研究シーズ2014ソフトウェア科学

要求・仕様のモデル化とその保証および変化への対応のための技術

石川 冬樹コンテンツ科学研究系 准教授

研究分野要求・仕様/法や外部環境の変化/モデル検証・変換

研究背景・目的

ソフトウェアシステムがビジネスや実世界の活動により深く踏み込むようになり、その要求・仕様の「適切さ」に影響する外部要因はますます増えています。具体的には、情報管理に関する法律や規約、連携Webサービスが提供する機能や品質の取り決め、実世界の機器や人の振る舞いの想定などが挙げられます。一方、開発現場の要求・仕様の工程においても、属人性を低減し手戻りを防ぐため、要求・仕様を扱うモデル化や、それに基づく保証が注目されています。ここで保証としては、構築したモデルが性質を満たすことの検証のほか、与えられた基準を満たすようモデルを最適化・生成することも含まれます。これらの技術の活用のために、特定の問題領域に踏み込み解決手段の具体化を行うとともに、上記のような外部要因の考慮やその変化への対応など、さらに先進的な技術を追求しています。

研究内容

研究内容の例として、ビジネスプロセスやWebサービス・実世界サービス連携の分野における取り組みを紹介します。これらの分野では、様々なソフトウェアサービスや機器制御、人の活動を統合して構成されるシステムを想定しています。この際、人や、外部提供者による様々なサービス・機器における様々な状況変化や失敗の可能性を踏まえ、要求が満たされることを保証する必要があります。この課題に対し、(1)似たサービスの機能や品質の差異、(2)様々な人、機器、資源の相互作用における空間的・時間的な競合、(3)判例などによる最新の法解釈など、ソフトウェア外の要素も含め問題に合致したモデル化言語やフレームワークを提供しています。これらは例えばBPMNなど標準の仕組みと組み合わせて活用するものとなっており、それぞれ、(1)サービス障害などに対応する適応的な振る舞いを含む設計とサービスやクラウドの選択・配備計画の生成、(2)担当者や資源の割り当てを含めた設計の検証や最適化、(3)コンプライアンス分析と法や解釈変更時の影響分析などの支援に用いることができます。

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産業応用の可能性

  • 複数Webサービスやクラウドの統合におけるSLA遵守・最適化
  • 状況依存・自己適応の振る舞いの織り込み
  • 法や規約およびその解釈をモデル化、変更追跡してのコンプライアンス分析
  • 形式仕様記述や要求分析手法の現場での活用に向けたドメイン特化による軽量化や具体化

研究者の発明

  • 特許第4392503号:アクティブコンテンツ流通システム及びアクティブコンテンツ流通プログラム
連絡先

石川 冬樹[コンテンツ科学研究系 准教授]
http://research.nii.ac.jp/~f-ishikawa/

関連リンク

石川 冬樹 - アーキテクチャ科学研究系 - 研究者紹介

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