海外における日本情報の需要と供給に関する研究

―Ms Jane ThackerおよびMr. Ron Jantz招へい―

 平成7年より3年計画で実施している科学研究費国際共同研究「海外における日本情報の需要と供給に関する研究」(研究代表者 井上 如副所長)では,平成10年3月9日より19日にかけてMs Jane Thacker(ジェーン・サッカーさん:カナダ国立図書館上級標準化図書館員)およびMr. Ron Jantz(ロン・ジャンツ氏:ラトガース大学アレクサンダー図書館政府・社会科学データ図書館員)を招へいして,カナダ国立図書館の電子文献,ラトガース大学における新図書館構想への取り組みについて情報交換し,その上で,日本情報の国際流通に関わる諸問題について検討した。

 サッカーさんはカナダ国立図書館における電子コレクションの開発を担当し,カナダ・デジタル・ライブラリ委員会の企画委員会に参画している。カナダ国立図書館の収集整理サービスにおけるウェブ事業の管理運営担当者である。国際標準化機構(ISO)第46技術委員会第9小委員会の事務局長でもある。

 ジャンツ氏はアレクサンダー図書館において,紙と電子形態の両方のデータを提供する業務に携わっており,また,利用者がデータを利用し処理するためのラボラトリと専門的なツールを備えた社会科学データセンターの設立を担当している。

 3月10日にはセンターにおいて,学術情報システム構想,NACSIS-CAT,NACSIS-ELS,全文データベースなど学術情報センター・サービスの最新状況について紹介した。

 3月11日には軽井沢の国際高等セミナーハウスで開催されたInternational Seminar on Enforcement of Electronic Library Function in University Librariesにおいて講演した。

 3月12日には国際基督教大学図書館視察に引き続き,主に同館職員および私立大学図書館員約20名を対象に講演した。

 3月13日午前には国立国会図書館を見学し,午後には学術情報センターにおいて当科学研究費活動として一般公開の報告会を開催し,約40名の出席者を得た。講演者・演題は次のとおりである。

 Mr. Ronald C. Jantz

“Digital Libraries: Special Projects in the Scholarly Communication Center - Social Sciences Data Center and the Changing Role of Librarians”

 Ms Jane Thacker

“The National Library of Canada and electronic documents: some Canadian issues and initiatives”

 3月16日には京都大学附属図書館講堂において平成9年度近畿地区国公立図書館協議会の一環として開催された講演会において講演し,約50名の聴衆を得た。東京・京都で講演した論文については英文・和文が聴衆に提供されている。講演記録は1998年3月刊行の当科学研究費プロジェクトの最終報告に収録され,大学図書館に配布される。

 今回の招へいにおいては,国立国会図書館,国際基督教大学図書館,京都大学図書館の強力な支援を得たことを記して感謝申し上げる。


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