青森県立図書館奉仕課主幹
谷田 明子
当館は平成6年3月の新館オープンとともに,学術情報センターシステムの利用を開始した。
新館においては,コンピュータ利用による情報提供など幅広いサービスが可能となり,各種サービスの利用が開館と同時に大幅に増えており,また,このような中で学術情報センターのNACSIS-ILLの利用件数も年を追うごとに増えてきている。
これは,県民の高度多様な情報要求の高まりと相まって,従来国立国会図書館や公共図書館では対応できなかった専門分野の情報が各大学から容易に入手できることによるものと思われる。
利用件数
平成6年度 | 平成7年度 | 平成8年度 | 平成9年度 | |
借受依頼件数 | 43件 | 57件 | 204件 | 187件 |
複写依頼件数 | 72件 | 95件 | 242件 | 255件 |
貸出受付件数 | 0件 | 2件 | 2件 | 2件 |
複写申込受付 | 4件 | 19件 | 9件 | 19件 |
当館における学術情報センターの利用状況を見ると,平成9年度は,開館当初(平成6年)にくらべ約4倍に達しており,その95%が大学図書館からの専門図書や資料の借受・複写の依頼で,主として歴史・民俗関係に関する資料の要求が多い。
近年,各公共図書館においては,国立国会図書館や公共図書館同士のコンピュータネットワーク,CD-ROMなど様々な形で情報検索ができるようになっている。
しかし,公共図書館の立場からすれば,利用者は多様で,読み物から各地の郷土資料,専門的な学術論文まで幅広い情報・資料の提供が求められるので,NACSISとこれらを使い分けて,利用者が真に求める情報・資料を最も良い条件で提供するよう努めているところである。
NACSISについてはこれからも積極的に活用し,利用者に対するサービスの充実を図っていきたいと考えているが,一方で,当館だけでは県民全体に対するサービスに限界があるため,今後は,市町村図書館においてもNACSISを利用して,直接地域住民に資料・情報の提供を行うことができるようなシステムづくりが必要ではないかと考えている。
当館としては,依頼面でNACSISには多大の恩恵を受けているが,提供面であまり貢献していないので,今後,郷土資料を中心にいくらかでも提供できるよう努めていきたいと思っている。