研究背景・目的
これまで人工知能AIを実装した様々なAIエージェントやデータマイニングシステムが研究開発されてきましたが、それらのシステムが人間の助けなく単独で実稼働するケースはそれほど多くはありません。例えば、機械学習を初めとする実際のAIアルゴリズムは、様々なパラメータ調整を必要とし、ユーザは現場で実稼働をしつつ、複雑なパラメータ調整を行う必要がある場合が多いからです。このような状況にも関わらず、これまでのAIエージェントやデータマイニングは、システム単独での利用を想定して研究されてきました。
このような背景から、我々は実際的な応用場面で役に立つ、人間と密に協調することを指向した人間-AIエージェント協調系の枠組みを開発しています。そして、その枠組みで必須となる要素技術である、人間とインタラクティブに問題解決を行うAI、GUIデザインの技術、人間の認知モデルを積極的に取り込んだ人間とAIエージェントのインタラクションデザイン技術を研究しています。応用領域は、オンラインショッピングにおける推薦エージェント、視覚的分析システム、意思決定における人間とAIの競合解消など多岐にわたります。
研究内容
人間とAIエージェントが協調するシステムの枠組みと要素技術の開発のために、我々の研究チームでは、以下の2つの研究を行っています。
- ヒューマンエージェントインタラクションHAI:
人間とAIエージェントが効率的に協調するために、有効なインタラクションデザイン方法論の確立を目指しています。具体的には、新しい探索的UIデザインの枠組みを提案します。そして、探索空間を特徴付けるために、ユーザの認知モデルによる特徴点の選択方法を開発し、様々なケーススタディにおいて、参加者実験による検証・結果分析までを行っています。 - 知的インタラクティブシステムIIS:
方法論的には、上記のHAIにおける探索的UIデザインを用いて、人間とデータマイニング、機械学習システムの効果的な協調を実現するためのインタラクションデザイン研究を行っています。研究テーマは、AIによる非明示的ユーザフィードバック最大限利用のためのインタラクションデザイン、インタラクティブパラメータ探索システム、人間の能動学習用GUIなどです。
産業応用の可能性
- オンラインショッピングで購買意欲を向上させる推薦AIエージェントの外見や振る舞いをいかに設計するかの設計アドバイス
- エンドユーザが探索を自由にコントロールすることで大きくパフォーマンスを向上できる視覚的分析システムの設計論
- AIエージェントの意思伝達方法の設計支援
連絡先
山田 誠二[コンテンツ科学研究系 教授]
seiji[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください
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