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活動状況[ イベント参加報告 ]
Society for Integrative and Comparative Biologyの年次大会に参加して

喜田 みゆき(きた みゆき/粉体工学会)

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「Effective Journals Marketing」と題した今回のSPARC Japan主催「ALPSPトレーニングコース」は、従来の同コースを日本の現状に合わせて、さらに本来なら高額な参加費を無料にして用意されたもので、講師にはThe Association of Learned and Professional Society Publishers(ALPSP)、Chief Operating OfficerのNick Evans氏、そしてジャーナル出版コンサルタント(TBI Communications Ltd.)のMelinda Kenneway氏が招かれ、講師補助の的場美希氏(Oxford Univ. Press)に通訳をお願いしながら学術誌の販売戦略について議論する参加型トレーニングでした。

このコーススタイルを最大限活用できるよう、参加者には事前に“宿題”が渡されました。実際には参加理由などを記入する質問表とBackground notes for attendeesでしたが、Background notesはまさに予習そのもので、自身の考えを整理する助けとなりました。また「シャイにならず、各々の経験・意見をシェアして “collective intelligence ”を生み出せるかどうかがコース成否のカギ」とも記されており、まさに参加型ならではの予習でした。

午前の部は、全員の自己紹介と参加理由を述べることから始まりました。私は(予習どおり)「販売と交渉のプロである出版社と学会事務局が対等な関係を築くには、彼らに負けないマーケティング知識が必要だから」と答えました。これは、私が担当している雑誌の出版社移籍交渉の過程で痛感したことでしたが、Evans氏はきっと学べることがたくさんあるだろうと笑顔で返して下さいました。

最初にKenneway氏が市場の変遷について豊富な資料を用いて解説されました。今や図書館だけが学術誌の購読先ではなくなり、著者は自分なりの方法で(もはや学術誌ではなく)特定の論文、さらには論文の一部分を探し出し、自らのニーズに合わせて投稿誌をシビアに選定している現実が浮き彫りとなりました。「著者」=「顧客」という独特の構造をもつ学術誌市場では、著者のマーケティングなしには、販売戦略はおろか、編集方針すら立てられないかもしれない、そんな危機感を覚えるものでした。これを踏まえ、市場の変化が著者、図書館、出版社や学協会にもたらす影響を4つのグループに分かれて議論しました。多くの参加者が直面している問題であり、切実な意見が相次いだ一方、講師陣は過去の例や最新情報に照らし合わせて参加者の意見を丁寧に分析し、顧客の視点で考えた戦略を現状に落とし込む創意と工夫が必要、と指摘下さいました。さらに焦点をエンドユーザーの動向に絞り込み、「新刊発行にあたってのエンドユーザー向けの戦略」というケーススタディで意見を重ねました。Relationship marketing、Viral marketingなど、学んだばかりの手法も盛り込んで、どのグループもユニークな戦略を打ち立て、講師陣、参加者ともに手ごたえを感じたところで、午前の部が終了しました。

休憩、ALPSP説明会に続き、午後の部では、図書館を取り巻く厳しい現実についてKenneway氏から解説いただいた後、Big dealの影響も含めた多様なケーススタディを用いて、図書館の販売戦略について徹底的に議論を尽くしました。そして新規・既存顧客の両方を対象としたギャップ分析や市場細分化を行い、中・長期的かつタイムリーな顧客との “対話” を強化し、そして顧客、図書館、エンドユーザーに向けた戦略を統合させて新たな利益を相乗的に生み出す、という方向性を参加者全員で見出しました。参加者の半数は図書館関係者ではなかったものの、講師陣の的確な解説と的場氏の機敏な通訳に支えられ、各々の立場を超えて図書館の意義や機能を再認識し、学術誌の行く先を主体的に思索した結果、見事な “collective intelligence” を生み出したと感じました。コーヒーブレイクを挟みつつ3時間に及んだ午後の部終了間際、Kenneway氏に「明日オフィスに戻ったら何をしますか?」と最後の宿題を投げかけられましたが、全員堂々と回答できたことは言うまでもありません。

全コース終了後、参加者間の積極的な交流はもちろん、疲れも見せずに質問に応え続ける講師陣の姿に、単なる知識以上のものを学んだ充実感で一杯になりました。「学術誌に宣伝は不要」、そんなおごりを払拭し、effectiveに顧客に切り込む姿勢と必要性を実感できた大変有意義なコースでした。


space 根岸 正光教授(国立情報学研究所) 退職記念講演会

下越 弘子(しもこし ひろこ/日本数学会)

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国際数学者会議

出展期間 2010年8月19日(木)~ 8月27日(金)

SPARC Japanの数学系パートナー誌が International Con­gress of Mathematicians(国際数学者会議)に出展し、4年に一度開かれる数学界最大の国際会議(ICM)において、日本発のジャーナルのプロモーション活動を行ないました。今年の開催地はインドのハイデラバードで、9日間の日程でした。開会式では、「数学界のノーベル賞」と言われるフィールズ賞が発表されたこともあり、3000人を超す参加者で賑わいました。

参加誌は、SPARC選定誌8誌、Tohoku Mathematical JournalKodai Mathematical JournalNagoya Math­ematical JournalProceedings of the Japan Academy, Series A: Math­ematical SciencesOsaka Journal of MathematicsHiroshima Mathematical JournalJournal of the Math­ematical Society of JapanPublications of the Research Institute for Mathematical Sciencesに加えて、Journal of Mathemat­ical SciencesKyoto Journal of MathematicsTokyo Journal of Mathematicsが参加しました。

100冊を越すジャーナルの見本誌と、数種類のカタログ、ポスターなどを展示し賑やかなブースになりました。その他に東工大の小島定吉教授が考案した「ペンタゴン」と名づけられた数学のオブジェも展示したため注目を浴び、特に初日、2日目は何重にも人垣ができました。ノベルティグッズのひとつとして頒布したエコバックと団扇の評判もよく、かなりの盛況振りでした。展示したジャーナルや日本への関心は高く、日本で研究活動をしたいがどうしたらよいかという質問もずいぶん受けました。

また、大会期間中、ロンドン数学会、フランス数学会、韓国数学会などの様々なレセプションに参加し情報交換や交流を深めることができ、ジャーナルのプロモーションのみならず、収穫の多い9日間でした。


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日程 開催場所 内容
2010年
12月10日(金) 東京大学
鉄門記念講堂
シンポジウム「大学からの研究成果オープンアクセス化方針を考える」
共催:国立大学図書館協会
2011年
1月14日(金) 国立情報学研究所 第7 回 SPARC Japanセミナー2010 「著者IDの動向」

※ SPARC Japanのサイトで最新のイベント情報を確認できます。(http://www.nii.ac.jp/sparc/event/