三重県立図書館におけるILL利用

三重県立図書館情報サービス課

野村 太香

 三重県立図書館では,平成6年10月の新館オープン以来,ILLシステムによる業務を開始した。

 文献複写や貸借の依頼のために来館する利用者の年齢層は幅広く,求められる資料も多様で,専門性の高いものも多い。

 最近では,インターネット上から他県の公共図書館などの所蔵検索が可能であること,パイロット電子図書館総合目録ネットワーク(IPA)に接続できることから,特に和文資料については,その入手が容易になった。しかしながら,利用者の求める文献の中には公共図書館では入手の困難なものも多く,これらの資料については,国立国会図書館や大学図書館に頼らざるを得ない。

 従って,当館の業務にILLシステムはなくてはならぬものであり,また,平成8年4月に国立国会図書館への依頼機能が加えられたことから,ますます必要性が増した。

 特に欧文資料に関しては,複写・貸借依頼業務のほぼすべてをILLシステムに頼っている状態である。複写依頼についてその傾向が顕著で,平成9年度では,29件の依頼のうち,24件までが欧文資料である。以下に平成9年12月までのレコード件数を示す。

 ところで,システムを利用しての業務が増加するにつれ,利用時間が平日に限られることに不便を感じることが多くなった。当館では土・日曜・祝日開館し,平日休館する。公共図書館であれば当然の開館日も,そのために土・日・祝日来館者分の依頼業務は平日を待たねばならず,受付業務の回答にも数日を要することがある。このように迅速に対応できないことが今一番の悩みである。

 大学図書館が一般の利用者に対してどの程度門戸開放しているか,公共図書館ではなかなか情報が伝わってこないが,利用者に対する資料提供の可能性が広がり,館種を越えたネットワークに参加できる機会に恵まれたことに感謝している。

 今後はもっと利用しやすいサービス時間を検討していただけることを希望している。

レコード統計 平成6年度 平成7年度 平成8年度 平成9年度
複写依頼 33(11) 46(16) 51(31) 29(24)
複写受付 0(0) 0(0) 12(2) 12(0)
貸借依頼 8(7) 14(6) 50(13) 25(5)

平成6年度−平成6年10月から平成7年3月まで 

平成9年度−平成9年4月から平成9年12月まで 


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