国立歴史民俗博物館管理部資料課情報処理係長
国立歴史民俗博物館は,わが国最初の国立の歴史博物館で,昭和56年(1981年)4月に大学共同利用機関の一つとして設置された。歴史学・考古学・民俗学などの諸分野の協力によって,総合的にわが国の歴史および文化に関して調査研究を行い,その成果を情報提供や展示を通じて,広く国内外に紹介することを目的としている。
当館に情報システムが導入されたのは,昭和57年(1982年)のことであった。その後,情報技術の発達や時代のニーズに対応し,定期的にシステム環境の整備を行い,現在はメインフレームとワークステーションによるハイブリッドな構成となっている。ネットワークの対外接続は,昭和63年(1988年)に大学間コンピュータネットワークへ,平成6年(1994年)にSINETへ接続を開始している。現在は,第4期情報システム4か年計画(平成8年度〜11年度)が進行中で,研究者向けのデータベース,特に画像データベースの公開,WWWに代表される情報提供サービス,研究活動の支援や事務処理の支援などを推進中である。研究者向けのデータベースには現在のところ,オンライン検索データベースが9件,来館利用のみの記録類全文データベースが5件ある。
データベース れきはく |
データベース 記録類全文 | |||
データベース名 |
収録件数 |
データベース名 |
収録件数 |
データベース名 |
民俗誌 | 5,203件 |
荘園関係文献目録 | 4,611件 |
玉葉 |
旧高旧領取調帳 | 97,359件 |
陶磁器出土遺跡 | 7,992件 |
吾妻鏡 |
歴博図書目録 | 134,000件 |
土偶 | 10,641件 |
左経記 |
東大寺文書目録 | 11,203件 |
館蔵資料 | 112,946件 |
天文日記 |
日本荘園 | 8,975件 |
兼顕卿記 |
図書システムは昭和57年(1982年)から稼動し,昭和63年(1988年)からNACSIS-CATを利用して図書の目録情報を入力している。入力したデータは週に1回OPACに格納し,館内から検索できるようになっているほか,平成3年(1991年)から電話回線と大学間コンピュータネットワークを介して,さらに平成8年(1996年)からはインターネットを介して検索サービスを行っている。また,平成4年(1992年)からNACSIS-ILLを利用している。また,一般の人々に対する広報普及活動の一つとして「れきはくホームページ」(URL http://www.rekihaku.ac.jp/)を開設し,SINETを介して年間60万アクセスと好評を博している.
研究用として始まった当館の情報システムは,研究支援はもとより,広報普及や事務支援など,その役割を拡大しつつある。現在は,れきはくデータベースに画像を付加することや,インターフェイスの改良などに取り組んでいる。今後は,現在次期システムの計画の策定中であるが,博物館としての豊富な資料の情報公開やネットワーク技術を利用した広報普及・展示支援などの推進が課題であり,学術情報センターで進めている電子図書館サービスによる情報公開支援や,SINETの対外接続の充実に期待している。また,データベースれきはくの位置情報を日本地図上に投影して検索・解析を行う「地図利用システム」を開発しており,今後はさらに「時間軸」をも加えて,データベースれきはくと「時間軸」,「空間軸」の有機的な統合化が課題である。