海外における日本情報の需要と供給に関する研究

―Mrs. SUN Beixin,Dr. PARK Ke Hong招へい―

 平成7年より3年計画で実施している科学研究費国際共同研究「海外における日本情報の需要と供給に関する研究」(研究代表者:井上如副所長)では,平成9年9月8日より13日にかけて,Mrs. SUN Beixin(孫梛モ先生:中国国家図書館副館長・教授・研究図書館員)およびDr. PARK Ke Hong(朴啓弘教授:前韓国図書館協会会長;韓国東園工業専門学校教授)を招へいして,中国・韓国における日本情報に関する状況について意見交換した。お二方ともこれまで,学術情報センターに限らず,日本からの訪問者の多くを受け入れられてこられたので,日本でも9月9日にはセンターにおいて,学術情報システム構想,学術情報センター・サービスの最新状況などについて紹介の後,猪瀬博所長と懇談した。

 9月12日午前には国立国会図書館を訪問し,緒方信一郎館長と懇談した。国立国会図書館は中国国家図書館との定期交流に加えて,韓国国立中央図書館との定期交流を開始するとのことで熱心に情報が交換された。また国立国会図書館電子図書館システムの最新状況を視察した際には強い興味が示された。

 9月12日午後には国立教育会館(千代田区霞が関)において一般公開の報告会を開催し,約60名の出席者を得た。講演者・演題は下記の通りである。

孫 倍欣先生 “Development of Networking Resources in China”(中国におけるネットワーク情報資源の開発)

宮澤 彰教授(学術情報センター教授)「多言語目録(中国語)─課題と将来」(“Multi-lingual Catalog(Chinese):Tasks and Future”)

島村 隆夫所長(国立国会図書館図書館研究所)「21世紀に向けての情報基盤整備─国立国会図書館の近況」(“Rebuilding Information-based Library Services for the 21st Century: Current Status of NDL”)

朴 啓弘教授「近代韓国図書館・情報サービスの発展」(“Modern Development of Korean Library and Information Services”)

 講演では,Mrs. SUN Beixinは中国におけるデータベース開発を中国科学院を例として紹介され,中国で多岐にわたるデータベース開発が進行中であることを報じられ,この分野における技術交流の必要性を指摘された。

 Dr. PARK Ke Hongは長らく韓国図書館協会の活動に携わられ,韓国における図書館学校の設置,図書館法の成立などの状況について活き活きとした日本語で論じられた。

 島村図書館研究所長は国立国会図書館におけるシステムおよびデータベース開発状況について報じられた。

 宮澤教授は現在,当センターが進めているNACSIS-CATにおける中国語処理の開発状況と問題点について,きわめて基本的な要因を挙げて,論じられた。


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