NCNP精神保健研究所図書室における学術情報センターシステムの利用

NCNP精神保健研究所図書室

司書 高橋 周子

1.はじめに

 当研究所は,昭和27年1月アメリカNIMHをモデルに厚生省の附属機関として設立され,精神衛生に関する諸問題について,学際的立場から精神医学,心理学,社会学,社会福祉学,保健学などの各専門家による総合的・包括的研究を行うほか,国,地方公共団体,病院などにおいて精神衛生業務に従事する者に対して,精神衛生各般にわたる必要な知識および技術の研修を行い,資質の向上を図ることを目的としている。(要覧より)

2.図書室の機械化

 図書館業務全般を平成元年にNECのLICS-Sで機械化した。平成10年からは,所内のLANから図書館システムにアクセス出来るようになった。しかし,サーバーの負荷などの問題で,現在外部へは公開していない。

3.学術情報センターシステムの利用

 さまざまな機関で,多種多様なデータベースが作られている現在,当研究所でもNACSIS-IRはもちろんのこと,JOIS,DIALOGなどのデータベースに接続し文献検索を行っている。このような検索ツールを手に入れたことにより,文献複写の依頼件数は飛躍的に増加した。

 当研究所がNACSIS-ILLに参加したのは,平成4年からである。それ以前は従来の冊子体目録と郵送で文献複写依頼に対応していた。しかし,冊子体の発行の頻度などから,新しい雑誌の所蔵館を探すことが出来ないなどの不便があった。現在ではNACSIS-ILL利用により年間複写依頼約2,000件を処理している。また,複写受付件数も増加し,年間約700件に上っている。ただ,厚生省の機関であるということで,FAX対応して頂ける所が少ないのが,目下のところの悩みである。

4.トピックス

 最近,1950年代のAMERICAN JOURNAL OF PSYCHIATRYに載っている薬の広告のページを撮影したいという問い合わせがあった。ところが,当図書室では,製本時に広告のページを破棄してしまうため,依頼に応じることが出来なかった。図書館では,製本時に広告のページを破棄してしまうところがほとんどであると思う。しかし,このよ謔、に不要と思われた部分も歴史的資料的価値があることから,原型のままで保存しておくところを確保しておくことが必要ではないだろうか。


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