NIIテクニカル・レポート (NII-2005-015J)

タイトル GMRES法による最小二乗問題の解法
著者名 速水 謙, 伊藤 徳史
概要 大規模疎なm×n行列Aを係数行列とする最小二乗問題に対する主流の反復法は, 正規方程式に対して(前処理付き)共役勾配法を適用するCGLS法である. 本論文ではまず, 代案として元の最小二乗問題を, n×m行列Bを用いて, 正方行列ABまたはBAを係数行列にもつ等価な最小二乗問題に変形し, 非対称正方行列を係数行列とする連立一次方程式用のロバストなクリロフ部分空間反復法である一般化最小残差法(GMRES)を適用する手法を提案する. 次に, m≧n (優決定), m<n (劣決定), およびランク落ちも含めた一般の場合に対して, これらの手法が任意の右辺項bに対して破綻することなく最小二乗解を与えるための行列Bに関する十分条件を導く. そして, Bの例として不完全QR分解の一つであるIMGS(l)法を提案する. 最後に, フルランクな優決定および劣決定問題に対する数値実験により, 条件の悪い問題では(対角スケーリングに相当する)IMGS(0)法を用いた提案手法の方が従来の前処理付きCGLS法より速く最小二乗解を与えることを示す.
言語 日本語
公開日 2005年10月29日
ページ数 20頁
PDFファイル 05-015J.pdf



ISSN:1346-5597
NIIテクニカル・レポート
国立情報学研究所