目録情報の基準 第5版 (案)

このマニュアルは、CAT2020に対応した『目録情報の基準 第5版』の案である。現行の業務に、このマニュアルを適用してはならない。


[目次]
[前ページ] 4.1 図書書誌データの構成と記述規則
[次ページ] 4.3 記述対象のデータ上での表現方法

4.2 記述対象のとらえ方

4.2.1 物理単位と書誌単位

 記述の単位は,次の3種類としてとらえられる。

1.出版物理単位
個々の資料の単位,すなわち,破損しない限り一まとまりのものを物理単位と呼ぶ。ある図書館の資料と別の図書館の資料,それぞれの資料の複本等は,全て別の物理単位である。各参加組織のシステム,特に閲覧,貸出等のサブシステムにおいては,物理単位で管理されるが,総合目録データベースでは,物理単位の集まりを「複本」としてグループ化して管理する。このグループ化したものを出版物理単位という。
2.単行書誌単位
形態的に独立した単行資料で,それ自身の固有のタイトル,著者,巻冊次,版等によって書誌的に他と区別できる資料に対応する書誌的記録を単行書誌単位という。
単行書誌単位には,次のものが該当し,物理的に1冊の単行資料の場合,書誌単位は出版物理単位と一致する。
3.集合書誌単位
物理的に複数の資料からなり,個々の資料が1と同様の観点から書誌的に他と区別でき,同時に,全体としても共通のタイトル,著者等によって書誌的に他と区別できる場合に,この全体に対応する書誌的記録を集合書誌単位という。また,個々の資料は単行書誌単位に相当する。
集合書誌単位には,次のものが該当する。 集合書誌単位は,多段階の階層構造をとることがある。
複数の単行書誌単位,又は集合書誌単位が共通のタイトル等によってさらにまとめられる場合,そのまとまりは,上位の集合書誌単位という。

解説(書誌構造)

 単行書誌単位又は出版物理単位と集合書誌単位によって形成される階層関係を書誌構造という。階層関係は,1階2階というような絶対的なものでなく,ある書誌単位は他の書誌単位にとって上位の単位であるが別の書誌単位にとっては下位の単位となりうる,という意味で相対的である。この点を強調するため,本基準では,書誌構造という表現を用いている。階層関係は,多段階となることがあり,階層の上下関係の観点から,上位の書誌単位を親書誌単位(集合書誌単位),下位の書誌単位を子書誌単位(単行書誌単位又は出版物理単位)と呼ぶ。また,最上位と最下位の中間に位置する書誌単位を,中位の書誌単位と呼ぶ。

4.2.2 図書書誌データの作成単位

 図書書誌データの作成単位は,以下の基準による。

解説(書誌作成単位)

第5版適用以降は書誌作成単位を単行書誌単位ではなく出版物理単位とする。すなわち,固有のタイトル,著者,巻冊次,版,資料種別,書誌構造等によって書誌的に他と区別できる単行書誌単位であり,単行書誌単位が複数の出版物理単位により構成されている場合は,出版物理単位毎に作成する。(例1)

第5版適用以前に作成された図書書誌データには,複数のVOLフィールドで複数の出版物理単位を表現しているデータがあるが,ここに新たにVOLフィールドを追加してはならない。

なお,第5版適用以前に作成された既存のデータに関して,単行書誌単位の書誌データを出版物理単位毎に分割した書誌データをし,新規に書誌データを作成してもよい。

したがって,上と下を一つの書誌単位とする次の(例2)は誤りである。

 第5版適用以前は,書誌作成単位を単行書誌単位としていたため,この時期に作成された書誌は(例2)のようになっている。しかし,第5版適用以降は,(例1)のようにVOLに異なる巻次等をもつそれぞれのデータを作成する。

 また,参照データセット(USMARC等)においては,上位の書誌単位で一つのデータにまとめられていることがある。(例3)

 この場合は,出版物理単位と集合書誌単位のデータを作成しリンク形成する方法と,親書誌データを作成せず,PTBLにシリーズのデータ要素を記入する方法が可能である。(例4)はリンク形成した場合であり,リンク形成しない場合にはリンク先データIDは記入されない。

 (例1)のように上・下であっても,(例5)のように各巻がそれぞれの固有のタイトルも持っている場合,上・下は親書誌に対する番号等としてとらえる。

 固有のタイトルは,目録規則に規定されたタイトルの情報源からとる。したがって,標題紙等には一つのタイトルと上しか表示されていない場合は,たとえ目次に上巻のタイトルに該当する情報が表示されていても,それを上巻の固有のタイトルとしてはならない。

 また,固有のタイトルでない上や下が集まっても固有のタイトルにはならない。(例6)のVOLに記録されたデータは固有のタイトルではない。

解説(固有のタイトルでないもの)

 何が固有のタイトルであるかを示すことは,容易ではない。そこで,ここでは,その名称をもって書誌単位とすることができないもの,すなわち「固有のタイトルでないもの」の範囲を示すことにする。

 固有のタイトルでないものとは,分冊刊行されたものの出版物理単位(又は下位レベルの書誌単位)に対して与えられた名称である。

 各分冊を区別するために与えられた名称には,順序付けのためのものと,それ以外のものとがある。

 本基準では,前者を「巻次等」,後者を「部編名」と呼ぶ。

 「巻次等」の種別は,(第1表)に示すとおりである。

(第1表)
種別具体例
A数字1⇔2⇔3...(1)⇔(2)⇔(3)...
一⇔二⇔三...  i⇔ii⇔iii...
Bかなあ⇔い⇔う...   い⇔ろ⇔は...
ア⇔イ⇔ウ... ア~カサ⇔カシ~コメ...
CアルファベットA⇔B⇔C...
(a)⇔(b)⇔(c)... А⇔Б⇔В...
α⇔β⇔γ...  A~Ca⇔Cb~D...
Dその他の順序付けのための名称甲⇔乙⇔丙⇔丁...  正⇔続⇔完結
別(巻, 冊) 上⇔中⇔下  大⇔中⇔小
天⇔地⇔人  乾⇔坤  前⇔後

 該当する名称の前後に次のような修飾語句が付いたものは,「巻次等」である。

 第,巻,その,内,No.,編,篇,集,輯,冊,分冊,部,号,回,話,次,期,報,信,Lieferung(Lfg.),Part(Pt.),Volume(Vol.,V.),Band(Bd.),Teil(T.),Theil(T.),tome(t.),том(т.),часть(ч.),выпуск(вып.)...

(例)第1巻⇔第2巻⇔第3巻...
Bd.1⇔Bd.2⇔Bd.3

 また,該当する名称の単純な組み合わせは,「巻次等」である。

(例)A-1⇔A-2...    ...第5分冊の3⇔第5分冊の4...
IV-1⇔IV-2...    Ser.1,no.8⇔Ser.1,no.9...

 当初の予定では単行資料であったものが,その後,続編等を出版したために結果として順序付けが行われるようになった場合,順序付けがなされていない出版物理単位については本来「巻次等」は存在しない。この場合,当該出版物理単位には適切な名称を補記し,分冊刊行された別書誌であることを明示する。

(例)[正]⇔続⇔続々...

 順序付けのための名称は,途中で用語法が変わることがある。この場合,全体を通しての順序付けが維持されていれば,用語法の相違にはこだわらない。

(例)上⇔下⇔続⇔続々⇔続々々⇔大尾    1A⇔1B⇔1C⇔1-4⇔1-5...

 「別巻」,「別冊」等は,順序付けの体系の末尾に位置すべき名称として扱う。

(例)第1巻⇔第2巻⇔第3巻⇔別巻        上⇔下⇔別冊

 「部編名」の種別は,(第2表)に示すとおりである。

(第2表)
種別 具体例
E 地域区分
1 地域名等




2 国名・州名等


3 都道府県名・
  市区町村名等

4 家名・藩名等

アジア⇔アフリカ...  太平洋⇔大西洋...
華北⇔華南 北アメリカ⇔中央アメリカ⇔南アメリカ
道北⇔道東⇔道南
Portugal et Espagne⇔Nederland et Danemark

アイスランド⇔アイルランド... テキサス⇔フロリダ...
Iceland⇔Ireland⇔England...

北海道⇔青森県⇔秋田県...  徳島⇔香川⇔愛媛⇔高知
横浜市⇔川崎市⇔小田原市⇔相模原市...

伊達家⇔上杉家...  会津藩⇔薩摩藩...
F 年代的区分
1 時代名




2 年月日及び
  その範囲




3 季節

奈良・平安時代⇔室町・鎌倉時代... 明治⇔大正⇔昭和
戦前⇔戦中⇔戦後 石器時代⇔青銅器時代⇔鉄器時代...
Stone Age ⇔ Bronze Age...
Ancient Ages ⇔ Middle Ages...

1985年度⇔1986年度...
1961-1970⇔1971-1975...
昭和20年現在⇔昭和30年現在
1980年夏季⇔1980年秋季...
To 1334⇔1334-1615...

春⇔夏⇔秋⇔冬  夏期⇔冬期  春~夏⇔秋~冬
Spring⇔Summer...
G その他の区分
1 学校, 教科,
  学年等

2 法律等のセクション番号

ようちえん⇔小学校...  国語⇔算数⇔理科⇔社会...
低学年⇔高学年  中1⇔中2⇔中3⇔高1...

§1~20⇔§21~40...
第1~第10節⇔第11~第30節...
First course⇔...⇔Fifth course⇔Complete course
H 対になって用いられる一般的な名称 総論⇔各論 海外⇔国内 外国⇔内国 欧文⇔和文
洋画⇔日本画 和⇔漢⇔洋 口語⇔文語 人文⇔社会⇔自然
基礎⇔応用 総記⇔哲学⇔歴史⇔社会科学⇔自然科学...
General⇔Particular   International⇔Domestic
Spoken language, Colloquial language⇔Literary language
Human science⇔Social science⇔Natural science
General⇔Philosophy⇔History⇔Social sciences⇔Natural sciences
Pure mathematics⇔Applied mathematics
Theoretical physics⇔Applied physics
I 形式区分を表す名称 詩歌⇔戯曲⇔小説⇔評論⇔日記...

Poetry⇔Drama⇔Fiction...
Tragedy⇔Comedy...
J 付録であることを示す名称 付録 追補 補遺 追録 付図 図版 図表 年表 解説 資料 索引
Supplement, annexe, Appendix, Index, Erganzungsheft
K 付録ではないことを強調する名称 本文 本体

Text,  texte

 該当する名称の前後に次のような修飾語句が付いたものは,「部編名」である。

 編,篇,巻,(の)部...

(例)邦楽の部⇔洋楽の部    巻・春~夏⇔巻・秋~冬

 また,該当する名称の単純な組み合わせは,「部編名」である。

(例)品川区・大田区⇔目黒区・世田谷区...    本文⇔解説・資料⇔索引

 上記E~Kに該当しなくても,「編」「篇」「巻」「(の)部」等の語句を有し,明らかに,部編名として機能している名称は,「部編名」として扱う。

(例)データベース編⇔検索編⇔登録編

 対になって用いられるかどうか判断に迷う場合,タイトルを補完的に説明したり,限定するものとしてタイトル関連情報として扱うことも可能である。

解説(巻次等及び部編名の記録)

 巻次等及び部編名については,以下のとおり記録する。

 名称が「巻次等」と「部編名」のいずれであるか不明の場合は,当該名称を「部編名」として扱う。

 なお,名称が「巻次等」であるか否か,「部編名」であるか否かが不明の場合,すなわち,名称が固有のタイトルでないものであるか否かが不明の場合は,当該名称を固有のタイトルであるとみなす。


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