研究シーズ2018情報メディア科学

多視点と多焦点の相互変換に基づく柔軟な3次元画像処理

児玉 和也コンテンツ科学研究系 准教授

研究分野3次元画像処理/焦点ぼけ画像処理/光線情報処理

研究背景・目的

画像の撮影、蓄積、処理、伝送、表示技術は成熟し、私たちを取り巻いています。実際、3次元テレビやNintendo 3DSのように、映像メディアに「立体感」を付与する「3次元画像」の取り組みも実用化の段階を迎えました。一方、「立体感」を含みつつも、はるかに大きな枠組みである「臨場感」の実現を目指し、本来の「3次元」空間そのものを再現する映像メディアが構想されはじめています。すなわち、従来のように「像」を再現するのではなく、それを発生させる「光線」自体の再現を扱う新しい3次元画像処理「光線情報処理」が研究の対象となっています。

研究内容

3次元空間中を飛び交う光線そのものを取得、再現すれば、対象をさまざまな方向から同時に複数人で観察することはもちろん、視覚的障害物を隠蔽、回避すること等も可能です。「臨場感」を必要とするイベント会場やデジタルサイネージ上に、より高度な視覚環境を提供する、柔軟な映像メディアが構築されるのです。

空間中を飛び交う光線を効率的に記述、処理するための基本技術として、複数の視点から撮影した「多視点画像群」と、複数の焦点合わせで撮影した「多焦点画像群」の関係を導出し、これらの相互変換に基づく光線群の分解、再構成を提案しています(図1)。

18-kodama-image1.jpg

図1 多視点と多焦点の相互変換

産業応用の可能性

当該の基本技術についてはすでに特許も取得し、現在はいくつかの発展的研究に取り組んでいます。例えば、光線情報と等価である多視点画像群は膨大な冗長性を含んでおり、その高能率圧縮にはより次元の低い多焦点画像群への変換が極めて効果的であることが明らかになりました。また、単にその冗長性を削減するのではなく、いったん多焦点画像群を介し集約することで、取得光線情報上の雑音や欠損部分等の劣化を安定に復元する手法も示されています。他方で、逆向きの変換により、レンズの集光の解析に基づく視点、焦点合わせ、ボケ味の変更といった、対象の3次元分布を反映した仮想的なコンテンツ操作も実現しました(図2)。

18-kodama-image2.jpg

図2 顕微鏡画像群に対する仮想的な視点や焦点の操作

研究者の発明

連絡先

児玉 和也[コンテンツ科学研究系 准教授]
kazuya[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

Recommend

さらにみる