ホーム >> サイエンスアウトリーチ >> 出張授業 : H22(2010)年度

サイエンスアウトリーチ

  • 出張授業
  • サイエンスキャンプ
  • 物理オリンピック
  • 教員研修会
  • 高校生見学訪問
  • コラム

出張授業

  • H25(2013)年度
  • H24(2012)年度
  • H23(2011)年度
  • H22(2010)年度

品川区立小中一貫校伊藤学園

理科特別授業「光の性質」

平成23年3月8日(火)6年1組~3組

授業時間
8:50-11:40
50分×3コマ

平成23年3月9日(水)5年1組~3組

授業時間
9:50-12:40
50分×3コマ

出張授業担当者:

  • 宇都宮 聖子(国立情報学研究所)

授業担当者の感想

『理科好き』の子どもを育てるために ―「教員」と「研究者」の連携への可能性―

2011年3月8日(火)、9日(水)、宇都宮聖子先生(国立情報学研究所)に品川区立小中一貫校へ来校いただき、「光」をテーマにした出張授業を本校の小学5・6年生を対象に行いました。今回の出張授業に向けて事前に5年生100名を対象にアンケートを行いました。下の表はその中の「出張授業で行ってみたいことはありますか。」という質問に対する回答の一部です。

  • ・ プリズムを見たい。
  • ・ 暗いところで小さい穴に光を通すと、物が逆さに見えるという話を聞いたのでぜひやってみたい。
  • ・ 光が動くところを見たい。
  • ・ 光と光がぶつかるところを見たい。
  • ・ 虹を作りたい。

小学校での「光」に関する学習は、3年生で行うのみですから、学習経験から得た知識がたくさんあるとは言えません。しかしながら、記述内容からも子どもたちは光についての高度な内容に興味をもち、実際にやってみたいと感じていることが分かりました。
今回の出張授業は、緑色の固体レーザーを使って水の中での光の進み方を調べたり、色の異なる風船の割れかたを調べたりするなど様々な実験を通して、「光の性質」について分かりやすく解説する内容でした。子どもたちにとっては、研究者による授業を受けることができるということ自体が大きな喜びであり、小学校にはない特殊な実験器具を使って実験ができたことが誇りとなりました。また、今回の授業のために何度も打ち合わせを行い、事前に様々な準備をすることで、私自身も子どもたちの知的好奇心を十分に満たす授業づくりの大切さを改めて感じるよいきっかけとなりました。
一方で、特に小学校の教員の多くが理科の授業を行うための準備、研修の時間が十分にとれないと感じていることが様々な調査結果として明らかになっています。学校現場の教員がゆっくりと授業の準備をしたり勉強したりする余裕がないということで、子どもたちの「なぜ」「どうして」に答える授業づくりが十分にできないという現場の実態が大きな課題です。そのためにも外部の様々な機関と連携して知識や技術を共有し、協力して授業づくりを行っていくことが重要であると考えます。
宇都宮先生は本校の理科支援員として前年度一年間勤務した経験があり、研究者から見た学校現場の現状と課題に対して、様々なアプローチで理科の授業づくりに取り組まれていました。また、小学校5・6年生の実態をしっかりと把握し、目の前の子どもたちの悩みや疑問を見つけ、授業の中で分かりやすく教えてくだっている姿が多くありました。学校現場の教員が研究者の方や高度専門機関などと連携して授業づくりをしたいという気持ちは強くあっても、日々の教育活動に追われるあまり「すぐに活用できるもの」「即効性のあるもの」「誰でもできるもの」を求める傾向があります。一方で研究者の方々がご自身の専門分野を学校現場で子どもたちに伝えようと考えても、子どもたちの実態の把握が難しいために、十分な手応えが得られないという懸念も残されています。
今回の出張授業は、本校の子どもたちの実態を良く知っている研究者と教員による相互協力型の授業体制によって、一定の成果を挙げることができました。しかし、このような取り組みを多くの学校で実施するには、さまざまなハードルがあると思います。このハードルを教員、研究者双方から取り除き、無理なく連携を図っていくための「フォーマット」作りを今後も継続して行っていきたいと思います。

[品川区立小中一貫校 伊藤学園 主任教諭 冨本保明]

続きを読む

授業風景

スライド

ページトップ