研究シーズ2014ソフトウェア科学

現実世界のOS(オペレーティングシステム)を創る

佐藤 一郎アーキテクチャ科学研究系 教授

研究分野分散システム/基盤ソフトウェア/社会リソースの共有

研究背景・目的

CO2排出権は環境貢献に対する経済的対価であって、排出権の需要を増やすことは地球環境の改善につながります。しかし、排出権取引は複雑で、その取引単位が最少でも1トン以上(実質は100トン以上)であって、他の経済的価値、例えば貨幣と比べると取り扱いが難しく、それが需要拡大の大きな足かせとなっています。そこで本研究では、(1)排出権取引に誰でも参加できるようにするとともに、(2)その取引単位も1グラムなど小口化し、あたかも貨幣のように扱えるようにします。これは新しい環境価値を生み出します。例えば任意の商品に排出権を付けて販売したり、個人が貯めた排出権を学校や地域に寄付したりすることで、環境貢献と地域貢献の両立を実現します。その有効性は社会実験を通じて検証されています。

研究内容

排出権取引の難しさは、排出権そのものが仮想的な経済価値であって、実体がないことに起因しています。そこで本研究ではICタグ(またはバーコード)を付した排出権をあたかも貨幣のように扱えるようにすることで、例えばICタグの交換を通じて、排出権取引が実現できるようになります。さらに排出権の取引単位を小口化するために、排出権を扱うための口座管理システムを設計・構築しました。これは小口化された排出権とICタグを結ぶとともに、排出権に関わる様々な制約を満足しながら、自由に、例えば預けた量よりも少額の量の排出権を下ろすことを実現します。本研究のもう一つの特徴は新規性と実用可能性にあります。例えば東京都内で最大規模のスーパーマーケット等において、実際の排出権、実際の商品、実際の顧客を通じて実証実験を行いましたが、それは有効性を示すだけでなく、世界初の個人レベルの排出権取引として国内外で評価されています。

satoichiro_1.jpg

satoichiro_4.jpg

産業応用の可能性

先進国においてCO2排出量は、産業部門では減少していますが、家庭部門では増え続けています。国連では家庭部門のCO2排出量を削減する方法として個人レベル排出枠制度が検討されていますが、提案手法は低コストな実現方法となりえます。

研究者の発明

連絡先

佐藤 一郎[アーキテクチャ科学研究系 教授]
ichiro[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

Recommend

さらにみる