情報研究の中核的研究機関準備調査室の開設

 日本学術会議は,平成9年5月,「計算機科学研究の推進について」の勧告を行い,計算機科学(コンピュータサイエンス)の研究を推進するために,その中核となる研究所の設立を提案した。また,学術審議会は,平成10年1月,「情報学研究の推進方策について」の建議を行い,情報科学・計算機科学から生命科学系,人文社会系にわたる幅広い分野を対象として情報に関する学問の体系化を図ることが必要であるとの観点から,情報分野の学術研究を推進する中核的な研究機関を大学共同利用機関として設置することを提言した。

 文部省は,これらの動向を踏まえて,情報分野における研究者や関連研究機関の関係者などから成る「情報分野における中核的な研究機関の在り方に関する調査協力者会議」を設け,学術審議会が提言した「中核的な研究機関」(以下「中核研」という。)の在り方について検討を行った。平成10年3月,同調査協力者会議の報告書が提出され,中核研の理念,目的,役割などについての基本的な方向性が述べられるとともに,学術情報センターを母体とする改組・拡充によって,大学共同利用機関として中核研を設立するという方針が示された。

 さらに,平成10年度予算において,中核研の準備調査の実施に要する経費が計上された。また,予算成立と同時に,文部大臣裁定「情報研究の中核的研究機関の準備調査室等組織要項」が制定され,中核研の準備調査に関する事務を処理するための準備調査室を学術情報センターに設置すること,また,中核研の組織運営その他の準備調査に関する重要事項を審議する準備調査委員会を当センターに設置することが定められた。

 これを受けて,15名の学識経験者から成る「情報研究の中核的研究機関準備調査委員会」が平成10年5月に発足し,森亘東京大学名誉教授が委員長に,また,末松安晴高知工科大学長が副委員長にそれぞれ選出された。さらに,同委員会の下に,中核研の組織,機構,運営などについて検討を行う第1部会,および中核研における研究内容・手法,他機関との協力などについて検討を行う第2部会を置くことが決定された。同委員会においては,国内外の情報関連研究機関に関する調査も含めて,中核研を設立するための基本的構想についての審議が行われ,平成10年度中に最終報告書が提出される予定である。

左から太田文部省学術情報課長,安達準備調査室長,猪瀬所長

(総務課)


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