手段としての学術誌の将来」
日時・場所 平成20年4月22日(火)13:30〜16:30
国立情報学研究所 12階会議室

 

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概要

学術情報流通における情報伝達の方法、コスト、理念等々について、研究者、図書館、学会等で、それぞれの立場から様々な論議が提出され、また同時に国レベルでの政治的決断も行われている昨今です。オ−プンアクセスという、ひとつのアクセス手段が最良な方法であるかどうかは、歴史が決着を付けるものなのかもしれません。

さて、SPARC Japanセミナ−2008第1回は、「学術誌は、今後も存在していくのか」という欧米ではすでに提示されつつあるテ−マを取り上げ、総論としてのご講演を、千葉大学 土屋俊教授に、数学、物理分野からの各論を、北海道大学 行木孝夫助教、電気通信大学 植田憲一教授にそれぞれお願いしています。冊子からデジタルコンテンツへの変革は、「オ−プンアクセスの可能性を提示する」に留まらず、現状のピアレビュー システムをも変革するのでしょうか?昨年、Natureにより行われた 「オ−プンピアレビュ−」は、近未来の評価システムとして実際に機能するのでしょうか?
多くの方々のご参加をお待ちしております。

プログラム
司会: 永井 裕子 (日本動物学会)
時間
タイトル
講師(敬称略)
配布資料
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ドキュメント
13:30- 開会挨拶

根岸 正光

(国立情報学研究所教授・SPARC Japan運営委員長)

   
13:35-

雑誌論文が研究成果発表の手段であるのはいつまでか

[講演要旨]

土屋  俊

(千葉大学文学部教授)

(134K)pdf (334K)pdf
14:35- ―休憩―      
14:55-

数学系ジャーナルの過去と現在、これから

[講演要旨]

行木 孝夫

(北海道大学理学研究院数学部門助教)

(48K)pdf (1.0M)pdf
15:35-

物理系ピアレビュージャーナルとオープンアクセス

[講演要旨]

植田 憲一

(電気通信大学レーザー新世代研究センター教授)

(984K)pdf (2.4M)pdf
16:15-16:30 質疑応答      
参加費
無料
参加申込

・氏名 ・所属 ・連絡先をご記入のうえ、【SPARCセミナー参加申込】と題して、電子メールまたはFAX にて下記宛にお申込ください。また、【受付票】を返送しますので、当日ご持参ください。


国立情報学研究所 学術基盤推進部学術コンテンツ課コンテンツチームSPARC担当
E-mail co_sparc_all@nii.ac.jp FAX 03-4212-2370

講演要旨

◆雑誌論文が研究成果発表の手段であるのはいつまでか (土屋  俊)


雑誌は、実は隣同士はあまり関係がない論文を印刷しまとめて綴じたものを一定の分量が溜るタイミングを想定して定期的に頒布するという形態の学術コミュニケーション媒体である。この形態は、速報性、表現力、結節性、保存性、利便性において電子的な媒体を利用する形態によって凌駕され、現代におけるもっとも適切な媒体でなくなったことに疑問の余地はない。この結果、雑誌による論文刊行の意義をピアレビューによる品質保証機能に求めるようになってきている。しかし、研究成果を論文という形で表現し、それを雑誌という形で刊行することは、はたして学術コミュニケーションの必然的形態であるのだろうか。
20世紀後半からの学術研究の社会的位置づけ、実践様態、倫理的説明の必要性、さらに、学術研究を支える高等教育機関の変化は、学術コミュニケーションをたんに真理の伝達であるとして標榜することを許さなくなっているように思われる。この認識の背景と証拠について議論する。

 
 

◆数学系ジャーナルの過去と現在、これから (行木 孝夫)


過去から現在に渡って日本の数学系ジャーナルが果たしている役割を紹介する。
数学系を含む基礎科学系の論文は、過去の研究成果に対する依存度が他の研究分野に対して極めて高い。日本の数学系ジャーナルが主要な役割を果たした時期が確かに存在したこと、現在においてもその重要性は失われていないことを提示したい。
次に、数学分野において学術論文という形態にはなじまないと考えられる学術コミュニケーションの具体例を紹介する。即時的な動画配信[とそのアーカイブ[1]が数学研究に与えるインパクト、抽象的な数学概念とcomputationに関わる話題[2]とその問題点、出版形態に与えうる影響などを議論したい。
[1] 例えば http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/video/など
[2] 例えば http://www.knoppix-math.org/wiki/ など

 
 

◆物理系ピアレビュージャーナルとオープンアクセス (植田 憲一)

 

物理系では論文投稿と同時にプレプリントを配布して出版以前にも研究成果 をコミュニティーに知らせる習慣があり、高エネルギー物理を中心としてオン ライン上で内容が公開されるarXiv.orgが重要な役割を果たしている。学術活動 におけるピアレビュージャーナルの意味とその多様化について検討する。  同時に、学術情報は普遍的な人類の知的資産であり、無料で公開されるべき だという理念の下、オープンアクセスジャーナルの試みも強まっており、学術 ジャーナルのビジネスモデルの再構築が迫られている。従来、日本だけが突出 していた論文出版も、中国、韓国、インドの急速な発展に伴い、アジア・太平 洋地区の比重が急拡大しており、欧米を越える時代が来ることが現実化してきた。  新しい時代のジャーナルの方向を議論すると共に、その背景にある学会、研 究コミュニティー、ピアレビューの公的性格について検討する。

 
 
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最終更新日: 2009年04月2日