出張授業
私立灘中・高等学校 高校1・2年生、中学生
高校生のための量子力学入門
平成23年10月22日(土)
- 授業時間
- 10:40-12:10
90分×1コマ
出張授業担当者:
- 高倉 樹(東京大学大学院)
- 米田 淳(東京大学大学院)

授業担当者の感想
灘中学・高等学校での出張授業
去る2011年10月22日、母校である私立灘中学・高等学校で高校1~2年生を対象に量子力学に関する出張授業を行いました。灘高等学校では様々な分野で活躍する卒業生を講師として授業を開講する「土曜講座」を実施しており、今 回はその一環として量子力学に興味を持つ高校1~2年生を対象に講義を行いました。受講者の中には意欲的な中学生も若干名含まれていることに驚かされました。
今回の授業では、まず前半部分で量子力学の基本的な考え方を概観し、量子の世界の不可思議さを感じてもらうことを目標としました。特に、「粒子性と波動性」「シュレーディンガー方程式と波動関数」という2つの概念について重点的に説明しました。大学初年度程度のレベルの内容も含まれていたため、質問を促したりすることで理解度を確認しながら講義を進めるように意識しました。
授業の後半では、量子力学の実際の応用例として量子ドットの物理について簡単に話をしました。量子ドット中の電子が「人工原子」として振る舞うことや、そのようなデバイスを作るための半導体微細加工の話を中心に講義を行いました。予定の時間を30分ほど超過したにもかかわらず、生徒は集中して授業に取り組んでくれたように思います。
今回、高校生を対象に講義を行ってみて気付かされたのは、限られた時間の中で彼らの持つ物理学の知識で内容を理解してもらうことの難しさです。一方で、全てを完全に理解できなくても、何かひとつでも興味を持ってもらうことを目指し、幅広い内容を極力平易に説明するように心掛けました。先方の物理の先生から「最近の生徒は医学部志向が強く、自然科学に興味を持つ子が少なくなった」というお話を伺いましたが、この出張授業が若い世代の物理への探求心を促す一助となれば幸いです。
[東京大学 高倉樹]

授業風景
フィードバック総回答数:64名
1) 授業の理解
- a. よく理解できた〔20〕
- b. 普通〔37〕
- c. わかりにくかった〔6〕
- d. 無回答〔1〕

2) 授業の感想
- a. おもしろかった〔47〕
- b. 普通〔14〕
- c. つまらなかった〔2〕
- d. 無回答〔1〕

3) 印象に残ったところは何ですか?※順不同
- ・ 大きい物質も干渉するということ。
- ・ 波動関数
- ・ 非常に説明が分かりやすかった。
- ・ 微弱な光と電子を二重スリット通した時の観測結果
- ・ 光子や電子が粒子の集まりのようでありながら、集合が波動性を持つという点。(のべ4人)
- ・ 波動性と粒子性
- ・ 光の粒子と波動性についてどういうことなのかはじめて理解できた。
- ・ なみなみしているところ。
- ・ 物質波のこと
- ・ シュレンディンガー方程式のiħ~のiって何なのか知りたかった。
- ・ シュレンディンガー
- ・ シュレンディンガー方程式の難しさ
- ・ 量子ドットについて(のべ3人)
- ・ 量子ドットの作り方(米田さんの女子高のたとえ)
- ・ 女子高のたとえ(笑)人工の原子が作れて簡単に制御できたりすること。
- ・ トンネル効果(のべ3人)
- ・ ヤングの実験(のべ2人)
- ・ 光の話(のべ2人)
- ・ ド・ブロイの波長に関して(のべ4人)
- ・ 物理や数学の土曜講座はいつも眠くなるのですが(笑)今回は全く眠くならなかったです。自分でもびっくりしました。
- ・ 離散的な値をとるところ。
- ・ 量子力学が小さなものでしか成り立たないところが、特に残りました。
- ・ 人工2次元原子のところ(のべ2人)
- ・ 人工元素が出てくるところ。
- ・ スライドが素晴らしかった
- ・ 光子の確認方法。量子ビットの電流。
- ・ 量子ビット
- ・ 量子力学では、古典力学が通用しないところ。
- ・ 不確定性原理
- ・ 外村さんの実験
- ・ 最初のファインマン博士とじゃんけんとファーレンの二重性とシュレンディンガーの波動関数と、光電効果
- ・ 力学に確立という概念が含まれていたところ。
- ・ 全くもって何も理解できなかったところ。米田氏どとうの大延長。
- ・ 顔にのめり込むサッカーボール
- ・ 電子スピン
- ・ フラーレンの実験 量子スピン
- ・ 2人目の人の話し方
- ・ 量子コンピューターの説明。
- ・ 電子軌道
- ・ 河内
- ・ ない
4) 授業で気になったこと、もっと勉強してみたいことはありますか?※順不同
- ・ 実際研究されている内容もおもしろそうだった。
- ・ 量子力学について(のべ2人)
- ・ 相対論・量子力学(のべ3人)
- ・ 電子機器に使われている量子力学の使用を詳しく調べてみたい。
- ・ 量子力学は具体的にどのように使われているのか。
- ・ 非常に興味・関心が深まりました。量子力学面白そうです。
- ・ トンネル効果
- ・ スピンについて
- ・ 電磁気学
- ・ 原子の構造。
- ・ シュレンディンガー方程式について。(のべ6人)科学とのつながりについてなど。
- ・ シュレンディンガーの猫の方も聞きたかった。
- ・ シュレンディンガー方程式を理解するために非線形偏微分方程式を勉強しなきゃ・・・。
- ・ 波動関数のところ。(のべ4人)
- ・ なみなみしているところ
- ・ 波動方程式
- ・ 波動性
- ・ 不確定性原理(のべ3人)
- ・ 光(のべ2人)
- ・ ド・ブロイ波(のべ2人)
- ・ ド・ブロイの波長はp=0のとき∞になる??
- ・ 光電効果について
- ・ とりあえず今やっている物理をがんばります。
- ・ 不思議と興味がわかなかった。
- ・ 二次元原子について
- ・ 量子コンピューターの実現(のべ2人)
- ・ ヤングの実験
- ・ とにかく難しい。
- ・ 光、電子
- ・ 光子
- ・ 本当に何もわからなかったので、無いです。
- ・ 量子ビット
- ・ 数式の解き方など。
- ・ 物理化学
- ・ 全部あまり理解できなかったので、わかるようになりたい。
- ・ ナノテク
- ・ エルミート多項式
- ・ 重ね合わせの足し算が良く分からなかった。
- ・ また考えときます。
- ・ 特になし(のべ4人)
5) この授業を受けて、科学・物理に対するイメージはどのように変わりましたか?※順不同
- ・ とても奥が深いものであると感じた。(のべ4人)
- ・ 楽しそうだなあと感じました。(のべ2人)
- ・ おもしろそうだと思った。(のべ5人)
- ・ 今までの物理が好きだったが、この授業を受けて、量子力学を勉強してみたいと思った。
- ・ 一つの学問の中にも様々な分野があり、研究対象になるテーマの種類が山ほどあること。
- ・ 50mKの環境で実験なんて、日常生活と桁違いですね。(2,3桁くらい)
- ・ 量子力学は数学としては微分方程式の本とかにのってて面白いと思ってたけど、この授業で波動関数とかのイメージがちょっとわかった。それと、物理が実用的な物だということが良く分かった。
- ・ 断片断片ではわかっていた事が、頭の中でつながった気がする。
- ・ 物理のイメージがモノクロからカラーになりました。
- ・ 斜面→階段
- ・ ミクロのあいまいさが気に入らなかったけど少し納得しました。
- ・ 難しいがおもしろい。
- ・ 今まで通りおもしろい。
- ・ 複雑そう
- ・ 興味を持った。
- ・ 授業の範囲外のことで社会は成り立っているんだなと思いました。
- ・ 数式に重みがある。
- ・ 前まで、ここまで最先端の事を知っているとは知らなかった。
- ・ 思った以上に地道に研究しているのだなと思った。自分たちの生活に身近なものも多いと思った。夢のある話だった。
- ・ 想像以上に身近なことにいろいろ関わっていたと思うようになった。(のべ3人)
- ・ 物理にはまだまだ可能性があるなと思った。
- ・ まだ自分が足らない興味深い世界があり、もっといろんなことを知りたい。
- ・ やっぱり物理は難しい。次からはもっと予習をして、知識を持ってから受講に臨みたいです。
- ・ 文系ですが、非常におもしろい授業で興味を持てました。
- ・ いろんなことの積み合わせ
- ・ けったいですね。
- ・ 物理に対しては少し苦手意識を持っていたけれども、物理はこのような分野もあると知り、もっと知りたくなった。
- ・ いろいろ
- ・ 生物選択ですが、物理も大学からやろうと思います。(のべ2人)
- ・ 難しい。
- ・ よくなった
- ・ あまり変らなかった。(のべ7人)
6) 講演者の話を聞いて、研究者としての将来像はイメージできましたか?また、その授業を受ける前と受けた後とでは、研究職のイメージはどのように変わりましたか?※順不同
- ・ 研究者は楽しそうだなと思った。(のべ6人)
- ・ おもしろそう(のべ3人)
- ・ 自分のやりたいことを研究できるので、良い職業だと感じた。
- ・ やりたいことを研究できることに対して良いイメージが持てた。
- ・ 出来た。自分の好きなことに没頭できる人。
- ・ ある分野を突き止める研究者に非常に強い憧れを抱いた。
- ・ やりがいのあるものだと思った。
- ・ 研究者はみんな天才だと思いました。
- ・ ある程度イメージできた。研究職は数人単位のチームで行動するのかと思ったけど、思いのほか多かった。
- ・ サッカーとかやるのも意外。
- ・ 最先端のおもしろいことをやっているというイメージ。
- ・ いろいろな研究に興味が持てた。
- ・ 元々研究者志望でしたが、さらに興味がわきました。
- ・ 工学部と理学部であまり違わないのかなと思った。
- ・ 研究というものがかなり深いところにふみこんでいるものっだと感じた。
- ・ 正直、何をやろうとかまだ決まらないけど、研究職って興味がわいた。
- ・ 将来のことまではわからない。数学か物理かどちらかを目指すかますます迷ってきた。(物理も面白そうだなあ・・・と思った。)
- ・ やはりなかなか難しい話だったので大変かなと思った。
- ・ ・・・(笑)
- ・ 良く分からない。(のべ2人)
- ・ 量子力学という一分野でもいろいろな研究がされているということがわかりました。自分も新しい研究をしてみたいです。
- ・ やろっかなって思う。
- ・ 身近に感じた。
- ・ お金がかかりそうだと感じた。
- ・ まだできてません。物理もありかなと思いました。
- ・ あまり変りません。(のべ9人)
- ・ 物好き
- ・ 暇、ド・ブロイになりたい。
7) この授業を通じて、大学でもっと理科の勉強をしてみたいという興味が湧きましたか?
- a. はい〔49〕
- b. いいえ〔4〕
- c. 分からない〔11〕

8) また機会があれば、このような授業を受けたいと思いますか?
- a. 是非受けたい〔56〕
- b. あまり受けたくない〔1〕
- c. 別の内容なら受けたい〔7〕

