研究背景・目的
デジタルテレビ放送やビデオオンデマンドサービスなどに加え、Web上においても映像メディアの存在感は増しており、大量の映像メディアから必要な情報を効率よく検索する技術、その中から読み取れる社会動向などの情報を発見する技術等への期待が高まっています。映像メディア情報を適切に扱うためには、その内容情報を適切に扱いうる技術が必要不可欠です。主としてテキストを中心としたWeb等の大規模情報に対する検索やマイニングなどの技術やサービスは、世界的にすでに一部の大企業による寡占場外となっている一方、画像・映像メディア情報はまだフロンティアであり、私たちの研究グループでは、ベンチマーク用の単純なメディア情報ではなく、実際の利用価値の高い映像メディア情報を対象とし、応用範囲の広い実際に使える技術の研究・開発を進めています。
研究内容
私たちの研究グループでは、こうした要求に応えるため、実際の放送映像を対象とし、実現要求の高い具体的なタスクに対応した研究テーマについて検討を行っています。具体的には、10年以上にわたるテレビニュースアーカイブと東京地区の地上波テレビアーカイブを構築して研究に利用しています。また、以下のような技術について検討を行っています。
映像意味分類
与えられた映像にうつっている事物、シーン種別等に応じて識別、映像に対する自動タグづけ
映像中の顔の検出・追跡・照合
顔による検索、顔画像の自動名前推定、有名人の顔検出器の自動学習等
映像中の物体の検出・検索
特定物体の事例画像を問い合わせとした、画像・映像検索
コマーシャル映像高速マイニング
大量の放送映像中からすべてのコマーシャル映像を極めて高速に検出・分類
産業応用の可能性
- ストリートファッション画像による衣服カタログの検索
- コマーシャル映像マイニングによるマーケティング戦略解析
- 特定人物の放送映像中の露出時間解析
- 放送映像アーカイブによる社会情勢の解析
研究者の発明
- 特願2011-235333(共願):画像検索装置、方法、及びプログラム
- 特願2011-149428:画像照合装置、画像照合方法及びコンピュータプログラム ほか
連絡先
佐藤 真一[コンテンツ科学研究系 教授]
http://researchmap.jp/satoh/
satoh[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください