研究者等提供データセット受入要項
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構
制定 2019/08/22
制定 2019/08/22
(目的)
- この要項は、大学等の法人または大学等に所属する研究者等個人もしくは研究者等のグループが保有するデータセットのうち、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構(以下、「機構」という。)の一機関である国立情報学研究所に対して、その事業である情報学研究データリポジトリ(以下、「IDR」という。)を通じた研究者等へのデータセットの提供を目的として、当該保有者からデータセットの提供の申し出があったものの受入及び取扱いについて必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
- この要項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
- 「データセット」とは、一定の条件の下に、収集、加工、生成等の手段によって作成されたデータを、研究者に配布して学術目的に利用できるように整備したものであって、提供者がIDRを通じて提供するデータをいい、当該データの複製物及び当該データの利用に伴う関連資料等を含む。
- 「利用目的」とは、データセットを利用して行う情報学に関連する学術研究であって、利用規約に定めるものをいう。
- 「提供者」とは、IDRを通じて研究者等にデータセットを提供することを希望した者であって、機構が受入を決定し、本要項の定めに則って機構に当該データセットを提供した者をいう。
- 「利用者」とは、データセットの利用を希望し、第6条1項3号に定める審査方法による審査に合格し、利用規約及びサービス規約に同意することを証する書面を提出した者をいう。
- 「データセットの提供」とは、提供者がIDRを通じて利用者にデータセットを提供することをいう。
- 「データセットの受入」とは、機構が、提供者の本要項への同意の下に、提供者からデータセットを受領し、IDR業務を行うことをいう。
- 「IDR業務」とは、第8条1項及び2項に定める、機構が行う、データセットの提供に関する業務をいう。
- 「利用規約」とは、提供者が定める、利用者に対して利用許諾を与えるにあたって必要な事項を定める規約をいう。
- 「サービス規約」とは、機構が、IDRのサービスを利用者に提供するために必要な事項を定め、機構のウェブサイト等に掲示した「IDRデータセット提供サービス規約」をいう。
- 「個人情報」とは、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第59号)第2条第2項(改正された場合は改正された定めを含む。)に定義される情報及び個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第57号)第2条第1項(改正された場合は改正された定めを含む。)に定義される情報のいずれかまたは両方に該当する情報をいう。
(提供者)
- 提供者となることができる者は、第3項に定める法人、並びに第3項に定める研究機関等に所属する研究者等の個人及び研究者等のグループであって、データセットを、学術研究目的のために一定の条件の下で予め、不特定の第三者に提供する正当な権原を有する者とする。
- 研究機関とは、次に掲げる機関とする。
- 大学、短期大学、高等専門学校、大学共同利用機関
- 文部科学省及び文化庁の施設等の機関
- 学術研究または学術の振興を目的とする学会で法人格を有しないもの
- 機構が適当と認めた機関
- 研究機関等とは、研究機関に次に掲げるものを併せたものをいう。
- 研究機関を有する法人
- 独立行政法人
- 特殊法人
- 財団法人または社団法人
- 本条第1項にいう研究者等は、研究教育職員、科学研究費補助金の研究代表者及び分担者、図書館職員並びに機構が適当と認めた者とする。
(データセット)
- 機構は、データセットが次の各号の全てを満たす場合に、無償でデータセットの受入を行う。
- 学術研究の対象として高い価値を有し、学術の進展に寄与すると見込まれるもの。
- 全国の大学等の研究者において、相当数の利用が見込まれるもの。
- 合理性のある一定の条件を満たす研究者に対して、無償で提供されるもの。
- 機構においてデータセットの提供を行うにあたり、法令上及び研究倫理上の問題のないもの。
- 機構の組織及び設備によって取扱いが可能なもの。
- 前項にかかわらず、機構は、次の各号のいずれかに該当すると判断した場合、データセットの受入を行わないことがある。
- データセットの受入を公表することに支障のある場合。
- データセットが、その使用において、特定のソフトウェア、ハードウェアまたはライセンス等を必要とする場合。
- データセットの提供が、提供者の営利を目的とする場合、または、提供者もしくは第三者によって営利に利用される可能性のある場合。
- 提供者または特定の第三者の利害を理由に利用者の範囲を制限することが求められる場合。
- その他、学術目的として不適切な事項がある場合。
(受入手続き等)
- データセットの受入にかかる手続きは次の各号によるものとする。
- 提供者となろうとする者(以下、「申請者」という。)は、別に定める「データセット受入依頼書」を機構に提出するものとする。
- 機構は、データセット受入依頼書の提出があった場合、本要項の定めに基づき審査を行い、合格した場合にデータセットの受入を決定する。
- 申請者は、機構からデータセットの受入決定の通知を受領後、別に定める「データセット提供同意書」を機構に提出するものとする。
- 提供者は、機構と別途協議の上決定した方法により、データセットを機構へ提供するものとする。なお、その際に発生する費用は、提供者が負担するものとする。
(提供者の義務等)
- 提供者は、次の各号に定める事項を行うものとする。
- データセットの形式および資料等について機構と協議の上、研究者に配布可能な状態のデータセットを作成し、機構に提供すること。
- 機構と協議の上で、利用規約を作成し、自己の責任において利用者に一定の範囲で無償で利用の許諾をすること。 また、機構が当該利用規約をIDRのウェブサイト等で公表することに同意すること。データセットの受入後に利用規約の改定が必要になった場合も同様とする。
- 機構と協議の上で、利用者としての適格性の審査の基準及び方法を定めること。また、当該審査方法に基づき必要な場合は、機構と協力して、利用者となることを申請した者の審査を行うこと。
- 機構がIDRのウェブサイト等でデータセットの受入に関する情報を公表するために必要となる情報を機構に提供すること。
- データセットの仕様及び内容等の専門的事項についての利用者等からの問い合わせに対する機構の対応業務に協力すること。
- 提供者は、次に掲げる事項を表明し、保証するものとする。
- 提供者は、機構及び機構を通じて利用者にデータセットを提供する権利、及び利用者に利用目的でのデータセットの利用を許諾する権利を有していること。
- データセットの機構を通じた利用者への提供が、データセットにかかる提供者以外の第三者の著作権等の権利を侵害しないこと。 また、データセットの提供に際し、データセットにかかる著作者人格権の保有者から、著作者人格権を行使しないことの同意を得ていること。
- データセットに含まれる個人情報は、適正な手段により取得したものであり、予め得た本人の同意に基づき、必要な加工を行った上で、IDR業務のために機構に提供し、また利用目的のために利用者に提供すること。
- データセット及びデータセットの利用に関し提供者が与えた許諾に起因して、第三者と紛争を生じた場合は、提供者が責任を負い紛争を解決すること。
- 提供者は、データセットに秘密情報または個人情報が含まれる場合は、当該秘密情報及び個人情報に関して利用者が遵守すべき事項を利用規約に定めるものとする。 利用者が利用規約に同意した後は、機構は、当該秘密情報等を含めてデータセットを利用者に提供できるものとする。
- 提供者は、IDR業務のために、無償で、データセットを機構に提供し、機構が、当該業務の実施に際して必要な限りにおいて、データセットを複製し、利用者への提供に必要な限りにおいて改変し、利用者に提供することを、機構に対して許諾するものとする。
- 提供者は、データセットを作成するにあたり研究対象者等の第三者から取得した情報がある場合で、当該第三者から何らかの情報開示請求または情報削除要求等が提起された場合、自らの責任において適切に対処するものとする。
- 提供者は、データセットに、法令上または研究倫理上の問題のある情報が含まれることを知得した場合、提供者の責任において、速やかに当該情報の削除または修正等を行い、問題のないデータセットを機構に提供するものとする。
- 提供者は、データセットの提供に関する広報等を行う場合は、事前に機構に通知し、承諾を得るものとする。
(禁止事項)
- 提供者は、データセットの提供を通じて取得した利用者個人または利用者に属する研究者等(以下、「利用研究者等」という。)の氏名、所属、メールアドレス等の情報を、利用者または利用研究者等に明示して同意を得た利用目的以外の目的のために利用してはならない。
- 提供者は、機構が本要項に基づきデータセットの受入を行ったことをもって、機構から、データセットまたは提供者に関する保証を得たといった表明をしてはならない。
(機構の義務)
- 機構は、IDR業務として、サービス規約に基づき次の事項を行うものとする。
- データセットの提供にかかる情報の公表
- 利用者との連絡等
- 利用者提出情報の管理
- 利用者へのデータセット配布
- 利用者からの利用状況等の報告の収集
- 利用者から報告のあった既公表の研究成果一覧の公開
- その他、機構が必要と認める業務
- 機構は、IDR業務として、提供者の求めに応じて、サービス規約に基づき次の事項を行うものとする。
- 利用者の審査及び提供者による利用者の審査への協力
- 利用者から報告を得た利用状況等の提供者への提供
- 利用規約に基づく利用者へのデータセット提供の停止措置等
- その他、機構が必要と認める業務
- 機構は、IDR業務として、次の事項を行わないものとする。
- データセットの保存を目的とする業務
- データセットの利用における利用者への技術的な支援
- データセットの提供に直接関係しない情報の広報及び利用者への提供
(データセットの取扱い等)
- 機構は、IDR業務に関連するデータの保管について、管理に必要と考えられるセキュリティ施策(保管場所の施錠、ファイアウォールの設定、データセットにアクセスする役職員の限定及びパスワード認証等)を講じるものとする。
- 機構は、次の各号の定めに従いデータセットを取り扱うものとする。ただし、提供者の書面による事前の同意を得た場合はこの限りではない。
- データセットをIDR業務の目的以外に使用または複製しない。
- 利用者以外の第三者にデータセットを開示または提供しない。
- 機構は、提供者が作成したデータセットを原形のまま利用者に配布するものとし、その内容及び形式について確認等の責任を負わないものとする。 ただし、提供者から要請があり機構が適当と認めた場合、機構はデータセットを翻案して利用者に配布するものとする。
- 機構は、データセットの受入が終了または中止となった後も、研究不正対策の目的のため、10年間を限度としてデータセットを保管できるものとする。機構は、保管期間の終了後、速やかにデータセットを消去またはデータセットを記録したものを廃棄(以下、「データセットの消去等」という。)する。 ただし、提供者がやむを得ない理由により保管の中止を求めた場合は、機構は求めに応じてデータセットを消去等するものとする。 なお、保管中のデータセットに対する開示請求があった場合は、機構と提供者が協議して対応するものとする。
(受入の中止)
- 機構は、データセットの受入の決定を行った後、以下の各号のいずれかが発生したときは、相当の期間を定めて事態の是正を書面で要求し、当該期間内に係る事態が是正されない場合は、データセットの受入を中止することができるものとし、かつ、損害賠償の請求ができるものとする。
- データセット受入依頼書に不備または不実記載等があり、データセットの受入が本要項の規定に該当しないことが判明した場合
- 事情の変更等によりデータセットの受入が本要項の規定に該当しなくなった場合
- 提供者において、本要項下の義務の履行に関して不正または不当な行為があった場合
- 提供者が本要項の条件に違反した場合
- 機構は、提供者が次の各号のいずれかに該当したときは、直ちにデータセットの受入を中止することができるものとし、かつ、損害賠償の請求ができるものとする。
- 財務状況が悪化した場合
- 反社会的勢力と関係を有すると認められる場合
- 本要項に定めた義務について重大な違反があるとき
- 機構は、やむを得ずIDR業務が実施できなくなった場合は、データセットの受入を中止することができるものとする。
- 提供者は、やむを得ず本要項下の義務の履行ができなくなった場合は、機構に、データセットの提供の中止を申し入れるものとし、機構は、当該申入れを受けて、データセットの受入を中止する。
- 機構及び提供者は、本条前各項に基づきデータセットの受入を終了または中止する場合は、双方協議の上、その後のデータセット及び利用者の扱いについて取り決めるものとする。
- 機構は、データセットの受入を終了または中止した場合は、利用者へのデータセットの配布を終了し、利用者にデータセットの利用の中止を通告する。
(責任)
- 機構は、データセットの受入を、何らの保証無しに行う。提供者は、データセットの受入には、提供者の目的に適合するといった保証が無いことを了承するものとする。
- 提供者は、データセット及びデータセットの利用に関し提供者が与えた許諾に起因する損害について責任を負い、提供者に帰責性のある場合を除きIDR業務に起因する場合は機構が責任を負うものとする。 なお、機構においては、データセットの受入を継続していたことをもって、損害賠償請求権を放棄したものとはみなされないものとする。
- 本要項のいかなる定めにもかかわらず、機構は、本要項に基づき適切な手続きを経て利用者となった者に起因して提供者が受けた損害については、いかなる場合でも提供者に対してこれを賠償する責を負わない。
- 機構及び提供者は、データセットまたはデータセットの受入に関して第三者から請求等(損害賠償の請求、使用差止めの請求等の内容の如何を問わず、また訴訟の係属の有無を問わない)を受けた場合は、すみやかに相手方に通知し、紛争等の解決、対応状況に関する情報の共有に努めるものとする。
(存続条項)
- 第10条第1項及び第2項(受入の中止)、第11条(責任)、第13条(権利義務譲渡の禁止)及び第14条(紛争解決)の定めは、データセットの受入が終了または中止した後も、当該債務が消滅するまで有効に存続する。
(権利義務譲渡の禁止)
- 提供者は、機構の事前の書面による承諾なく、データセットの受入にかかる本要項上の地位及び本要項から生じた権利義務の全部もしくは一部を第三者に譲渡しまたは担保に供してはならない。
(紛争解決)
- 本要項下のデータセットの受入に関連して紛争を生じた場合は、機構及び提供者は信義誠実の原則に則り、誠意をもって協議し解決に努めるものとする。 協議をもってしても紛争を解決できず、訴えを提起する場合は、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。