農林水産省農業研究センターにおけるILL利用

農林水産省農業研究センター情報資料課管理係長

中 尾 美佐子

 農業研究センターの役割は,当センターの要覧によると第1に水田や畑の生産力を発展させ,安全で高品質の食料を安定的に供給する技術を開発することである。第2に農業を担う人を支え,美しく豊かな農村づくりに役立つ技術と方法を研究することである。これらの役割を果たすために,農業に関する専門試験研究機関などの専門的知識を活用しつつ,総合的な試験研究を推進すべく昭和56年12月筑波研究学園都市の一画に設立された。

 情報資料課では,研究活動に貢献するべく人手と予算の制約があるなかで,多岐に渡る文献収集および各種サービスを日々迅速に行っている。図書館業務担当は,6名(司書専門官1,管理係2,非常勤職員3)で2ヶ所(自然科学系および社会科学系)の図書室を運営している。共通図書購入費は約2,500万円,研究職職員約200名である。ILL利用件数など業務対応件数を簡単に示す。

(1)複写依頼件数
1996年度 1997年4月〜10月
ILL(複写申込) 138件(8.7%) 212件(24.9%)
他の外部機関 147件(9.2%) 90件(10.6%)
農林水産省内 1,308件(82.1%) 550件(64.6%)
1,593件 852件
ILL(貸出) 3件 4件

(2)主なサービス件数(平成8年度,数字は概数)

 ・単行書受入 1,800冊(蔵書数6万1千冊) ・コンテンツサービス 70誌

 ・資料類受入  500冊(蔵書数6万3千冊) ・情報検索(代行)  54件

 ・雑誌受入  2,400種

 ・貸出    3,700冊 農林水産省内相互貸出 44件

 ・複写(提供 1,493件(省内1,167件,省外326件)

 ・複写(依頼 1,593件(省内1,308件,省外285件)

 ILLは,モデム接続により利用してきたが,本年1月にネットワーク接続に移行し日常的に利用している。昨年度の一次文献入手はILLが10%に満たないが,今年度は既に200件を超え,25%近い論文を入手している。今年度中にはBLDSCへの申込も予定しており,今後はより重要な情報の入手ツールとなる。また,件数にあらわれない利用として,1つは図書館職員の書誌確認のための利用があり,曖昧な問い合わせに対して充実したデータ量が威力を発揮する。2つめはWebcatでの提供による利用者の直接検索がある。文献の所在,購入希望図書の確認などに使われる。

 ILLを利用し国立大学機関から文献を入手するたびに,その速さと安さに感謝しているが相互利用が望ましいことはいうまでもなく,国立機関である当センターが安い料金にて提供できる道をさぐりたいと考える。

 最後に,ILLが混雑する時間帯があるため,さらなる機能向上を期待するとともに,電子図書館サービスなどの新しいサービスに対しても,いままでどおり省庁の壁を超えて広く提供願えるよう希望する。


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