Source: SPARC E-News, August-September 2001 (posted: October 2, 2001)
出典: SPARC E-News, 2001年8/9月号 (2001年10月2日掲載)

(編集者注: この号からSPACE E-Newsでは、学術出版マーケットをより広く開放するテクノロジー・ソルーションの評価に焦点を当てた定期的な特集を開始します。SPARCは、学術出版を変革する可能性を秘めた研究者主導の出版イニシアティブを積極的に支援することが価値のあることだと信じます。Eprintsソフトウェアに対するこの評価記事を提供することで、当事者を励ますことになることを期待します。)

Eprints.orgソフトウェア: 評価

(原題: Eprints.org Software: A Review

Ed Sponsler、Eric F. Van de Velde
eds@library.caltech.edu
evdv@library.caltech.edu
カリフォルニア工科大学

Stevan Harnadはまさに学術文献を開放する彼の行動に参加することを容易にした。http://www.eprints.org/からEprintsソフトウェアをダウンロードし、自身のリポジトリをすばやく簡単に構築すれば良い。HarnadがRobert TansleyとChris Gutteridgeと共同で開発したEprintsは、文献を管理、投稿、発見、ダウンロードするウェブインターフェースを提供する。Eprintsリポジトリはオープン・アーカイブズ・イニシアティブ(OAI)(http://www.openarchives.org/)準拠である。だから、リポジトリをOAIデータプロバイダとして登録しさえすれば、OAIを理解する情報サービスは、そのコンテンツを発見することができるようになる。

本評価はわれわれがEprintsを8ヶ月間使用した経験に基づくものである。この間、我々はいくつかの技術報告書リポジトリと1つのオンライン会議録を構築した。我々のリポジトリはhttp://library.caltech.edu/digitalで利用可能である。

セットアップ、設定および管理

システムを開始するための経費は非常に小さい。初期のテスト用に使用したり、小さな実運用リポジトリをいくつか運用することのできる実験システムにかかる経費は1,000ドルに満たない。もちろん、リポジトリの数や規模、利用者数、パーフォーマンス要件が上がれば、実行能力を上げねばならず経費も高くなる。

Eprintsは、以下のサポートソフトウェアを持つ標準構成のLinuxオペレーションシステムを必要とする。

オペレーションシステムおよびすべてのサポートソフトウェアはGNU一般公衆利用許諾契約書(GPL)でライセンスされたオープンソースソフトウェアである(http://www.fsf.org/copyleft/gpl.htmlを参照)。Eprintsの開発者は、ある重要な機能を実装し次第、Eprintsを公式にオープンソースにする予定である。それまでは、サウサンプトン大学が著作権を有している。しかし、利用者がソースコードを見たり、変更したり、再配布することが許可されており、GPLの意味でほとんどオープンソースである(詳細はhttp://www.eprints.org/download.phpを参照)。

基本的なソフトウェアをインストールしたら、ローカル利用のためにEprintsシステムを設定する必要がある。

これでリポジトリは文書を受け付ける用意ができたことになる。著者は文書を一時的なストレージバッファに置く。文書をバッファから公開用の場所に置く前に、カリフォルニア工科大学図書館では、以下のような品質コントロールチェックを行っている。

利用者関連機能

全体評価

Eprintsは、Harnadが「セルフアーカイブ」と呼ぶ概念の世界において、学術成果物を共有するための強力かつ経費のかからないソルーションである。ウェブベースの投稿プロセスは直感的であり、著者に最小限の努力しか要求しない。しかしながら、長期保存は機関の取り組みを必要とする。カリフォルニア工科大学図書館システムは、リポジトリにセルフアーカイブされた文書の永久保存に責任を有している。この目的のため、図書館は投稿された文書とメタデータの品質チェックを行い、リポジトリポリシーを適用し、永続的識別子を付与している。Eprintsはこのような管理業務を効果的に遂行するためのウェブベースのツールを我々に提供する。

EprintsはHarnadの主張の多くについてその正当性を立証している。研究者は自らの研究を誰にでも自由に提供することができ、その過程で自らの研究の影響力を増すことができる。GinspargのarXivのおかげで、物理学者はすでに学術コミュニケーションにおけるこの革命から恩恵を受けている。Eprintsとオープン・アーカイブズ・イニシアティブにより、すべての分野の研究者にこの革命を広めるための根幹をなすものが用意されることになる。あとは,この新しい学術コミュニケーションモデルを試してみようとする研究者のやる気を喚起していくのみである。