出張授業
大阪府立天王寺高等学校 理数科1,2年生
「量子力学の不思議」
平成23年9月9日(金)
- 授業時間
- 15:45-17:00 75分×1コマ
出張授業担当者:
- 中田 芳史(東京大学大学院D2)

授業担当者の感想
SSH大阪府天王寺高等学校での出張授業
2011年9月9日、昨年に引き続き、母校である大阪府立天王寺高校で出張授業させていただく機会を得た。自身が高校生だった頃は、それまで見たことも聞いたこともない、よく分からない現象を本で読むたびに「この宇宙って“広い”んだなぁ」とドキドキしていた。その感覚を今の高校生にも味わってもらいたいと、今回は「量子力学の不思議」という題目のもと、日常生活の直感が全く通用しない不思議な現象を生徒に紹介して「深遠なるこの世界」に驚いてもらうことを目標とした。
授業は波動の一般論の復習から始め、単一光子の説明を経て、単一光子を用いたヤングの二重スリットの実験を解説した。例え話や笑い話を交えながら進めることで、飽きさせることなく、量子力学の驚きの源の一つである「波動と粒子の二重性」を紹介できたと思う。「知識」を与えるだけの授業になることを防ぐため、実験結果を解説する際には必ず生徒たちをグループに分けて議論させ、「彼らの日常生活」から結果を類推してもらった。また、二重スリット実験や量子消しゴムの実験は、レーザーポインタを用いて実際に生徒たち各自で行ってもらった。議論も実験も、分からないなりに理解しようと試行錯誤する生徒たちの姿が印象的であった。
「体験型」「対話型」を目指した試みが功を奏したのか、授業後、「なぜこんなことが起こるのか意味が分からない。でも、めっちゃ面白い」という感想が相次いだ。昨今、「分からない=よくない」という認識が過剰になっている気がする。しかし、「分からないけれど面白い」というのが好奇心の始まりであるはずだ。今回の授業で、生徒たちにも少しでも科学的好奇心の種を持ってもらえたのであれば、大変うれしいことである。
[東京大学 中田芳史]

授業風景
フィードバック総回答数:61名
1) 授業の理解
- a. よく理解できた〔37〕
- b. 普通〔21〕
- c. わかりにくかった〔2〕
- d. 無回答〔1〕

2) 授業の感想
- a. おもしろかった〔61〕
- b. 普通〔0〕
- c. つまらなかった〔0〕
- d. 無回答〔0〕

3) 印象に残ったところは何ですか?※順不同
- ・ 光の干渉実験(のべ10人)
- ・ 波や粒子の干渉(のべ4人)
- ・ 粒子である弱い光でも干渉したこと。(のべ4人)
- ・ 強い光だと波だが、弱い光だと粒子になること。(のべ2人)
- ・ 波動と粒子の二重性によって、波の干渉が実際に見れた。(のべ2人)
- ・ 光は粒子であっても二重スリットを通すと干渉する。
- ・ 全ての物質は干渉する!!
- ・ 弱い光では干渉はどうなるか。
- ・ 電子や原子が干渉するところ
- ・ 光子が干渉するのかの実験。
- ・ 壁もすり抜けるところ。粒子の干渉。
- ・ 量子力学の世界では物体はカベをすり抜ける。
- ・ 光が粒なのか波なのかわからないこと。
- ・ 光は量子と波動があること。
- ・ 光は波だということころ。
- ・ ワンピースのキャラクターのびっくりした顔と実験の驚きです。
- ・ エネルの顔(のべ2人)
- ・ 実験も交えた講義は新鮮で楽しかった。
- ・ 講演の間に実験を挟むという形式。
- ・ 偏光板を縦、斜め、横に入れると光が通ったところ。(のべ11人)
- ・ 中田先生のプレゼンの仕方。(のべ2人)
- ・ 色々な実験をしたこと。(のべ2人)
- ・ 全部。特に最後の実験は自分でいろいろ試せたのでおもしろく、印象に残っている。また効果的な絵も良かった。
- ・ 原子くらいの小さい世界でも、たくさんの現象が起こることが印象に残りました。
- ・ 映像
- ・ 量子の世界は普通と違うところ。
- ・ トンネル効果
- ・ 紫外線やX線、ラジオも光の一種だということ。
- ・ レーザーポインターの実験。
4) 授業で気になったこと、もっと勉強してみたいことはありますか?※順不同
- ・ 3枚の偏光板を用いての干渉実験。(のべ3人)
- ・ 偏光板の組み合わせ方によって偏光板の見え方が変化していたが、なぜ縦→斜→横→斜→縦→・・・で光が通るのかを勉強したい。(のべ4人)
- ・ 偏光板の仕組み。(のべ3人)
- ・ 偏光板の実験についてとても気になった。
- ・ 光が通るとか通らないとかを偏光板以外でもみてみたい。
- ・ トンネルが具体的にどう利用されているのかは知りたいと思った。(のべ3人)
- ・ 量子力学について勉強したい。(のべ9人)
- ・ 量子の根本的なことを一から習いたくなったこと。
- ・ 量子についてのたくさんの実験をしてみたい。
- ・ 量子の応用
- ・ 干渉について。
- ・ なぜ、粒子が長い時間かけて干渉するのか。(のべ2人)
- ・ 人間でも干渉するのか。(のべ3人)
- ・ 粒子、電子よりももっと大きいものでも干渉するのかどうか。
- ・ 干渉することを使った商品はあるのか。
- ・ 光子は何でできているのか。(のべ2人)
- ・ 光の波動と粒子の二重性について。(のべ3人)
- ・ 光の波長
- ・ 波やひかりについて。
- ・ 光が粒なのか波かどっちなのか。
- ・ 実際にパソコンなどにはどのように使われているのか。
- ・ なぜ原子は存在するのか?
- ・ 干渉の実験がいまいち理解できなかった。
- ・ 量子力学にはほかにどんな不思議な現象があるかということ。
- ・ 身近なことでたとえたのはよくわかったが、はっきりとわからなかった。もっと詳しく。
- ・ 最後の実験を量子力学でどのように説明できるのかをもっと勉強したい。
- ・ 量子コンピュータの-の仕組み。
- ・ 粒子と波動の境目が気になる。
- ・ 特になし。(のべ3人)
5) この授業を受けて、科学・物理に対するイメージはどのように変わりましたか?※順不同
- ・ 物理は奥が深いと知って、もっと物理が好きになりました。(のべ2人)
- ・ 計算だけでなく実験もあり、おもしろい。(のべ2人)
- ・ やっぱりおもしろい!!(のべ5人)
- ・ さらに興味をもてた。(のべ3人)
- ・ もともと楽しいイメージだったのですが、もっと楽しく感じられました。(のべ2人)
- ・ 特に変わりませんでした。(のべ2人)
- ・ 実験が多い。(のべ2人)
- ・ 日常と離れたものと思っていたが、身近なものが理解できるんだなと思いました。(のべ2人)
- ・ とても楽しいものに変わりました。(のべ2人)
- ・ まだまだ未知の部分があることがわかり、ますます興味が持てた。(のべ2人)
- ・ 謎が多く、とても興味深いものだというイメージになった。
- ・ 今までの感覚が量子の世界では無意味と言う事がわかり、未知の世界があって興味が出た。
- ・ 原子レベルでの話になると、自分たちの常識は全く通用しなくなることに驚いた。
- ・ とても難しいようなことでも、私たちの身近なものに使われていると知り、生活に役立っていて、親近感がわいた。
- ・ 成果の恩恵をたくさん受けていることに気付いた。
- ・ 堅苦しい学問というイメージからとても身近な学問であるというイメージに変わった。
- ・ 身の回りのことに直接関係しているところが、やはりおもしろい。
- ・ ややこしいと思っていたが、考え方によると面白いのだなと思った。
- ・ もっと好きになった。
- ・ 科学をより楽しいと感じた。
- ・ 難しいけど楽しい。
- ・ 面白いこともあるんだなあと思った。
- ・ 物理は面白いと思えた。
- ・ 公式を使うだけというイメージだったが、もっと面白いものだというイメージになった。(のべ2人)
- ・ 物理って頭の中でってイメージがだったが、実験もおもしろいんだとイメージが変わりました。
- ・ 文字ばかりの公式を用いた堅いイメージから、実験がたくさんできる楽しいイメージへ変わった。
- ・ 物理=計算の概念が変わった。
- ・ 勉強というより、おもしろいというイメージで楽しめた。
- ・ 量子力学に興味を持った。
- ・ 前から好きだったが、量子力学については初めてどのようなものかわかった。
- ・ 量子で考える物理があることも分かり、面白かった。
- ・ 運動のことを主に習ってきましたが、物理は幅広いんだなと思いました。
- ・ 新しい発見がたくさんある。
- ・ より複雑だなと思った。
- ・ 物理をもっと知りたくなった。
- ・ 物理は「力」と思っていたが、このような小さな世界でも、物理の観点があること。
- ・ 普通に考えて授業を聞いていると訳がわからなくなった。普通を超えたすばらしい世界があることに感銘を受けた。
- ・ 物理といえども奥が深いと思った。
- ・ 色々な身近なことが説明できるけど、まだ説明できないことも多いんだなと思いました。
- ・ あまり変らなかった。どうも苦手。
- ・ 少し変わった。
- ・ むずかしい。
6) 講演者の話を聞いて、研究者としての将来像はイメージできましたか?また、その授業を受ける前と受けた後とでは、研究職のイメージはどのように変わりましたか?※順不同
- ・ もともとあこがれていましたが、ますます憧れるようになりました。かっこいい。(のべ2人)
- ・ 前:少し堅い感じ。 後:明るく楽しい。(のべ3人)
- ・ 面白そうだと思う。(のべ4人)
- ・ 研究って楽しいんだなってイメージが変化した。(のべ2人)
- ・ 研究者は子どももように謎を突きとめていくという職業。
- ・ 実験を多くして、答えを導くと言うのを知った。もとは実験より理論の方が多いと思っていた。
- ・ 計算ばかりするのだと思っていたけど、実験ができて楽しそうだと思いました。
- ・ 研究者というものはもっと難しい意味のわからないことばっかりやっていると思ったが、研究も楽しそうだと思った。
- ・ 研究のことしか考えていないと思っていたけれど、自由な発想をもっているんだと感じた。
- ・ 東大見学会で聞いた情報とあわせて考えると、少しだけイメージできる。研究者は堅いイメージがあったが、少しやわらいだ。
- ・ 意外と机に座って計算だけでなくて、面白そうなことが多かった。
- ・ 中田先生のプレゼン能力に感心した。研究者のイメージは研究室にこもって実験ばかりしているものだったが、今回のように発表をしたりする能力も必要なんだと思った。
- ・ 自分のしたいことをさらに深くできたり知れたりすることがとても魅力的。
- ・ いままで謎であった現象を解明するという点は自分にも興味がある。
- ・ 未知の世界のことを追求するので、初めて自分が発明できるととてもうれしいため、地味ではありますが楽しそうだと思いました。
- ・ 今のハイテク技術やコンピューターのさらなる発展に貢献している職業だと思った。
- ・ 自分の夢を追っている人
- ・ 前:堅い人 後:すごい人
- ・ 新しい発見ができたときの喜びを求めると言う点での研究者の気持ちがわかった。
- ・ 訳のわからないようなことばかり研究していて、高校生には理解できないようなものだと思っていたが、少しは理解できて面白かった。
- ・ 正直微妙です。研究職のイメージは楽しそうなものに変わりました。
- ・ 研究を「好き」でやっているんだなというイメージへ変わった。
- ・ 難しい研究をするのは苦労するけど、それだけやりがいがあるんだなと思った。
- ・ すごく楽しそうで、充実した毎日をおくれそう。
- ・ なんとなくイメージがわかった。
- ・ すばらしい職業だと思った。
- ・ あまりよくイメージできていませんが、研究職はとても楽しいものであるというイメージがわきました。
- ・ あまり分からないけど、ほんの少し興味を持ったように思います。
- ・ すごく興味を持った。
- ・ 未知のことを調べるなんてすごいと思った。
- ・ わからないことを自分で調べることができる楽しそうなイメージに変わった。
- ・ 研究職も興味深いと感じた。
- ・ 自分が何かを研究しているというイメージがまだわきません。しかし、何かを追求していくことはとても楽しいものなのだなと感じました。
- ・ ここまで奥深く研究できる自信がない。研究者はとても偉いと改めて実感した。
- ・ まだまだ研究すべき謎が多く残っているんだなと思いました。
- ・ 物事はつきとめればつきとめるほど、おもしろいものだなと思い、研究者はその楽しみを感じることができるのだなと思った。
- ・ 研究職は楽しそうに感じたが、将来像はイメージできない。
- ・ 少し変わった。
- ・ まだできなかった。楽しそうだなあと思った。
- ・ あんまり変わらなかった。(のべ6人)
7) この授業を通じて、大学でもっと理科の勉強をしてみたいという興味が湧きましたか?
- a. はい〔55〕
- b. いいえ〔1〕
- c. 分からない〔5〕

8) また機会があれば、このような授業を受けたいと思いますか?
- a. 是非受けたい〔55〕
- b. あまり受けたくない〔0〕
- c. 別の内容なら受けたい〔5〕

