研究シーズ2018ソフトウェア科学

双方向変換の深化による自律分散ビッグデータの相互運用基盤技術

胡 振江アーキテクチャ科学研究系 教授

研究分野プログラミング言語/ソフトウェア工学/並列処理

研究背景・目的

近年ビッグデータの利活用が進んでいますが、データを集中管理する手法はネットワーク技術の点で厳しい局面を迎えています。その打開策として、データを集めることなく自律分散的にビッグデータの効率的な分析、共有、相互活用を行う新しいソフトウェア基盤技術が求められています。本研究では、NIIが世界トップレベルの研究成果をあげている、二つのデータベース間での整合性を保証する双方向変換技術を「高信頼・大規模・高効率」の方向へ深化させるとともに、その技術をネットワークに拡張し、正確かつ効率の良い分散管理手法を実現し、ライブラリーとして実装します。そして、その実装を現実の問題に適用し解決することで、応用による実証と提案手法の改善を行います。

研究内容

これまでの研究成果を踏まえて、双方向変換技術を深化させ、自律分散データの相互運用の基盤技術を確立します。具体的には次の三つの目標に分けてこれらを実現します。

  • 目標1
    「双方向変換の深化」では、モジュール化、静的解析・自動検証、強力なデバッグ機構と学習支援により、大規模・高信頼で系統的な開発を可能とする環境を構築します。
  • 目標2
    「双方向変換による新たな基盤の構築」では、自律分散ビッグデータの相互活用のための新たな基盤となるビューパッシング機構を確立し、非同期並列処理により効率化を実現します。
  • 目標3
    「双方向変換の実例への応用」では、社会の実問題であるサイバーフィジカルシステム(Cyber-Physical System:CPS)におけるデータの相互運用、各種データの統一管理等の問題に取り組み、ビューパッシング機構の有用性を示すことを目的としています(図)。

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図)双方向変換とその応用例

産業応用の可能性

分散データの同期により、次の産業応用が考えられます。

  • CPS・IoTにおけるデータの相互運用のための高信頼システムの構築
  • 自己適応可能なスマートシステムの効率的な開発
  • 組織の中における相互依存の各種データの高信頼管理
  • 組織やチームでの共同作業を効果的に行うための支援
連絡先

胡 振江[アーキテクチャ科学研究系 教授]
hu[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

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