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ニュースリリース
安全なIoTシステムの実現を目指す「CREST ZT-IoT」の研究成果をCEATEC 2025で発表
〜形式検証とシステムソフトウェアの融合によるゼロトラストIoT〜
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 (NII、所長:黒橋 禎夫、東京都千代田区) と、京都大学、情報セキュリティ大学院大学、東京情報デザイン専門職大学の研究グループは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST「形式検証とシステムソフトウェアの協働によるゼロトラストIoT」(略称:CREST ZT-IoT)の研究成果について、10月14日から開幕する「CEATEC 2025」で展示発表を行います。
本研究グループは、理論とシステムソフトウェアの技術を融合し、ゼロトラストの考え方に基づいた安全・安心なIoTシステムの実現を目指しています。Society 5.0の実現に向けてIoTデータの活用が期待される一方、IoT機器へのサイバー攻撃による重大な被害も懸念されています。本プロジェクトでは、数学的理論に裏打ちされたセキュリティ対策技術の研究と、継続的に監視、分析、対処を行うシステムソフトウェアの開発に取り組んでいます。
CEATEC 2025では、「次世代のイノベーションエコシステム」の実現を目指し、国内外のスタートアップ、大学・研究機関、大企業の新規事業部門等が一堂に会するエリア「ネクストジェネレーションパーク」が設けられています。「ネクストジェネレーションパーク(ホール6、ブース番号6H248)」にて、研究成果の展⽰とデモンストレーションを⾏います。
CEATEC 2025出展概要
会期: 2025年10月14日(火)~17日(金)10時〜17時
会場: 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1)
エリア: ネクストジェネレーションパーク
小間番号: ホール6 ブース番号:6H248
各機関の役割:
●国立情報学研究所: 研究代表、システムソフトウェアグループ、理論グループ
●京都大学: 共同研究者、理論グループ
●情報セキュリティ大学院大学: 共同研究者、システムソフトウェアグループ
●東京情報デザイン専門職大学: 共同研究者、システムソフトウェアグループ
【主な出展内容】
1.IoTデバイス向け軽量な監視・異常検知機構
IoT機器は性能が限られセキュリティ対策が困難です。そこで、機器の動作に負担をかけずにサイバー攻撃を検知する軽量な監視・異常検知手法を開発しました。監視カメラアプリでの実験では、性能に影響することなく攻撃を検知できることを実証しました。これにより情報漏洩等を防ぎ、IoTシステムの安全性を高めます。
2.IoTソフトウェアアップデート
遠隔から自動的かつ安全にIoT機器のソフトウェアを更新するフレームワーク「ZT-OTA」を開発しました。第三者機関による脆弱性検査と連携して安全なソフトウェアのみを配布し、脆弱性が発見された場合は迅速に新たなソフトウェアを配布する仕組みです。これにより、IoT機器で動作するソフトウェアを安全に保つことができます。
3.研究ソフトウェア信頼性保証のためのソフトウェア認証サービス
IoT機器で使われるソフトウェアに悪意のあるコードが混入するリスクを防ぐため、第三者機関が安全性を検査・証明する「ソフトウェア認証サービス」を開発しています。これにより、脆弱性の有無などを確認済みの信頼できるソフトウェアのみを、誰もが安全に利用・共有できる環境を目指します。
4.IoTの信頼のチェーンとリモートアテステーション
リモートアテステーションとは、IoTデバイスが信頼できるか、動作しているソフトウェアが意図したものであるかを確認する技術です。本研究で開発したリモートアテステーションは、OP-TEEの最新版に標準で搭載されています。また、運用中もIoTデバイスが改竄されないか安全に監視する技術を開発しています。
5.形式検証によるIoTシステムのセキュリティ検証
IoTシステムは一度導入すると脆弱性の修正が困難です。そこで私たちは、システムの振る舞いを数学的に記述し、設計や実装が正しいかを証明する「形式手法」を用いてセキュリティ検証に取り組んでいます。これにより、開発段階で徹底的に安全性を分析し、信頼性の高いIoTシステムの実現を目指します。
6.形式手法によるIoTシステムの監視技術
多数の機器が接続するIoTシステムでは、形式検証だけでは予測外の攻撃に対応できない場合があります。そのような場合でもセキュリティを保証するため、形式検証を補完する技術として、稼働中のIoTシステムを監視するための、形式手法に関する研究を進めています。
CREST ZT-IoTプロジェクトについて
本プロジェクトは、形式検証とシステムソフトウェアの融合により、ゼロトラストの概念を踏襲した安全なIoTシステム(ZT-IoT)の実現を目指すものです。理論研究でIoTのトラストチェーンの正当性に数学的証明を与え、システムソフトウェア研究ではその成果と連携して実行隔離・自動検知・自動対処機構を開発し、ZT-IoTを実証します。 本研究は、JST CREST JPMJCR21M3の支援を受けたものです。
CREST ZT-IoTプロジェクトWebサイト:https://zt-iot.nii.ac.jp/
NIIでは、幅広い層からなる多数の来場者が期待される総合的な展示会に出展することで研究への取り組みやその成果を社会に対してより広く伝えることに努めています。NIIは今後も国内外に向けて活動内容の情報開示に積極的に取り組んでいきます。
News Release: PDF
安全なIoTシステムの実現を目指す「CREST ZT-IoT」の研究成果をCEATEC 2025で発表
〜形式検証とシステムソフトウェアの融合によるゼロトラストIoT〜

NII Today No.105
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