研究シーズ2018情報メディア科学

美しいCGの動きを数値で構築する新しい計算⼿法を開発

安東 遼一コンテンツ科学研究系 助教

研究分野コンピューターグラフィックス/数値流体⼒学/数値物理シミュレーション

研究背景・目的

コンピュータグラフィックス(CG)のための美しい映像を実現する、数値流体力学の新しい計算手法の開発に取り組んでいます。こだわるのは視覚的な美しさと数学的な美しさの二面性。前者は水しぶきや渦の動きを効率よくとらえられるアルゴリズムの開発、後者は自然現象の特徴をシンプルな数式で記述できる新しい数学モデルの構築をテーマとしています。この成果は主に映画の特撮分野で応用され、アニメーションのリアルな動きを創り出しています。

研究内容

視覚的に美しい現象を再現可能にするアルゴリズムの開発を目標としたこの研究テーマでは、視覚的に特徴的な渦、水しぶきといった要素を計算する「アダプティブ計算法」に取り組んでいます(図1)。アダプティブ計算法では、大規模な流体が計算可能になり、同時に視覚的に重要ではない計算が少なくなるため、全体のコストを抑えられる利点があります。

新たな数学的モデルに着目した研究では、流体の数学的な問題をあるエネルギー関数の最小問題に置き換え、流体現象を数学的に美しく数値計算できるアルゴリズムの開発に取り組んでいます。例えば、流れ関数を用いた数式モデルでは、これまで困難だった「2層流体の数値計算法」を開発しました(図2)。

17-ando-02.jpg

産業応用の可能性

私の研究は、映像業界で応用されています。また、開発されたアルゴリズムは、ビジュアルシミュレーションでありながら、高い計算精度を実現し、その研究内容は数値流体力学の産業界で応用できます。

連絡先

安東 遼一[コンテンツ科学研究系 助教]
rand[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

Recommend

さらにみる