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ニュースリリース
NII RDC新機能を全国の大学・研究機関等へ提供開始
~研究成果の公開促進と、即時オープンアクセス支援業務の効率化~
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:黒橋 禎夫 東京都千代田区)は、日本における研究成果の共有・公開を推進するため、大学・研究機関等における論文のオープンアクセスおよび研究データのオープン化・共有を支援する機能を開発しました。
本機能は、NIIが提供する研究データ基盤(NII RDC:Research Data Cloud、以下「NII RDC」)と一体化し、2026年3 ⽉18 ⽇(⽔)から、全国の大学・研究機関等向けにNII RDCの新機能として提供を開始しました。
本機能を導入することで、研究の進行中における研究データの管理から、大学・研究機関等が研究成果を保存・公開するオンラインデータベース(機関リポジトリ)を通じた論文およびその根拠データの登録・公開までを、一連の流れとして円滑に行うことが可能となります。
背景
近年、研究成果の共有と再利用性の向上は国際的な重要課題となっており、UNESCOによるオープンサイエンス勧告などにおいても、論文や研究データを誰でもオンライン上で閲覧・利用できるようにするオープンアクセス(以下「OA」)の推進が強く求められています。
NIIが構築するNII RDCは、オープンサイエンスと研究公正を支え、データ駆動型研究を推進する我が国の中核的な研究データ基盤です。研究データのライフサイクルに即した3つの基盤、管理基盤「GakuNin RDM」、公開基盤「JAIRO Cloud」(機関リポジトリ)、検索基盤「CiNii Research」から構成され、2021年より本格運用しています*1。
我が国においても、大学等におけるOAの加速に向けた体制整備やシステム改革を推進するため、文部科学省は2024年度に「オープンアクセス加速化事業」*2を実施し、予算面からの支援を行いました。NIIは本事業の支援を受け、OAを加速するためのNII RDCの新機能の開発を進め、全国の大学・研究機関等が効率的に即時OAを実現できる環境の整備を進めてきました。
取組の概要
本機能は、「GakuNin RDM」、「JAIRO Cloud」および「CiNii Research」において、以下の4つの主要機能を提供します。
- 論文および根拠データの即時OA支援機能(研究者向け)
「GakuNin RDM」と「JAIRO Cloud」をシームレスに連携し、研究中は機密管理していたデータのうち、論文の結論を裏付ける根拠データに該当するものを、ワンクリックで機関リポジトリへ転送・公開できます。 さらに、所属機関の承認フローに沿った手続をワークフローとして実装することで、研究者の即時OA対応を総合的に支援します。 - 限定公開機能(研究者等向け)
論文やその根拠データについては、公開前に関係者へ共有が必要となる場合があります。限定した相手のみにアクセスを許可する「シークレットURL」を発行する機能により、例えば、論文査読時に査読者限定で成果物を共有することが可能となります。 - OA化促進支援機能(図書館員等向け)- OA Assist*3
「OA Assist」は、OA化の推進とそれに伴う負担の軽減を目指し、機関リポジトリにおける論文公開作業を支援するシステムです。論文が採択されているにもかかわらず、機関リポジトリ上で本文が未公開となっている状態を自動的に検知し、図書館員へ通知します。図書館員から研究者へ公開依頼を行うことで、機関全体のOA化率向上を支援します。 - OA状況のダッシュボード機能(研究推進担当者等向け)-CiNii Research機関ダッシュボード試用版
NIIが開発・提供する「CiNii Research」に登録されたデータを活用し、機関ごとのOA状況を集計・可視化します。研究推進担当者は、客観的な指標に基づいて自機関のOA状況を把握できます。
これらの機能のうち1〜3については、「GakuNin RDM」および「JAIRO Cloud」に組み込み、サービスのバージョンアップに合わせて3月18日から、全国の大学・研究機関等向けに提供を開始します。また、4については、日本全体のOA状況を把握するJapan Open Access Monitor試験版*4とともに先行して公開しています。
社会的意義・期待される効果
政府方針により、2025年度以降に科研費等の特定の競争的研究費を受けて実施された学術論文及び根拠データについては、原則として論文掲載後、速やかに機関リポジトリ等で公開することが義務化されました。
本機能は、既存のNII RDCと統合されたクラウドサービスとして提供されるため、大学・研究機関等は新たな大規模投資を行うことなく、低コストかつ短期間で即時OAに対応できます*5。
OAの推進により、研究成果の可視性と再利用性が向上し、国内外における研究活動の加速、新たな知の創出、研究開発の効率化が期待されます。国の支援による研究の成果が、専門家だけでなく誰もが無料でアクセスできる形で広く公開されることで、社会全体での知識の共有と活用が進みます。
今後の展開
日本における即時OAの取組は始まったばかりであり、根拠データの公開範囲設定、大学・研究機関等における事務負担、権利処理など、今後検討すべき課題が残されています。
NIIは、本基盤の運用を通じて、共考・共創の理念のもと、関係機関から課題を収集し、継続的な機能改善・サービス提供を進めていきます。
今後も、日本の学術情報基盤の発展に資するため、公開データの形式や規模、ネットワーク環境、セキュリティの在り方などについて、各専門家や開発者、学術コミュニティとも連携しながら検討を進め、環境整備を目指してまいります。
関連リンク
ニュースリリース(PDF版)
NII RDC新機能を全国の大学・研究機関等へ提供開始
~研究成果の公開促進と、即時オープンアクセス支援業務の効率化~

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