研究シーズ2021情報基礎科学

モノを望み通りに動かす技術を支える数理ネットワークを介した制御の課題解決めざす

岸田 昌子情報学プリンシプル研究系 准教授

研究分野制御理論/数理最適化/不確かさの解析

私たちの生活は電力ネットワーク、安全運転支援システムなど、さまざまな制御システムに支えられています。ネットワークを介するシステムを効率よく安全に制御するため、数理モデルと数理最適化を用いて多様な角度から検討を行っています。

研究背景・目的

モノを望み通りに動かす技術を制御と言います。つまり制御とは、動的システムの出力が望み通りになるように、計測データを用いて入力を適切に調整する技術のことです。この制御技術の基盤となるのが、数理最適化、線形代数、微分方程式、確率論、グラフ理論などの数学をベースとする制御理論です。現代の私たちの生活は、電力ネットワーク、安全運転支援システムやモノのインターネットなど、さまざまな制御システムに支えられています。こうした大規模で複雑なシステムは、多数の機器をネットワークでつないで情報を集め、制御されています(図)。私は、上記のようなネットワークを介するシステムを効率よく安全に制御するための理論を中心として研究を行っています。

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図)ネットワークを介した制御システムと対処すべき課題

研究内容

ネットワークを介した制御では、初期コストや管理コストが削減され、システム構成の自由度が上がります。このおかげで、大規模で複雑な動的システムの制御が可能になります。一方で、特有の課題もあります。例えば、動的システムを制御するために必要な、通信や計算、電力といったリソースに制限があります。重要な計測データや制御信号を失う可能性のあるパケット損失も問題です。サイバー攻撃に対するセキュリティの問題やプライバシーの問題も考えなければいけません。さらに、ネットワークが大きくなれば、予期しない故障やノイズの影響も大きくなります。こうした課題を解決するために、数理モデルと数理最適化を用いて、いろいろな角度から検討します。

産業応用の可能性

ネットワークを介した遠隔制御技術は、工場内の故障の早期発見やメンテナンス、災害現場や宇宙空間などの危険な場所でのロボットによる作業などに役立てられます。また、ネットワーク内で時々刻々と変化する需要と供給のデータを収集・把握し、システムを安定に制御する技術は、電力や交通などの社会インフラの運用に欠かせません。さらに、自動運転車に代表される物理情報システム(サイバーフィジカルシステム、CPS)は、物理世界と情報世界をネットワークでつないで制御するもので、ネットワークを介した制御が使われています。

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