研究シーズ2019ソフトウェア科学

屋内もスマホでナビゲーション音響測位、可視光通信技術

橋爪 宏達アーキテクチャ科学研究系 教授

研究分野デジタル情報処理/モバイルアプリケーション/パーソナルコミュニケーション

研究背景・目的

屋外では便利に使えたスマートフォンの地図ナビゲーションも、デパートなどのビルの中に入ったとたん、機能しなくなります。これはGPS衛星からの、自分の位置を知る(測位する)ための電波が届かなくなるためです。屋内でGPS相当の電波を出しても、壁や家具で乱反射するので測位には使えません。屋内ではそれに代えて、音や光を使う測位方法が有望です。音や光を使うと、測位だけでなく、催し物の内容など一般の情報を伝達することもできます。私たちの研究は、音響および光による測位と通信機能をスマートフォンに付け加えることで、屋内での新しいスマートフォンの利用形態を提案します。

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音と光によるスマホの屋内測位(右下画面)。位置の数値に合わせて、光信号で送られた"HELLO, WORLD"の文字が表示されている

研究内容

屋内ナビゲーションのための位置計測では、屋外のGPSの測位精度(数メートル)より高い精度が要求されますが、私たちはそのために「位相一致法」というミリメートル精度の計測原理を開発しました。この手法は、スマートフォンのビデオカメラを使った光の信号と併用すると特に効果的なため、私たちは可視光通信技術も研究し、二つの技術を合わせることにより、屋内における高精度の測位を可能にしました。ビデオカメラの可視光通信は低速な通信速度しか得られないのが欠点でしたが、測位利用の副産物として「仮想正弦波解析」という新しい通信技術を開発し、従来の通信速度を10倍程度更新しました。

産業応用の可能性

実験室内の音響計測では、位相一致法により、3メートルの位置で35ミクロンの計測精度を達成し、これは世界記録になっています。このため同方式を工場の生産ラインで、加工対象の精密な位置決めに使うことも検討されています。ビデオカメラを使う可視光通信では、私たちの方法ではリアルタイム音声を送ることができるため、催し物の各コーナーの説明をその位置にいる人に可視光通信で行えるはずです。自動車のテールランプと車載カメラによる車車間通信にも応用できます。

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