北京日本学研究センター図書資料館

情報化支援ワークショップの開催

 学術情報センターでは,国際交流基金,北京外国語大学および北京日本学研究センターの要請を受けて,北京日本学研究センター図書資料館の情報化支援を行っている。そのために行った事前調査については,本センターニュース第45号(1998.9)で報告した。

 この事前調査の結果,北京日本学研究センター図書資料館の情報化支援にとどまらず,日中間の学術情報流通を図るため調査等を実施すべきことが明らかになった。

 そこで,学術情報センターでは,中国(北京)に学術情報センターの各サービスを有効かつ円滑に展開すること,日本情報を中国へ発信すること,日本国内の研究者に有益な中国内の情報を収集すること等,日中間の学術情報流通をより一層促進するための方策を調査検討および実施する組織として,「中国との学術情報交流プロジェクト」を設置した。

 本プロジェクトは,今年度より3か年計画で,上記の目的を遂行するための様々な活動を行う予定である。初年度の活動の一環として,このたび北京において「北京日本学研究センター図書資料館情報化支援ワークショップ」が,北京日本学研究センターと学術情報センターとの共催により開催された。

1.日時・場所

(1)日時

   平成10年10月22日(木)14:00〜16:30

(2)場所

   北京日本学研究センター 3階電教室

2.講演内容

  ・「日本における学術情報システム」

    講師: 宮澤 彰 学術情報センター研究開発部教授(情報図書館学研究部門)

  ・「現代化に立ち向かう中国図書館」

    講師: 朱 岩  北京図書館研修センター主任

  ・「中国における日本研究と情報化」

    講師: 曹 大峰 北京日本学研究センター客員教授

  ・「北京日本学研究センター図書資料館情報化支援計画」

    講師: 牧村正史 学術情報センター事業部目録情報課長

3.概要

 北京近隣の図書館および学術情報関係者と北京日本学研究センター関係者,合計70名が参加して開催された。徐一平北京日本学研究センター副主任の司会により,学術情報の流通に関する話題と,学術情報センターによる北京日本学研究センター図書資料館情報化支援計画をめぐる話題についての講演が行われた。同じ漢字文化圏に入る日中両国とはいえ,使っている文字そのものも大部分が異なっており,情報化の前提となる文字コードも異なっている。このため,インターネットが普及しても,従来は情報交換を行うことが困難であった。しかし,近年になって,異なる文字コードを相互に自動変換するソフトが開発されたり,一方で多言語に対応した文字コードを採用する動きも多くみられるようになっており,文字種の壁を超えた学術情報の流通が求められてきた。

 今回,このような形で,両国の図書館および学術情報関係者が,直接情報交換できたことは,非常に意義深いものであり,四つの講演を通して,それぞれの国の学術情報システムについて相互に理解を深めることができた。このワークショップによって,日中両国の学術情報流通および学術情報システム交流の第一歩が築かれたことは,今後の両国の学術情報における相互関係にとって非常に有意義なことであった。

 学術情報センター 宮澤教授の講演と会場風景

北京図書館朱岩氏(左)と北京日本学研究センター施建軍氏(通訳担当)

 北京日本学研究センター 曹大植氏

(目録情報課)


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