研究シーズ2014ソフトウェア科学

クライシス(社会の危機)を想定したビッグデータ処理とメディア創生

北本 朝展コンテンツ科学研究系 准教授

研究分野クライシス情報/地名情報処理/データ中心メディア

研究背景・目的

クライシス(自然災害等の社会の危機)はビッグデータ処理の究極の状況、すなわち情報の量・多様性・処理速度のすべてを最大限に活用し最善を尽くすべき状況を現出させるため、その技術的解決策には大きな社会的価値があります。データの解析結果が生死を左右しうるという意味では品質管理も含むビッグデータの解析技術が必要ですが、意思決定のために人間が結果を理解する必要があるという意味では人間の理解というボトルネックの解消技術も必要です。つまりデータ分析というアナリティクスの側面だけでなく、データをどう伝えるかというメディアの側面に関する研究も重要となります。そこで、プッシュ型配信、個人化、可視化などの研究に基づき、データ中心という原理に基づく新しいメディアを創生することで、クライシス情報を出発点としてメディア原理の一般化を目指します。

研究内容

クライシスに向けたビッグデータ処理として、台風に関するデータベース「デジタル台風」や地震に関するデータベース「東日本大震災アーカイブ」などを構築し、大規模異種データの分析とメディア化に関する研究を進めた結果、ウェブサイトは多数の人々から信頼され約3000万ページビュー/年の利用を集めるほどに成長しました。これらのメディアではデータ間の関連性を積極的に探索し、検索やランキング、マッピングなどに基づく過去データベースの文脈化という手法で、最新データの意味を比較に基づき認識するための手段を提供しています。またデータ間の関連性を異種データにも展開し、科学データの解析に加えてテキスト解析やソーシャルデータ解析を統合した状況認識へと研究を広げています。またデータ統合の基礎技術として地名情報処理の研究を進め、オープンプラットフォームGeoNLPでテキストを地図に自動マッピングする技術を実用化しました。これはクライシスに限らず観光やマーケティングにおける状況認識にも適用できるシーズ技術であり、今後は精度向上の研究に注力する計画です。

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産業応用の可能性

  • 地名情報処理プラットフォームGeoNLPを用いた自然言語テキストの自動マッピング
  • クライシスを中心とした地球環境ビッグデータの検索・ランキング・可視化の基礎技術
  • データ中心メディアの構築、プッシュ化・個人化されたクライシス情報やその他情報の配信
  • クライシスアーカイブの構築、情報表現や情報デザインなどを重視した新しいインタフェース

連絡先

北本 朝展[コンテンツ科学研究系 准教授]
http://agora.ex.nii.ac.jp/~kitamoto/
http://researchmap.jp/kitamoto/

関連リンク

北本 朝展 - コンテンツ科学研究系 - 研究者紹介

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