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ニュースリリース

Japan Open Science Monitor試験版を公開
〜日本のオープンサイエンスの進捗を可視化する〜

 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 (NIIエヌアイアイ、所長:黒橋くろはし 禎夫さだお、東京都千代田区) のオープンサイエンス基盤研究センター(*1)RCOSアールコス、センター長:谷藤たにふじ 幹子みきこ)は、日本のオープンサイエンスの進捗を可視化する「Japan Open Science Monitor試験版(リンク:https://osm.nii.ac.jp/)」(図1)を2026年(令和8年)3月3日に公開しました。
 近年、オープンサイエンスの進捗を観測・評価することの重要性が高まっています。このサービスでは、フランス高等教育・研究・宇宙省(MESRE)等が開発・運営するオープンサイエンスの観測の先駆的な事例であるFrench Open Science Monitor(*2)の仕組みに基づいて、日本の出版物についてのオープンアクセス指標を算出・提供しています。これにより、日本におけるオープンサイエンスの現在地を世界標準の尺度で測定することが可能になります。

背景・課題

 UNESCOオープンサイエンス勧告などで、オープンサイエンスの進捗を観測・評価するオープンサイエンスモニタリング(*3)の必要性が国際的に高まっています。オープンサイエンスモニタリングによって論文のオープンアクセス率や研究データの公開状況を客観的に把握することは、適切な研究方策の立案や、研究者への効果的なオープンサイエンス実践に対するインセンティブ設計を行う上で不可欠です。しかし、これまでのモニタリング手法は算出根拠が不透明なケースが多く、信頼性と再現性の確保が課題でした。また、日本のオープンサイエンス状況を世界標準の指標で観測し、諸外国と直接比較できる環境の整備が求められていました。

取り組みの概要

 NIIは、オープンサイエンスモニタリングの先導的事例として国際的に認知されているFrench Open Science Monitorの方式を採用したJapan Open Science Monitorを開発しています。このたび出版物に関するオープンアクセス指標を提供するものを、Japan Open Science Monitor試験版として公開しました。
 French Open Science Monitorは、フランス・研究・宇宙省(MESRE)等によってオープンソース・オープンデータに基づいて開発・運用されています。Japan Open Science Monitorは、米国の非営利団体OurResearchが運営するオープンな学術情報データベースOpenAlex(*4)を活用し、French Open Science Monitorで採用されている方式に倣って日本の出版物に関するオープンアクセス指標を算出・提供します。これにより、オープンなデータに基づき、日本におけるオープンサイエンスの現在地を世界標準の尺度で測定することが可能になります。

release_20260303_fig1.png図1:Japan Open Science Monitor試験版が提供するオープンアクセス指標の一例

社会的意義・期待される影響

 Japan Open Science Monitorは、オープンなデータソースに基づいた指標を提供することで、信頼性を担保し、透明性の高い議論を可能にすることで、日本のオープンサイエンスのさらなる進展に貢献します。また、世界で広く認識されているFrench Open Science Monitorの手法を導入することで、国際社会に対して日本のオープンサイエンスの進捗を明確に示すことができ、諸外国との比較分析を通じた日本の研究活動の理解促進に寄与します。

今後の展開

 現在は出版物のオープンアクセス指標のみを実装していますが、今後は利用者の声やオープンサイエンスの政策動向、諸外国の事例を参考に、研究データ、ソフトウェアなど幅広い指標の拡充を検討します。また、OpenAlexは日本の機関リポジトリによるオープンアクセスを網羅的に捕捉できていないという課題を踏まえて、データソースに学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(*5)を追加することで、より正確なオープンアクセス指標を提供できる体制を整備します。さらに、他のデータソースとの連携も視野に入れ、日本の研究環境に適したオープンサイエンスモニタリングを実現していく所存です。

ジャン=リュック・ムレ フランス高等教育・研究・宇宙省(MESRE)研究・イノベーション局局長からのコメント

 フランスは、自国のオープンサイエンスモニターにおいて、オープンサイエンスの諸原則を適用することを徹底してきました。その結果、システムのソースコード、インターフェース、算出手法、そしてデータに至るまで、貢献者への適切なクレジットを明記することを条件に、誰もが自由に再利用できるようオープンサイエンスライセンスで公開しています。
 日本がこのアプローチを採用したことを、我々は心から喜ばしく思っています。これにより、オープンサイエンス分野における両国の協力関係は一層強化されました。このような取り組みは、両国におけるサイエンスのオープン化を加速させるとともに、オープンサイエンスの進捗を測定するための統一的な枠組みの構築につながる、明確な共同の利益をもたらします。

谷藤 幹子 NIIオープンサイエンス基盤研究センター長からのコメント

 オープンサイエンスの推進には、その進捗を客観的かつ透明性の高い手法で可視化することが不可欠です。本サービスは、国際的に定評のあるフランスのオープンサイエンスモニタリング手法を採用し、オープンなデータソースを活用することで、誰もが検証可能な信頼される指標の提供を実現します。
 これにより、日本の研究活動の現在地を国際比較可能な形で把握し、エビデンスに基づいた研究政策の立案などが可能となります。今後は、日本の強みである機関リポジトリとのデータ連携を強化し、論文のみならず研究データやソフトウェアまでを網羅する、日本独自の、そして世界に開かれたモニタリング基盤へと発展させていく所存です。本サービスが、日本の学術コミュニティにおけるオープンサイエンスに関する議論とさらなる推進に貢献することを確信しています。

 Japan Open Science Monitorの開発にあたっては、主に文部科学省が推進する「オープンアクセス加速化事業」(*6)の補助金を活用しました。

関連リンク

News Release: PDF

Japan Open Science Monitor試験版を公開
〜日本のオープンサイエンスの進捗を可視化する


(※1) オープンサイエンス基盤研究センター:世界的なオープンサイエンスの気運を受け、そのインフラとなる学術基盤を開発・運営するために、2017年4月にNII内に設置されたセンター。学術論文と研究データがアカデミアおよび社会で広く共有され、幅の広い研究活動がオープンに行われることで、研究活動の加速化や、社会と緊密な連携の上に成り立つ問題解決が進み、学術活動が新しい次元(=オープンサイエンス)に移行することが世界的に期待されている。詳細は https://rcos.nii.ac.jp/参照。
(※2) French Open Science Monitor:オープンデータ・オープンソースに基づいてフランスのオープンサイエンスの進捗を観測・可視化するサービス。フランス高等教育・研究・宇宙省(MESRE)等によって開発・運営されている。オープンサイエンスの観測において、国際的にも先導的な事例とされている。詳細はhttps://frenchopensciencemonitor.esr.gouv.fr/ 参照。
(※3) オープンサイエンスモニタリング:オープンサイエンスの原則と実践に関連する活動を観測・評価するプロセス。
(※4) OpenAlex:米国の非営利団体OurResearchが開発・運営する論文等の学術出版物や機関等の情報を網羅したオープンな学術情報データベース。
(※5) 学術機関リポジトリデータベース(IRDB):NIIによって運営されている日本国内の大学等研究機関の機関リポジトリのレコードを収集・提供するデータベース。
(※6) オープンアクセス加速化事業:文部科学省によって2024年度に実施された、学術論文のオープンアクセス化を推進するための補助事業。大学等におけるオープンアクセス推進体制の整備やシステム改革等支援を通じて、日本の研究成果の共有・公開と利活用を促進。
https://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/1421775_00008.htm 参照。
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