海外における日本情報の需要と供給に関する研究

―Mr. Boyd R. Collins招へい―

 平成7年より3年計画で実施している科学研究費国際共同研究「海外における日本情報の需要と供給に関する研究」(研究代表者 井上 如副所長)では,平成9年12月8日より16日にかけてMr. Boyd R. Collins(ボイド・コリンズ氏:米国ニュージャージー州立ラトガース大学アレグザンダー図書館情報技術およびレファレンス図書館員)を招へいして,米国の大学図書館におけるインターネットへの取り組みについて情報交換し,その上で,日本情報の国際流通に関わる諸問題について検討した。コリンズ氏は米国図書館協会(ALA)の機関誌のひとつであるLibrary JournalにWebWatchと題して連載してきたコラムに対して,1996年度カーナーズ優秀編集賞(ベスト・レギュラー・コラム)を受賞しており,優秀なウェブ・サイトを発見し評価するために図書館員で構成する全国的な共同チームであるインフォフィルター(Infofilter)プロジェクトの創設メンバーでもあり,米国図書館協会のネットワーク情報資源評価委員会の創設メンバーである。12月9日にはセンターにおいて,学術情報システム構想,NACSIS-CAT,NACSIS-ELS,全文データベースなど学術情報センター・サービスの最新状況について紹介した。12月10日には猪瀬博所長を表敬訪問した後,軽井沢の国際高等セミナーハウスで開催されたInternational Seminar on Enforcement of Electronic Library Function in University Librariesにおいて“Infofilter”について講演した。12月11日には国際基督教大学図書館視察に引き続き,多摩アカデミックコンソーシアムの国立音楽大学,国際基督教大学,津田塾大学,東京経済大学図書館の館員年次研修プログラムの講演会として,約40名を対象に,”Beyond Crusing”の題で,ウェブサイトの評価方法に関する講演を行った。12月12日午前には国立国会図書館を見学し,午後には学術情報センターにおいて当科学研究費活動として一般公開の報告会を開催し,約30名の出席者を得た。講演者・演題は次の通りである。

Mr. Boyd COLLINS, Project Coordinator, Alexander Library, Rutgers University(Rutgers, the State University of New Jersey)

  “Internet Flotsam and Jetsam”

通商産業省調査統計部商工統計課長 田辺 孝ニ氏

 「Singapore One(シンガポール国家情報流通基盤)の意義」

広島県福祉保健部医療対策課主査(兼)地域医療係長 橋本 康男氏

 「インターネットを利用した情報活用─広島県救急医療情報ネットワーク」

 12月15日には京都大学附属図書館講堂において平成9年度近畿地区国公立大学図書館協議会第1回講演会として54名の参加を得て,“Rating the Web”について講演した。東京・京都で講演した3件の論文については,英文・和文が聴衆に提供されている。コリンズ氏,田辺氏,橋本氏の講演記録は1998年3月刊行予定の当科学研究費プロジェクトの最終報告に収録され,大学図書館に配布される。今回の招へいにおいては,国立国会図書館,国際基督教大学図書館,京都大学図書館の強力な支援を得たことを記して感謝申し上げる。


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