1. オーソライズされた文献に基づくドメインの視覚化 | |
著者: | 相原 健郎(国立情報学研究所), 高須 淳宏(国立情報学研究所) |
要旨: | 本論文では,インタラクティブな情報検索を支援するために,解説記事や専門用語辞書などのオーソライズされた情
報に基づくドメインの視覚化手法について提案する. ここでは,直感的に情報空間を把握できることが,ユーザにとって求める情報にアクセスするために有効だと仮定す る.したがって,本論文は,視覚化した情報空間とのインタラクションによってユーザを支援することを目的としてい る.ここでは,文献集合によって規定されるドメインの構造を視覚化することをドメインの視覚化と呼ぶ.提案手法で は,自己組織化マップ(Self-Organizing Maps )を用いた文献クラスタによってドメインの視覚化を行う.文献を専門用 語により特徴付け,内容的に成熟していてドメインによってオーソライズされた解説記事を用いて分類のためのクラス タを生成することの有効性を示した. |
2. ニュース記事マッチングからの二言語コーパス構築に対する局所的 適合フィードバック法の応用 | |
著者: | ナイジェル・コリアー(国立情報学研究所) , 熊野明(東芝研究開発センター) , 平川 秀樹(東芝研究開発センター) |
要旨: | 本稿では、他言語間情報検索(Cross Language Information Retrieval; CLIR)の技術を、日本語・英語のニュース記事データベースからの二言語コーパス構築に応用した結果について述べる。ここではCLIR の手法を対照可能な他言語コーパスの構築に適用する実験と、CLIR タスクをニュース記事データベース上でシミュレートする実験の結果に対して分析を与える。どちらの実験においても、機械翻訳と辞書に基づく手法によって質問項目を英訳した後、これを拡張・改善するために使用する局所的な適合フィードバックの役割に焦点を置く。これらの実験により、用語の重み付けの改善と拡張が結果にどのように貢献するかが明らかになった。すなわち、元の用語の重み付け改善の結果生じる曖昧性解消の間違いに対する適合フィードバックの効果はわずかで、パフォーマンスにおける多大な効果はいくつかのスコアの高い文書に対する用語の拡張に由来するということを発見した。 |
3. 人間機械系インタフェースのための顔画像検出と特徴部位の位置検出 | |
著者: | モハメド アルアミン ブイヤン(国立情報学研究所), ウッティチャイ アムポーンアラムウェート(国立情報学研究所), 武藤 伸洋(NTTサイバーソリューション研究所), 上野 晴樹(国立情報学研究所) |
要旨: | 本論文では、人間機械系のインタフェースへの利用を目標に、複雑な背景を持つ画像に対する、頑健で高精度な、顔画像の検出方法、および顔の各種特徴部位の位置検出方法を提案する。提案する方法では、一連の画像系列中の顔の皮膚領域抽出を目的に、顔の視覚的・幾何学的特長を利用すると共に、YIQ 空間における色調、明度の類似性を利用している。また、目や鼻、口、眉などの顔の特徴部位の位置は、顔の幾何学的な知識を用いたスケルトンを利用して同定する。さらに、異なる顔の特徴検出を目的に、グレースケール画像を対象に遺伝的アルゴリズムを導入した方法を開発した。最後に、実環境における実験システムを用いた、これらの手法の有効性確認について述べる。 |
4. ユビキタスコンピューティングネットワークの研究動向 | |
author: | 山田茂樹(国立情報学研究所), 上岡 英史(国立情報学研究所) |
abstract: | ユビキタスとは、「遍在する、広くあまねく存在する」という意味で、ユビキタスコンピューティングは将来のコンピューティング環境のあるべき姿として1988 年頃に考案された概念である。ユビキタスコンピューティングは「無数のコンピュータがあちこちに存在する」ことを当然の前提とするが、ユビキタスコンピューティングを他のさまざまなコンピューティング概念と決定的に異なるものにしている部分は「不可視性」即ち、コンピュータがどのように使われているか、ユーザから見えないと言う考え方が含まれる点にある。 本稿では、このようなユビキタスコンピューティングの基本的な概念を紹介するとともに、コンピュータ単体システムの観点だけでなく、ネットワークやアプリケーションの観点も交え、ユビキタスコンピューティングの技術的課題及び具体的な研究例を紹介する。 |
5. 発話と身振りの協調に関する諸理論の批判的展望 | |
著者: | 古山 宣洋(国立情報学研究所) |
要旨: | 本稿は発話と身振りの協調に関して近年提案されている心理言語学的な理論のうち主要なものに関して討議することを目的とする。討議の対象としたのは、二つのモジュラー理論(「語彙検索モデル」と「スケッチモデル」)、二つの相互作用モデル(「成長点モデル」と「情報の組織化仮説」)、及び身振りは道具的な行為から派生するとする仮説である。このような討議を通して、一方で発話と身振りの協調における問題の本質を明らかにし、他方で討議の対象とした理論的接近法のうちどの理論に最も将来性があるかを検討した。 |
6. 創造性に関する心理学的研究の動向 | |
著者: | 孫媛(国立情報学研究所), 井上俊哉(東京家政大学) |
要旨: | 創造性は興味深い問題でありながら,心理学研究のテーマとしては比較的等閑視されてきた.これは創造性という現象の複雑さ,研究方法論上の困難のためであると考えられる.だが,最近になって米国では創造性の重要性が再認識され,心理学的・実証的な取り組みが進み始めている.本稿では,1900 年から1999 年の間の創造性に関する研究数の推移を,PsycINFO データベースなどで確認するとともに,研究の多様性を方法論および定義の観点から整理する.さらに,卓越した創造性と日常的な創造性の連続性,総合的アプローチの登場という点に着目して,最近の創造性研究の動向をまとめるとともに,今後の研究の方向性を展望する. |
7. 中国警察の実用遠隔通信教育システムの構想 | |
著者: | 張小萍(国立情報学研究所) |
要旨: | この構想の目的は、日米技術先進国の遠隔通信教育システムを導入することにより、中国警察通信システム独自のネットワーク構築に応用し、第一線警察から要望されている、IT の実用化技術の開発を促進することである。ここでは、警察情報通信インフラストラクチャー、先端技術の活用、管理モードと運営効果などを検討し、手段として遠隔通信教育システムを採用する効果について考察する |