研究シーズ2018情報メディア科学

放送映像アーカイブに蓄積されている映像ビッグデータからの知識発見

片山 紀生コンテンツ科学研究系 准教授

研究分野マルチメディアアナリティクス/ビデオマイニング/データベースシステム

研究背景・目的

近年の計算機技術の進展により、大量の映像を蓄積する大規模映像アーカイブの構築が可能になっています。NIIでも、「NII TV-RECS」と呼ばれる学術研究目的のテレビ放送アーカイブを構築しており、映像解析や映像検索など映像処理技術研究の実験データとして、また、放送内容の時間的推移などテレビ放送に関する社会学的分析の一次資料として使用されています。一方、大量の映像を処理・解析することは、最新の計算機技術をもってしても容易なことではありません。そこで、映像ビッグデータからの知識発見を効率的に行うための技術について、基礎的な映像処理からユーザーインターフェースまでさまざまな手法について研究しています。

研究内容

取り組んでいる研究課題の一つに、放送映像アーカイブに蓄積されているニュース映像から主要なニュースショットを抽出し一覧表示する技術があります。放送映像アーカイブには大量のニュース映像が蓄積されていますが、どのような内容が放送されたのか、全体像を把握するのは容易ではありません。そのため、それらの重要さを自動的に評価し、ランキングする仕組みが必要になります。ニュース映像の重要さは、内容解析手法によって評価することも考えられますが、この技術では情報フィルタリングによるアプローチをとっています。「視覚的に有用なニュース映像は、複数のチャンネルで共通して現れやすい」という前提に基づき、複数チャンネルに共通して現れる、同一またはほぼ同一なニュース映像を映像照合技術によって検出し、それらの出現チャンネル数によって視覚的有用性を評価しています。そして、それらの一覧表示方法として、出現チャンネル数が多いものほど大きく表示するタグクラウド型の表示方式を提案しています(図)。

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図)放送映像アーカイブからの主要なニュースショットの抽出

産業応用の可能性

社会に映像があふれる時代になり、大量の映像を扱うための技術は以前にも増して重要になっています。産業応用としては、例えば、以下のものが考えられます。

  • 放送映像アーカイブシステムにおけるニュース映像検索のためのユーザーインターフェース
  • 与えられたニューストピックに対して視覚的有用性が高い映像を選び出す映像発見システム
  • 長期間にわたって蓄積された大量のニュース映像に対する自動ランキングシステム

研究者の発明

  • 特開2012-142784:類似映像フレーム抽出方法、及び類似映像フレーム表示方法、そのような方法を用いる類似映像フレーム抽出装置、及び類似映像フレーム抽出プログラム
連絡先

片山 紀生[コンテンツ科学研究系 准教授]
katayama[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

関連リンク

片山 紀生 - コンテンツ科学研究系 - 研究者紹介

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