出張授業
青森県立三本木高等学校附属中学校 中学校3年生 79名
「量子の不思議を体験してみよう」
平成23年10月11日(火)
- 授業時間
- 10:15-12:05 100分×1コマ
12:50-14:40 100分×1コマ
出張授業担当者:
- 向井 哲哉(NTT物性科学基礎研究所)

授業担当者の感想
SSH青森県立三本木高等学校付属中学校での出張授業
「世界には不思議な事が沢山有って、その理屈がわかると、とても楽しい。また、その知恵で未来をちょっと良くできたら、どんなに素晴らしいだろう。」企業研究者のささやかなメッセージを携えて、青森県十和田市にある、県立三本木高等学校の付属中学校を訪れました。
オープンハウス等の研究所公開のイベントでは、大学院生を相手に冷却原子について話すことはあるが、今回の対象は中学3年生。しかも内容は「量子」と決まっているので、さてどうしたものか。物質波や原子干渉の説明はどうだろう。レーザー冷却を説明すると主題が曖昧になるか。欲張って消化不良に終わるより、少しのことでも「不思議」であると感じる事と、それが「わかった」という感動を味わってもらいたい。あれこれ考えた末に、やはり「光」に話題を集中させることに決めた。
授業は1クラス約40名を対象に100分間。午前と午後の2クラスを担当。自己紹介を兼ねて、ドイツ人大学院生と実験をするビデオを見せ、研究という職業に国際的で明るい印象を与えつつ授業を始める。まずは、手作り感満点のMach-Zehnder 型干渉計で干渉縞を見せ、光の波動性を十分に確認させる。その後、光子数計測による光の粒子性を示す実験結果を見せる。直感に反する「量子」の世界を学生同士に議論させ、各グループから意見を出し合った後に、種明かし。このようなグループ討論を繰り返しながら、量子相関光子対と量子テレポーテーションまでを説明して授業終了。
アンケートの結果から、科学的な事を考えて知る楽しさは伝わったようである。中学生達の溢れんばかりの好奇心に触れて、普段とは違う清々しい気持ちになれた一日でした。
[NTT物性科学基礎研究所 向井哲哉]

授業風景
フィードバック総回答数:71名
1) 授業の理解
- a. よく理解できた〔10〕
- b. 普通〔44〕
- c. わかりにくかった〔17〕
- d. 無回答〔0〕

2) 授業の感想
- a. おもしろかった〔45〕
- b. 普通〔26〕
- c. つまらなかった〔0〕
- d. 無回答〔0〕

3) 印象に残ったところは何ですか?※順不同
- ・ 光は波であり、粒である。(のべ17人)
- ・ 光は波なのか粒なの・・・。(のべ2人)
- ・ 光の性質
- ・ 光がしましまになっていた。(のべ3人)
- ・ 1粒の光が2つの穴に入っていくところ。
- ・ 周りの人と光について良く考えて発見したこと。
- ・ 偏光板を2枚重ねると、見えなくなったりするところ。(のべ7人)
- ・ 偏光のこと(のべ19人)
- ・ 偏光板を使って光をみたところ(明るさが変わって面白かった)(のべ8人)
- ・ 偏光板でいろいろなものを見たところ。
- ・ 偏光板をななめに入れることで、若干見えるようになったこと。
- ・ 偏光板を90°回すとテレビの光が消えたこと。(のべ4人)
- ・ 縦波や横波は同じ向きのものには通らないということ。(のべ2人)
- ・ 1粒の光子をさらに分けたもののところ。
- ・ テレビはすごい。
- ・ 「観測する」という動作が加わるだけで、結果が変わるという不思議な点。
- ・ ヘム光!
- ・ 自分たちが知っている知識をくつ返すように、矛盾がたくさんあったこと。
4) 授業で気になったこと、もっと勉強してみたいことはありますか?※順不同
- ・ 偏光板の特徴・用途。
- ・ 赤や青などに見える光はどんな原理でそう見えるのか。
- ・ TVのしくみ (のべ3人)
- ・ 1つのものを2つに分けて考えるところ(最後の方が)分からなかった。もう少し詳しく勉強してみたい。
- ・ 光が粒なのか波なのかもっと知りたい。(のべ6人)
- ・ 光が粒と波の形に変わる時。
- ・ 粒子とかをもう一度やりたい。
- ・ 光の「粒」の分裂。
- ・ 光の粒(原子・粒子?)説をもっと聞きたい(どのようにして発見されたかなど)(のべ3人)
- ・ 穴を2つ同時に光が通るということ。3つでは(穴がどうなるのか)。(のべ2人)
- ・ 光の波でどうして みたいな感じになるのか。
- ・ 光子を分ける時などの処理システム。
- ・ 光が2つに別れる実験を実際してみたい。
- ・ 光の強さの変化について。
- ・ 光のしくみ。(のべ8人)
- ・ 光を限界まで強くしたらどうなるか。
- ・ 光の波についてもっと学びたい。
- ・ 原子は光子のように粒でもあり、波でもあるのか。詳しく。
- ・ 光子の特性など。
- ・ 光は打ち消すことができるのか。(波の性質上)
- ・ 光がどんな物に使われていて、どんな仕組みになっているか。
- ・ 偏光板について(のべ6人)
- ・ あの機械のしくみ。(光が通る過程の機械)
- ・ 量子コンピューターのしくみ。(のべ3人)
- ・ もう一度自分で整理してみたい。
- ・ まずは今回の授業をもっと理解したい。(のべ2人)
- ・ しましまのできる原因。(のべ2人)
- ・ 全体的に。あとテレポートとか。
- ・ 生物の身体の原子においても、同じことができますか?
- ・ 身近なものと量子の関係について。(のべ2人)
- ・ 双子のところ。(のべ3人)
- ・ その他物質について。
- ・ 量子力学の応用。量子コンピューターは出来てほしい。
- ・ この原理は将来どのような役に立つかを知りたい。
- ・ 特になし(のべ8人)
5) この授業を受けて、科学・物理に対するイメージはどのように変わりましたか?※順不同
- ・ 光の状態がテレポーテーションにもつながっていておもしろかった。
- ・ 身近な光でたくさん考えたので、音などについても考えてみたいと思いました。
- ・ 難しいけど、おもしろい。(のべ10人)
- ・ 難しいという事は変わらないが、不思議なものがたくさんあり、面白そう。
- ・ とても難しいんだなと感じた。(のべ6人)
- ・ 考え方を変えるとおもしろい。
- ・ 奥が深いと思っていました。未知の世界だなと・・・。(のべ2人)
- ・ 科学・物理は思っていた以上に奥が深いと感じた。(のべ3人)
- ・ 光に粒とか波とかそういうものがあるのはなんだろうなと思った。
- ・ 光の「粒」の分裂。
- ・ 光はとても不思議な性質を持っているんだなと思った。
- ・ 答えの分からないものを自分の知っていることを応用して解くというのがおもしろかった。(のべ2人)
- ・ 実験で目で確かめることができるんだなあと思った。
- ・ 複雑なことがいくつも関わりあって成り立っていると思った。
- ・ 身近にある「?」を「わかった!」にすることができる。とても興味深い勉強だと思った。
- ・ 面白いと思った。(のべ7人)
- ・ とても面白くて不思議なもの。うまく説明出来たら、かっこいい。
- ・ 分かればすごい楽しそう!いろんな考え方が持てる。
- ・ 興味を少し持てたので、楽しそうなイメージ。
- ・ 時間をかければおもしろそう!
- ・ 分かるって楽しい!
- ・ あまり変らなかったが、やっぱり楽しいなあと思った。
- ・ 分からないことだらけだと思った。
- ・ とにかく私が知らない複雑なことが、さらにたくさんあると思った。
- ・ より興味を持つようになった。(のべ3人)
- ・ 興味深い(のべ2人)
- ・ 物理・科学は身近にあるものにも使われている。(のべ4人)
- ・ 私たちの日常とかけ離れているようで、つながっているというイメージになった。
- ・ 内容は難しいが、科学・物理は自分の思っている以上に、未来の可能性が大きかった。
- ・ 未来への可能性が無限にあって、とても範囲が広いイメージ。
- ・ テレビなど、普通にあるものが実はとても複雑な仕組みをしていて、それぞれを作った科学者はすごいと思った。
- ・ まだまだ謎が多いと思った。(のべ2人)
- ・ 最初から好きな分野ではありましたが、ここのところはあまり分からなかったので、この機会に学習して興味がわいた。もっと好きになりました。
- ・ 最先端とは難解なものだ。
- ・ 数学との関連性。日常生活にも活かされている。
- ・ 身近な所はかなり法則によって成り立っている。(光)
- ・ 数式が大事であること。
- ・ ちゃんと話を聞くことで、難しいことも結構理解できるなと思いました。
- ・ 矛盾していることが多い。
- ・ 特に変化なし。(のべ2人)
6) 講演者の話を聞いて、研究者としての将来像はイメージできましたか?また、その授業を受ける前と受けた後とでは、研究職のイメージはどのように変わりましたか?※順不同
- ・ やりがいのある職業だなと思った。(のべ2人)
- ・ 研究者はひたすら研究をしているイメージでしたが、それをみんなが使いやすいようにしているとは知らなかったです。(のべ2人)
- ・ 研究職は1つのことについて、様々なことをし、解明しようと日々がんばっているのだと思った。(のべ2人)
- ・ とても難しい仕事だと思うが、楽しそうだった。(のべ3人)
- ・ すごく大変そうだけど、自分が発見したことを他人に伝えるというのは誇らしいことだと思った。
- ・ 大変そうだけどカッコいい職業だと思いました。
- ・ 気難しいイメージから、疑問を解決する喜びがある楽しいもの。
- ・ もっと単純なものだと思っていたが、たくさんの難しく複雑な知識が必要で大変そうだけど面白そうだと思った。
- ・ どこか暇そうでなイメージがありましたが、受けた後は新しい発見を日夜求める熱心な職だと思いました。
- ・ 研究職はパッとしないと思っていたが、話を聞いて、カッコいいなと思った。?から!へ。
- ・ 研究者って暗い感じだと思っていたが、そうでもなかった。
- ・ ただ研究しているだけかと思っていたけれど、楽しそうだなと思った。
- ・ とても、面白そうなイメージになった。
- ・ もっとかたそうなイメージがあったけど、内容がわかりやすくて楽しかったです。(のべ2人)
- ・ 人間らしさが思ったよりあった。
- ・ 受ける前は難しそうな職業だなと思ったけれど、受けた後では楽しそうだった。
- ・ 頭のいい人→頭のいい人 気難しい人→フレンドリーな人
- ・ 研究職はおかたいというか、とっつきにくいイメージを持っていましたが、今回の講座を経て、自分もなりたいという気が生まれました。
- ・ 研究することで、新しい世界が見えてくるのがおもしろかった。
- ・ 理科や研究はやっぱり難しいけど、生活の発展に関わっているんだなと思った。少し身近に感じた。
- ・ すごい研究をしていると思った。
- ・ みんなのためにがんばって研究をしているのだなと思った。
- ・ みんなのために役立つことを日々研究している。
- ・ 授業を受けてイメージは特に変わりませんでした。最初と同じく難しい研究をしていることがわかりました。
- ・ 研究者は謎を解き明かさないといけないものだと思っていたけど、楽しいものなのだなと思った。
- ・ 研究して何か発見したりすれば楽しそう。
- ・ 想像もできないような難しいことをやっていたが、今日の多分簡単なところも使うんだなあと思った。
- ・ 研究者は地道な研究をしていて大変だなと感じた。
- ・ 様々なしくみをどのように応用させるかなど。未知数の可能性を扱っている。
- ・ Before:部屋にこもってただただ研究。どうせ分からない。 After:やっていることは難しいけど、結論は分かる!将来をイメージできたかも!
- ・ 好きなものを自由に研究できるのは素敵だと思った。
- ・ 研究職は自分の好きなことを極めることができる職業だと思った。
- ・ 研究職はやっぱり1つのことを突きつめているし、さらにそれを実用化しようと、実現に向けてた絶えず努力していてすごいと思った。
- ・ 研究者はすごいと思うと同時に、自分には無理だろうなと思った。
- ・ 研究者はやればやるほど、新たな疑問が出て来て少し大変そうだと思いました。私にはあまり向いていないかなと思いました。
- ・ 良く分からなかったけど、すごいことをしているんだなと思った。私にはできない。
- ・ 楽しそうだけど、自分向きじゃない。
- ・ 将来像は全くイメージできませんでしたが、研究職へのイメージはとても良いものへと変わりました。
- ・ 研究者になろうとは思わないが、おもしろいことをやっているということは分かった。
- ・ 研究者は大変そうだなあと思いました。みんなすごく頭が良いんだろうなと思いました。
- ・ 自分が研究者になっているところは想像できなかったが、研究者になって“発見”していくことはおもしろそうだと思う。
- ・ 研究者の人たちってすごいなと改めて思いました。研究することを楽しめるなら、良いなと思います。
- ・ イメージはあまりできなかった。研究は思っていたよりもおもしろそうだと思った。
- ・ 研究職には理科(科学・物理)だけでなく、数学も必要だと思いました。
- ・ 特に変わりません。元々すごい職業だとわかっていましたから。でも、よりあこがれが強くなったかなという感じです。
- ・ 研究する人たちはいつも疑問を持っているのか・・・。
- ・ イメージできなかった。受けた後は、意外と生活に関係していることもやっていると思った。
- ・ 研究はおもしろいと思うけれど、何か発見できるまでは大変だと思う。
- ・ 大変そう→?から!への道すじを考えるのが充実して楽しそう!?
- ・ ?を!にするのはすごいなあと思った。
- ・ イメージは変わらなかった。分からないことを常に知ろうとす努力するイメージ。
- ・ 追求する姿が美しい。
- ・ 研究は1つのものだけでなく、複数のことについて調べている。
- ・ 多くの人が1人1人複数の研究に関わり、個人がグループではなく、全体で研究を進めていくイメージ。
- ・ 研究する時に使う機械は手作りのものがあること。
- ・ 自分には進みたい進路があるので、あんまり変わらなかったが、研究がもっと進んで世の中に役立ってほしい。
- ・ 将来像…とまではいきませんが、より良い方法で私たちの生活を変えてくれるんだな―と思いました。
- ・ イメージできません。
- ・ あまり変らない。(のべ5人)
- ・ 前、後でもやはり自分には向いていないなと思いました。難しい仕事だなあと思いました。
7) この授業を通じて、大学でもっと理科の勉強をしてみたいという興味が湧きましたか?
- a. はい〔26〕
- b. いいえ〔14〕
- c. 分からない〔31〕

8) また機会があれば、このような授業を受けたいと思いますか?
- a. 是非受けたい〔44〕
- b. あまり受けたくない〔1〕
- c. 別の内容なら受けたい〔26〕

